今年になって米国経済の二番底懸念が払拭され、先進国経済の回復が確認されるようになって、日本の証券市場も出遅れを取戻すような動きを見せています。ギリシャに始まる南欧諸国の財政問題、中国の不動産バブルや世界的な農産物価格高騰に対する金融引き締めの影響が気になりますが、先ずは順調な滑り出しといえそうです。
企業業績の回復を反映して株価がいち早く反応していますが、これから3月の年度末にかけて、決算予想が上方修正される上場企業も増加しそうな勢いです。そこで、楽しみなのが増配や復配という企業の配当政策の見直しです。昨今の株主重視の経営方針から、「税引き後純利益の30%を株主配当する。」というように明確な基準(配当性向といいます)を示す企業が増加しました。
また、株式や債券で運用する投信は、運用収益から分配金を定期的に投資家に支払いますが、今や利回りの高い分配型投信が残高の約60%を占めています。本稿の第29回で取上げた不動産投信も、全般的に利回りが高く根強い人気を維持しています。リスク(不確実性)とリターン(儲け)は表裏一体ですから、利回りの高さだけで投資判断しては間違いですが、値上り益(キャピタルゲイン)だけではなく、利子配当等の収益(インカムゲイン)を重視した資産管理に関心を持つ方が増えてきました。
参考までに、執筆時点の主要な金融商品の年利回りをご紹介します。どの商品も複数のリスクを持っていますので、これらのリスクをしっかり認識した上で、ご自分の知識や経験という身の丈にあった資産運用をして、上手に運用成果であるインカムゲインを獲得して頂きたいものです。