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税務・会計

第3回 キャッシュレス決済の導入効果を判断するポイント

賢い社長の「経理財務の見どころ・勘どころ・ツッコミどころ」

キャッシュレスと会社経営 ―その1―

 

2019年10月1日の消費税増税に伴い始まった「キャッシュレス・ポイント還元事業」ですが、2020年6月30日で終了しました。

ご存じのとおり、対象店舗においてクレジットカードや電子マネー、QRコード決済などキャッシュレスで買い物をすると、決済金額に対して、中小事業者(5%)、フランチャイズチェーン(2%)のポイント還元が受けられる事業でした。

キャッシュレス決済事業者がシェア獲得のために、独自のポイントを還元したことでも話題になりました。

御社は、この期間にキャッシュレス決済で、いくら得しましたか?

経済産業省によると、この「キャッシュレス・ポイント還元事業」に参加した最終的な店舗数は115万店(うち新規にキャッシュレス決済加盟店27%)で、全国の対象中小事業者の約半数が登録したことになります。

今後も政府は、2016年に約2割であった支払いにおけるキャッシュレス比率を、2025年(大阪万博)までに4割程度まで引き上げることを目指しています。

そして次に実施されるのが、2020年9月からスタートするマインナンバーカードとキャッシュレスを連動させる「マイナポイント事業」です(最大5,000円分のポイント還元)。

また、新型コロナウイルス感染の影響により、衛生面からも現金での支払いを控える消費者も増えており、キャッシュレス決済は増加傾向にあります。

さらに、新型コロナウイルス感染の影響により、衛生面からも現金での支払いを控える消費者も増えており、キャッシュレス決済は増加傾向にあります。

 

御社は、現金派ですか? キャッシュレス派ですか?
 
 
 

●キャッシュレスで会社の売上は増える?

支払いが現金ではなくキャッシュレスになると、会社の経営にどのような影響があるのでしょうか?

消費者を顧客層に持つ小売業や飲食業の経営へのインパクトを考えてみます。

店舗経営をしている会社の社長は、今回のキャッシュレスの動向を自社の数字で分析してみてください。

 

まず確認するのが、売上への影響です。

売上の内訳を分析し、顧客の購買形態の変化を見ます。

会社の売上は、顧客ごとの購買額の合計です。

 

売上 = 客数 × 客単価

 

現金で支払った顧客とキャッシュレスの顧客を区分して、毎月の客数の変動を見ます。

キャッシュレスの客数の増加傾向を、現金客と対比させて、比率で把握します。

例えば、「キャッシュレス・ポイント還元事業」によって、コンビニチェーンの店舗ではキャッシュレス決済比率が6%~12%増加しています。

 

そして次に社長として見るべきポントは、キャッシュレス化による客単価の変化です。

現金客とキャッシュレス客でそれぞれの客単価の違いを見ます。

現金払いと、クレジットカードや電子マネーでのキャッシュレス決済を比較して、消費者の購入金額に差はあるのでしょうか?

 

セブンイレブンでは、キャッシュレス決済のほうが、現金払いよりも客単価が約20円アップし、売上を押し上げる効果が出ています。

コンビニの客単価は500~600円ですから、キャッシュレス化によって客単価が約3~4%増加したことになります。

クレジットカードで買い物をする場合、財布の中身を心配する必要がないので、金額を気にせずに買ってしまう傾向があることは、あなたも実感していることでしょう。

 

このように世の中の消費行動が変わったときは、社長は必ず数字でウラを取り、消費者の金銭感覚の変化をキャッチしておきましょう。

 

金銭感覚は、キャッシュレスによってどのように変化しましたか?

 
 
 

●キャッシュレスで会社の経費と利益はどうなる?

中小企業において、キャッシュレス決済が普及しない要因の一つとして、店舗側が負担するクレジットカードや電子マネー利用時の手数料(決済額の約3〜7%)の問題があります。

手取りが減ってしまうのを嫌って、現金払いに固執する店舗は少なくありません。

しかし、客単価の増加が期待できることがわかれば、キャッシュレス決済を導入したほうが儲かることもありそうです。

 

したがって社長としては、キャッシュレスによる売上増加と、それに伴なう経費(決済手数料)の増加を天秤にかけて、経営判断していきます。

今の段階では決済手数料は必要経費と割り切って、売上拡大を優先してキャッシュレスを推進する会社もあります。

一方で、決済手数料の負担により、利益率が下がるのを嫌う会社もあるでしょう。

 

社長としては、短期的な結果だけでなく中長期的な視野で、経営判断が必要です。

結果数値をもとに、将来的に考えられる要因を加えて、今後の予測を何パターンも試算します。

何を優先するかによって、意思決定は異なってきます。

コロナ禍の影響で、小売店ではネット販売に力を入れるところが増えました。

飲食店でも宅配が増加しています。

いずれも支払いはキャッシュレスが主流です。

今後は、粗利益率や営業利益率を検討する場合、キャッシュレス決済をひとつの分析要因に加えて、数値でしっかりと検証しながら将来の増減を予測しておきましょう。

 

1年後のキャッシュレス決済の普及率を何%と予測していますか?

1年後にキャッシュレス決済が2割増えると、御社の売上と利益はどうなりますか?

 

●キャッシュレスによる資金繰りへの影響を考えておく

現金商売の一番のメリットは、売上と同時に現金が確実に手に入ることです。

キャッシュレスになると、ほとんどの場合、売上代金が現金化されるのに1カ月以上かかります。

日々の売上代金を、翌日の仕入れや経費の支払いにあてていた店舗では、現金収入が減ってしまうと、資金繰りが回らなくなってしまいます。

 

キャッシュレス決済の比率が増えていった場合、売上と利益だけではなく、資金繰りについても、経理担当者へ事前に指示しておかなければなりません。

商品を仕入れてから売って回収するまでの期間のお金、つまり運転資金が不足するからです。

現金回収が遅くなることにより、支払いが滞らないように、余分に資金を確保しておかなければなりません。

必要となる運転資金を計算して、あらかじめ銀行へ説明しておく必要があります。

 

今日現在の現金残高は、いくらですか?

手元に現金がいくらあると安心ですか?

 
 
 
今回は、売上代金がキャッシュレス化した場合の経営上の留意点を考えてみました。

次回のコラム「キャッシュレスと会社経営―その2―」では、社内のキャッシュレス化についてお伝えします。

 

[参考文献]

経済産業省 商務・サービスグループ キャッシュレス推進室
「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」第1回検討会資料
https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200612006/20200612006.html
 
株式会社セブン&アイ・ホールディングス 2020年2月期 決算説明会資料
 
 

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