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聖人の人生と孔子も読み返した『易経』に学ぶ究極の開運術
~松下幸之助・美空ひばり・東郷平八郎の運をつかむ法~
運とは何だろうか?
頭のいい人が成功するとは限らない。体力のある人が成功するとは限らない。
いい人が成功するとは限らない。功利的に生きれば成功するとも限らない。
富裕な家に生まれたからといって、幸せとは限らないし、一生安泰とは限らない。
不肖りゅうじんは、吹けば飛ぶような“バブル・シーラカンスおやじ”だが、子どもの頃から運だけは抜群にいい。
エジプトに「運のいい男をナイル川に放り込めば、口に魚をくわえて浮き上がってくる」ということわざがあるが、まさにそんな男の一人だ。
運とは心の持ち方に違いない。人生万事塞翁が馬だ。
一般的にはマイナスに見えることでも、運がいいと思い込み、これがプラスにつながる、プラスになる、プラスにすると信じれば、必ずプラスにできる。
この世に生まれて来たこと自体が超ラッキーで、文字通り、有ることが難しい、有り難いことだ。
さらには、古今東西を見渡してみれば、こんなに素晴らしい日本という国の、しかも、こんなに平和な時代に生まれたことは、あり得ないくらい幸運なことで、本当に有り難い。
自宅に暖房や冷房があり、すぐにお風呂に入れ、ぜいたくしなければ日本中・世界中のそこそこ旨いものが食べられる今の私たちの生活は、江戸時代のお殿様やお姫様よりも豊かな点も多々ある。
その上、五体満足であれば、有り難いこと、この上ない。
人は、皆、生まれた時は裸、天に召される時も裸。
「起きて半畳、寝て一畳」。それ以上のものがあれば、こんなにも有り難いことはない。
明石家さんまさんの言う通り。「生きてるだけで丸儲け」である。
「いいことは、おかげさま。わるいことは、身から出たさび」(相田みつを氏)だ。
「天の時、地の利、人の和」がそろってこそ、物事は成就する。
以下、運とは何かについて考えるヒントとなれば幸いである。
●もし日露戦争で東郷平八郎が司令長官でなかったら?
日本が日露戦争でロシアのバルチック艦隊を破って勝利できたのは、連合艦隊を率いた東郷平八郎司令長官の人格・識見・能力・胆力もさることながら、運の強さも大きかった。
東郷は、帝国海軍の艦隊に対し、「皇国(日本)の興廃、この一戦にあり。各員一層奮励努力せよ」とZ旗(船同士の意思疎通に用いる国際信号旗)を掲げて全軍の士気を鼓舞した。
事実、この戦いで敗北していれば、日本は滅びていた可能性も高い。
時は1904年(明治37年)。欧米列強が武力でアジア諸国を植民地にするのが当たり前の時代。負けていれば、今頃、私たちはロシア語を話していたかも知れない。
しかし、当時の最新鋭の探査機器や情報網を駆使しても、バルチック艦隊が日本近海のどこに現れるのかは明確にわからなかった。
バルチック艦隊の航路は、1.対馬海峡経由、2.津軽海峡経由、3.宗谷海峡経由の3つが考えられた。日本には艦隊を分散させて防備する余裕などなかった。
そこで、東郷は、様々な情報を分析し、バルチック艦隊が対馬海峡を通過すると予測した。そして、朝鮮半島南岸に主力艦隊を配置するとともに周辺海域に警戒網を敷く。
結果、東郷の予測の通り、バルチック艦隊が対馬海峡に現れ、これを殲滅し、日本は勝利できたのだ。
●「東郷平八郎は運のいい男です」
東郷平八郎を連合艦隊司令長官に推したのは、時の海軍首脳の山本権兵衛だった。
山本は、明治天皇に、「東郷平八郎は運のいい男です」と奏上した。
実際、東郷は、江戸幕末の薩英戦争から始まり、戊辰戦争では函館戦争や宮古湾海戦に参戦して生き残った、運のいい男だった。
西郷隆盛の推薦でイギリスに留学中だったため、西南戦争には参戦できなかった。東郷の実兄の小倉壮九郎は、西南戦争に従軍し、鹿児島の城山攻防戦で自決している。
東郷は英国からの帰国の途上、西郷隆盛が城山で自害したことを聞き及び、「もし私が日本に残っていたら西郷さんの下で戦っていただろう」と西郷の死を悼んだという。
東郷は運がいい男だった。そして、日本も運が良かった。
●松下幸之助が「自分には運がある」と思った訳
松下幸之助さんは、「自分には運がある」と思ったという。
幸之助さんが、そう確信したのは、以下のようなことがあったからだ。
電灯会社に入る前に、セメント会社の臨時雇いとして働いていた時、幸之助さんは、通勤用の船の船べりに腰かけていた。
すると、そばを通った船員が足をすべらせて海に落ちた。
その船員が落ちる際に松下さんに抱きついたため、幸之助さんは一緒に海に落ちてしまった。
幸之助さんは泳げなかった。何とか浮いたり沈んだりしていたら、船が戻ってきて、引き上げられた。
夏だったからよかったが、冬だったら死んでいたかも知れない。
また、独立して商売を始めたばかりの頃、自転車に乗っていたら、交差点で飛び出して来た車とぶつかった。
自転車ごと突き飛ばされて、電車道の上に飛ばされてしまった。
そこへちょうど電車がやって来たが、間一髪、2メートル手前で止まってくれた。
「やられた」と思って、そろそろと立ち上がってみると、不思議なことにかすり傷一つなかった。
その時、幸之助さんは、自分は「運がいい」と思ったというのだ。
そして、「運があるなら、ことに処して、自分はある程度のことはできるぞ」と何げなく考えたのだそうだ。
難しい問題に直面した際にも、「自分は運が強いのだから、何とかやり遂げられるだろう」といった信念を持つようになったと述べておられる。
海に落ちたり、車に衝突されたり、一般的に言えば、運がいいどころか、とんだ災難だ。
ところが、幸之助さんは、「だから、運がいい」と感じ、そう思い込んだ。
それが幸之助さんを成功へと導いたと言えば、「ただの、よく聞くポジティブ思考か?」などと思う人もいるだろう。
しかし、災難に合っても、すぐに気持ちを切り替えて、それをもって、自分の運が良いのだとまで思い、信じ込める人は常人ではない。
私のような小心者は、ああでもないこうでもないとクヨクヨ考えてしまいがちだ。
松下幸之助さんの生き方は、言わば、一点の迷いも曇りもない、何事もプラスに考えられる究極のポジティブ思考に違いない。
●美空ひばりさんが運を開いた言葉
昭和の歌姫、美空ひばりさんが52歳の若さで天に召されて、四半世紀あまりの年月が流れた。
横浜の高台に建てられた彼女のお墓には、今もなお毎日、数多くの花束が手向けられている。
幼くしてスポットライトを浴びて以降、日本の歌謡史に燦然と輝く大輪の花を咲かせ続け、永眠した後、何十年経っても愛され続けているひばりさんは、戦後の芸能界一の強運の持ち主に違いない。
しかし、ひばりさんが成功に至る運をつかむまでの道のりは決して平坦ではなかった。
歌手を夢見て一生懸命、歌の練習に励み、NHK『素人のど自慢』の予選会に出場する。渾身の力を込めて『リンゴの唄』を歌い切り、合格を確信するが鐘が鳴らない。
「歌はうまいが子どもらしくない」「非教育的だ」「真っ赤なドレスがはしたない」などと審査員から散々に酷評され、本選にも進めず、泣く泣く会場を後にした。
仕方なく、漫談の前座歌手として地方巡業の日々を送る。高知での公演の道中、一座が乗っていたバスが前方から来たトラックを避けようとして誤って崖に転落。
そのまま川底に落ちれば全員助からなかったが、バンパーが一本の桜の木に引っかかって九死に一生を得る。
ひばりさんは左手首を切り、鼻血を流して気絶してしまう。
瞳孔も開いて仮死状態だったが、たまたま、近くの村に居合わせた医師に救命措置をほどこしてもらうことができ、一命を取りとめた。
家に帰ると、父から「もう歌はやめろ!」と怒鳴られたが、ひばりさんは「歌をやめるくらいなら死ぬ」と決然と言い放ったという。
ある時、無名のひばりさんに運命の時が訪れる。当時、人気絶頂のボードビリアンだった川田晴久氏の舞台に声をかけられたのだ。
ひばりさんはこのチャンスを逃してなるものかと川田氏の節回しを徹底的に学んだ。
専門家による声紋鑑定でも二人の歌い方がほぼ一致するほど研究し吸収した。
ひばりさんは「師匠と言えるのは父親と川田先生だけ」と後に語っている。
その後、映画『悲しき口笛』の主演に抜擢され、シルクハットに燕尾服のいでたちで歌った主題歌が大ヒットし、国民的スターへの道を歩んで行く。
美空ひばりさんが運をつかむために自らに言い聞かせていたと伝わる言葉をご紹介したい。
「あせらず、おこらず、あきらめず」
「身を屈して、分を守り、天の時を待つ」
「今日の我に明日は勝つ」
※初出:【西川りゅうじんの発財開運コラム「りゅうじん様の言う通り!」】(2016年5月11日 神戸新聞・静岡新聞など各紙)
●神社にお参りして「神社エール」をいただこう!
神社にお参りして、神社からのエール、つまり「神社エール」を頂けば、心も体も元気になる。
「神社エール」は、いつでもどこでも誰でも、全国各地8万社以上もある神社の鳥居をくぐり、社殿の前で二礼二拍手一礼すれば頂ける一服の清涼剤だ。
事実、鎮守の森に抱かれた参道を歩くことは、清涼飲料ならぬ“清涼運動”である。
木々の中を歩くとすがすがしい気持ちになるのには理由がある。
ウォーキングが軽い運動になり、すがすがしい気持ちになるのに加えて、「森林セラピー」の効果もある。
樹木の発するフィトンチッド(森の芳香)やマイナスイオン、木漏れ日のゆらぎ効果によってストレスが軽減されるのだ。
言わば、カラダの中に自然のリズムを取り戻すことで、免疫力が高まり、ガンを死滅させるナチュラルキラー細胞が活発になることが証明されている。
また、神社がある場所には、人々の気持ちをリセットする何かがある。
私達が山や海、岩や樹や滝を見て、美しい、神々(こうごう)しいと感じるように、古くからそこに神社があるのは、いにしえの人々がその地の自然に対して畏敬の念を感じたからであり、そこがまさにパワースポットであるからだ。
だから誰もが心にエールをもらえるのである。
神社とは、多くの人にとって初詣や地域のお祭りに出掛ける場所だろう。
あるいは、結婚式、安産や受験や交通安全の祈願、七五三、厄年のお祓いなど人生の節目節目にお参りするところだ。
しかも、神社は年中無休である。
「思い立ったら吉日」というように、私達の先祖がしてきたように、新しいことを始める時、家族や友のことが気にかかる時、人生の壁にぶつかった時、たまたまその地を訪れた時、まずは神社に足を運んでみるべきだ。
私自身、全国各地で地域や産業の元気化のお手伝いをしているが、なるべく時間を見つけて、訪問先のその地の神社にお参りさせて頂くようにしている。
どんな事業も、天の時、地の利、人の和なくして成就しない。
施設造りや地域イベントなどの事業に取り組む時、一緒に仕事に携わる人達と神社に皆で参って拍手を打つと、心が一つになり、不思議と大きな事故やトラブルも少なくうまく事が運ぶ。
在学中に仕事を始めて30余年。まがりなりにも何とか生かして頂いて来たのは、各地の神社から、心身に「神社エール」を頂いているからに違いない。
また、その地域の一の宮は風光明媚な観光名所であるし、氏神や産土神(うぶすながみ)の中にも気持ちをほっとさせてくれる味のある社(やしろ)や祠(ほこら)も多い。
得意先や訪問先にうかがう前にお参りし、「早く着いたのでおうかがいする前にお参りさせて頂き、御社のご隆昌とご家族のご多幸をお祈りしてきました」と言えば、よろこんでもらえる。
それに、神社の創建にまつわる由来を読めば、地域の歴史・文化・風土・伝統などがよくわかるので話もはずむ。商談にプラスであることは言うまでもない。
最近、若者の間でパワースポット巡りが人気だが、日本人がはぐくみ、はぐくまれて来た神社ほど、“おしゃレトロ”なスポットはない。
「神社エール」は、プライベートにもビジネスにも御利益絶大である。
※初出:【西川りゅうじんの平成志事術】「鎮守の森から神社エール」(2009年8月27日 産経新聞1面連載コラム)
●あらゆる占いの源典『易経』が説く開運術
どうすれば運は開けるのか?
そのためには、人一倍、努力しなければならない。
しかし、どんなに努力を続けても、必ず花開くとは限らない。
古今東西、人は運をつかむ方法を知ろうと努めて来た。
それが占いとなり、おまじないとなって伝わって来た。
そういった現在に伝わるあらゆる開運占いやおまじないの源典となっているのが、約4~5千年前に古代中国で著されたとされる、世界最古の書物の一つの『易経』である。
今日の代表的な占いである「易」「八卦」「九星」「陰陽道」「風水」はもとより、「一朝一夕」「一陽来復」「虎視眈々」といったことわざや、「明治」「大正」の元号も『易経』が元だ。
同書は、お釈迦様、キリストと並ぶ世界史上の聖人の一人である、儒教の創始者、孔子が完成させたと言われる。
儒教に関する数多くの経典の中で最も重要とされるのが「四書五経」だ。
四書は『論語』『大学』『中庸』『孟子』、五経が『易経』『書経』『詩経』『礼記』『春秋』である。
五経の方が四書よりも重んじられ、中でも『易経』は、その筆頭に挙げられる。
この世の根本原理を示す帝王学のテキストとして、古来より各界の成功者の座右に置かれ、愛読されて来た。
「韋編三絶」(いへんさんぜつ)という言葉があるが、孔子がこの『易経』を学ぶために何度も何度も繰り返し読み込んだため、本を綴じるひもが三度も切れてしまったことから生まれた故事成語だ。
『易経』は、伏羲(ふっき)と呼ばれる聖人が、天を仰いで星の運行を観察し、伏して大地の理法を研究し尽くして体得した森羅万象の変化の法をまとめ、最初にこの書を著したと記されている。
伏羲は伝説上の中国最古の三皇帝の一人で、頭と上半身は人だが下半身は蛇だったと伝わる。
「窮すれば則ち変じ、変ずれば則ち通ず」(行き詰まって、どうにもならなくなれば、何かが変わらざる得なくなる。
何かが変われば、あのずと道は通じる)と同書は説く。
英語で『易経』は『The Book of Changes』と訳されるように、「易」とは、本来、「変わる」という意味だ。
つまり、その人の意識と行動が変わる、変えることこそが運を開くのに違いない。
日々の生活の中の小さな変化が、あなたに大きな幸運を招き寄せることを心よりお祈り申し上げます。
※初出:【西川りゅうじんの発財開運コラム「りゅうじん様の言う通り!」】(2016年5月11日 神戸新聞・静岡新聞など各紙)
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