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第19回(有名なシンボルほど見逃されている)「なまはげ」
◆なまはげ◆
有名な「シンボル」ほど、見過ごされている
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突然、なまはげが客席に入ってくるショータイムは、同店の一番の目玉だ。 |
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内装は、築120年の秋田の古民家を解体し、その建材や家具を再利用している。当時を知らない人にも、懐かしいと思わせる雰囲気が流れる
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秋田のアンテナショップ的な役割を持つ同店。
メニュー表には、生産地や生産者が明記され、秋田の物産の販売もしている
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今年3月、東京・銀座にオープンしたレストラン「AKITA DINING なまはげ」が、絶好調だ。
開店当初から予約が殺到し、月商は目標の2000万円を超えているという。
同店は、その名の通り、「秋田」をテーマにしたダイニングである。
メニューは、「ハタハタずし」「稲庭うどん」「きりたんぽ」「比内地鶏のレバ刺し」「がっこ」「とんぶり」といった
秋田料理の王道がズラリと並ぶ。
食材も、すべて秋田から取り寄せているそうだ。
日本酒も、地元44蔵の地酒が用意され、食 器も「大館曲げわっぱ」「川連漆器」「楢岡焼」など、
伝統工芸品が惜しみなく用いられている。
もっとも、このような秋田料理店なら、他にもあるかもしれない。
同店の独特な魅力は、男鹿市の伝統行事「なまはげ」を体験できることだ。
1日数回、出刃包丁を持ったなまはげが、
「悪い子はいねぇがぁ」「ケータイでメールばかりしてねぇがぁ」と客席を歩き回る。
秋田にあった築120年の古民家を丸ごと再利用した内装も、本物感を醸し出すのに一役買っている。
「なまはげの存在は知っているけど、見たことない。一度見てみたいな」…。
そんな風に考えるのか、このショーを目的に来店する客は少なくないようだ。
同店をプロデュースしたのは、(株)エイチ・ワイ・ジャパンの安田久氏。
監獄レストラン「アルカトラズ」や遊郭レストラン「性」をプロデュースした、" テーマレストランの鬼才"だ。
安田氏は、秋田県男鹿市の出身で、1年以上前から秋田料理店を東京に開きたいと考えていた。
その頃から、「『なまはげ』を使って演出しよう」と決めてい たそうだ。
昨年7月、郷里の若手経営者から地方活性化の相談を受けたのを契機に、彼らと共同出資で出店。
なまはげの構想を現実にし、成功に導いたわけだ。
今後は、他県をテーマにした店舗のプロデュースも手がけ、本物の食材を使った
地方活性化を図っていきたいと語る。
「なまはげ」といえば、日本人なら誰でも知っているような「秋田のシンボル」だが、
集客に利用した秋田料理店の店主はいなかった。
あまりに有名なので、 「すでに利用されている」と思い込み、使わなかったのだろう。
手アカがついていそうで、新鮮な「シンボル」は、まだまだあるかもしれない。
(カデナクリエイト/杉山直隆)
◆社長の繁盛トレンドデータ◆
『なまはげ』
住所:東京都中央区銀座8-5-6 中島商事ビル9F
最寄り駅・JR「新橋」駅徒歩3分
TEL:03-3571-3799
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