決算書に載っていない棚卸資産

棚卸資産の計上漏れは、決算のたびに形を変えて現れます。
棚卸しの対象は、棚に並ぶ商品や倉庫内の材料だけではないからです。
委託販売先に置いてある自社商品、事業年度をまたぐ未完成工事に投入した原価、倉庫に積まれたパンフレットなども、決算日における会社の資産です。
新規案件で忙しい社長や日常業務に追われる経理は、費用として支払った後のことは忘れてしまいがちです。
意図的な利益操作のつもりがなくても、経理と現場の認識のズレや確認不足による在庫の計上漏れはどこの会社でも発生しています。
税務署は、こうした死角のありかを業種ごとに知ったうえで調査に訪れます。
そこで今回は、税務調査における在庫・仕掛品・貯蔵品の計上漏れについて、解説します。
決算の棚卸しはどこまで厳密に実施していますか?
卸売業や小売業では社外にある商品が抜け落ちる
商品数が多い卸売業や小売業で目立つのは、自社の倉庫の外にある商品の数えもれです。
委託販売先に保管中の自社商品、外部物流倉庫への預け品、契約上すでに取得した輸送中の未着品などが見落とされます。
最近では、インターネット経由での販売が増えたこともあり、商品の保管場所が多様化しているのも原因です。
実地棚卸しを担当する現場社員が、所有権や計上時期に関する判断基準を共有していないこともあります。
売れ残りの責任を意識するあまり、不良在庫を倉庫の隅へ移し、棚卸対象から外してしまうケースもあります。
汚れや傷がある商品を、客観的な根拠なく棚卸対象から除外している例も見られます。
税務署は、決算日前後の入出荷記録、委託先の販売報告、運送会社の送り状、店舗間移動の記録を突き合わせ、在庫の正確性を調べます。
数量が合わなければ委託先や倉庫会社へ照会し、先方の保管残高から決算日の実態を確認します。
在庫計上漏れの改善策としては、まず棚卸表の様式と実施手順を見直すことです。
棚卸表には、店舗、自社倉庫、委託先などの保管場所別の欄と、移送中、未着品、返品などの状態別の欄を設け、該当がなければゼロと記入します。
外部倉庫の保管品は、決算日現在の残高明細を書面で取り寄せ、棚卸表に添付します。
期末日前後に動いた商品について、注文日、受入日、引渡日、請求日を物流部門と照合し、計上時期を説明できる資料をそろえます。
破損等を理由に税務上の評価減を行う場合は、適用要件を確認したうえで、現物写真、処分見込額などを保存し、実際に廃棄した場合は廃棄証明も残します。
いずれにしても、商品の受け払い履歴と期末在庫残高の整合性をしっかり説明できるようにしておくことが大切です。
決算時の棚卸表に社外にある商品を記載していますか?























