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32軒目 「ロードサイドでも、1日ワインを4ケース、1年で4億円売るお店」

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

ロードサイドでも、1日ワインを4ケース、
1年で4億円売るお店!
 
「カステッロ」(千葉県・佐倉市)
 
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千葉の佐倉市のロードサイドにもかかわらず、一日にワインを4ケース売るイタリアンがある。大不況の中、連日お客様が押し寄せ、売上を伸ばしている。
 
 オーナーの山田シェフは言う。「世の中本当に不況なんですか?」
 
 こんな時期にもかかわらず、不況知らずのイタリアンである「カステッロ」を今回は紹介しよう。
 
 
 カステッロを作るにあたり、山田シェフが温めてきた3つの大きな要素があったそうだ。目指したのは、以前に訪れたイタリアのバローロ村の丘の上にぽつんとあるレストラン。
 
 ミラノなど遠方からスポーツカーを飛ばしてきて食事をするカップル、はたまたファミリーでランチに3時間もかけてゆっくり食事をしていくという、コンセプトが忘れられなかった。幾度となく都市部でのレストラン開業を勧められたが、それを断ってまでも千葉にこだわった理由がそこにある。
 

  それが下記の三要素。
  
  1. 畑での栽培ができること。
  2. ゆったりとした空間とれること。
  3. イタリアの田舎にあるような平屋造り。

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 1988年4月オープンの店は当初から大行列。一か月目は、スタッフ5人で900万円を売り上げ、2か月目は1,200万円、4か月目には1,700万円を叩き出したそうだ。
 
 しかし、山田シェフはブレーキをかけた。
「お金儲けを考え過ぎている。目指したのは行列のできる店ではない」
夜二回転する予約の取り方を、極力辞めた。予約が取れないお客様のために、店を増築した。
 

 山田シェフはお客様の時間を重視したが、“お客様の教育“にも力を注いだ。あえてメニューの幅を狭め、来てほしい客層をメニューを通して絞りこんだ。
 
 ランチ3,200円、ディナーは3,900円程度からスタートし、アラカルトもなかった。ランチで3,200円は決して安くないが、絞り込んだ層は次回の来店では、上のランクの4,200円のコースを頼んでくれた。
 
 イタリア料理は、アンティパストから始まってプリモピアット、セコンドピアット、ドルチェへと進む。その間にワインというもので付加価値をつけていく。
 
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 コースで提供することで、それまでパスタで止まっていたお客様がイタリア料理にも、いろんな魚料理、肉料理などがあると知り、次にチャレンジしていくようになる。
 
 柔らかかったパスタをアルデンテに近づけ、ジビエも苦手意識から教育した。そしてお客様が教育されることにより、山田シェフのイタリア料自体も進歩していった。カピサノ時代から20数年という歳月をかけて、お客様のイタリア料理に対する認識をじっくりと変えていったのだった。
 
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 今では、“千葉県でバローロが一番売れるレストラン”となったが、前身のカピサノでは一月に一ケースほど売れれば充分だったが、今では一日に4ケースも売れ、ワインの売り上げだけで月7~8百万円にもなるという。これもお客様への教育と、山田シェフ自身の経営哲学から来るものであった。
 
 ワインは蓋をあけるだけ。それで倍以上の値段になるのはおかしい。せいぜい3~4割のせれば充分と考えた。さらには、同じワインを飲んでも、カステッロで飲んだ方が美味しいといわれる状態にするため、数千本が入る大きなワインセラーも作った。
 
 「東京で12,000円のバローロがあったら、うちだったら6,800円で売ろうよ。うちでワインを覚えたお客様が、他で同じワインを飲み、最終的にはうちに戻ってきてくれる。」それは千葉だからできるお客様への先行投資と考えている。
 
 また、毎年、スタッフ全員でワインの勉強会を1週間もかけておこなう。開栓後の味の変化や、畑毎の違いなどを試飲し、その年のワインを決めていく。その試飲用のワインは、業者にお金を支払い購入する。
 
 業者との関係を大切にすることと、業者に対しても厳選したワインを持ってきてもらいたい、そして試飲する側も本気で試飲するという意図が込められている。
 
 カステッロは予約が取りにくい状況を解消するため、3年程前に最も広い部屋を造った。空間は、山田シェフが全てプロデュースをした。
 
 その部屋はレストランウェディングとしても、最適の空間となり、スタッフはやりたがったが、山田シェフは、年に10本以上はとらないようにしている。自分自身の気持ちが入らないビジネスとしてのウィディングはやりたくなかったのだ。
 
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 例えば、長年の常連様の御子息の結婚というシチュエーションで、メニューを決めるときにも子供の頃好きだった料理などを思い巡らせ、直に本人と打ち合わせをして演出したいからだった。中には予算が限られているカップルからの相談も受ける。そういう思いにも何とかして応える。「あなたのために料理を作りたい。そして自分も楽しみたい。」 
 
 そうして作り上げたウェディングは、感動を呼び新郎・新婦はもちろん参列者の方からも多くのお礼状をいただくという。そして山田シェフ自身も一生の思い出になることに携われた喜びを心から覚える。
 
 「とかくお金に目がくらみがちになるが、本来自分がやりたかったことは何かを常に問いかけ、その結果お客様が喜ぶ。夢がぶれないことが重要」と言う。

 

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