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第33回
悪ふざけでは済まない「バカッター事件」の深刻度
~SNSから「バカッター」が生まれる3つ理由~

次の売れ筋をつかむ術

「バカッター」(信じがたいバカな写真をツイッターなどにアップする人)による被害が跡を絶たない。
twitter(ツイッター)やfacebook(フェイスブック)やLINEなどの
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に、
明らかに犯罪であったり、公序良俗を乱す行為を、おもしろ半分で、本人自ら、不適切な文章とともに、
その現場で撮った不適切な写真を投稿する「バカッター」が全国各地に出没している。 

◆巨額の損失を生む「バカッター事件」が頻発
「バカッター」のために、店舗の閉鎖や商品の廃棄など企業にとって大きな損害となる
「バカッター事件」が頻発している。
 
もはや単に「軽率だった」「出来心で」「若者の悪ふざけ」では済まされないものも少なくない。
 
NAVER社が、ネット上の「バカッター」投稿や画像をまとめているので御覧いただきたい。 
【Twitter】140文字が狂わした人生~犯罪自慢・炎上まとめ~
http://matome.naver.jp/odai/2132708118341913001
バカッター画像 まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2135151557225273601
 
・病院の看護婦が、個人情報の記載された数名の患者のカルテの写真を
 不特定多数の人が見られるtwitterにアップ
 
・早稲田大学の学生が、twitterで、密漁や京都の伏見稲荷大社での
 公然猥褻写真を公開告白
 
・餃子の王将・新潟近江店の従業員が冷蔵庫に入った写真をfacebookに投稿
 →餃子の王将が謝罪し店は臨時休業に
 
・白木屋の男性店員がキャベツの葉をくりぬいてマスクを作り、それを顔につけたまま
 厨房で喫煙した写真をtwitterで公開
 
・国学院大学の学生達が公園の蛇口を尻の穴に入れた写真をtwitterに投稿
 →同大学が謝罪
 
・客が三重県内の回転寿司店で回転中のネギとろ寿司にタバコ突き刺して流した写真を
 twitterにアップ
 
・元ビーチバレー選手の浅尾美和さんが来店後、料理人が残飯を食べて「間接キスした♪」と
 twitterに写真を公開して自慢
 
・愛知県名古屋市のスシローの客が、しょうゆ差しを吸った写真をtwitterに投稿
 →スシロー本社は店舗を特定できず、県内36の全店のすべてのしょうゆ差しを洗浄し、
  しょうゆを入れ替え
 
・少年2人が北海道釧路の交番でパトカーの屋根に乗りtwitterに写真投稿
 「中2病だからみんなでパトカー荒らしてきたぜー」 →器物損壊の疑いで逮捕
 
・高校生が精米機の中に入って撮影し、「精米所なう」 と twitterに投稿
 
・高校生が地下鉄線路に飛び降り悪ふざけする写真公開し、
 「人身事故なう」とtwitterにアップ 
 
・ピザーラのアルバイト従業員が水洗いのシンクや冷蔵庫に入る写真を
 twitterで公開
 
・客がお好み焼き店でソース容器を鼻に突っ込んだ写真公開
  tu33-01.jpg
 
・19歳の客が大分のマックスバリュの店舗のアイスケースに寝そべった写真をtwitterに掲載
 →店舗はアイスクリームの代金を返金、客は器物損壊容疑で書類送検
  tu33-02.jpg
 
・ピザハットの店員がピザ生地を顔に貼り付けた写真をtwitterに公開
  tu33-03.jpg
 
・駒澤大学の学生がアルバイト先の居酒屋から商品を常習的に盗んでいる犯罪をtwitterで告白
 →就職が決まっていたのに内定取り消しか
 
・そば店のアルバイトが厨房の洗浄機に入った写真やシンクに素足を乗せた写真をtwitterに投稿、
 店が不衛生すぎると話題に
 
・ステーキハウスのブロンコビリーのアルバイトが冷凍庫に入って遊んでる写真をtwitterにアップ
 →関東進出の足掛かりとなる店だったが閉店
 
・丸源ラーメン門真店の女性店員が、商品の冷凍ソーセージを口にくわえた写真をtwitterにアップし、
 「色んなものパクった」と窃盗を自慢 →運営会社が謝罪
  tu33-04.jpg
 
・お弁当店ほっともっとの店員が冷蔵庫で寝る写真をtwitterに投稿
 →閉店
 
・バーガーキングの店員が、ハンバーガーの大量のバンズの上に寝そべる写真をtwitterに公開
 →運営会社が謝罪
  tu33-05.jpg
 
・ミニストップで店員が股間にレジのバーコードリーダーをあてた写真をtwitterに投稿
  tu33-07.jpg
 
・高校生がミニストップのアイスのケースに入った写真をtwitterに投稿
 
・京都府のミニストップで、若い男性客がアイスクリームの冷凍ケースに入って横になった写真を投稿
 
・高知県のローソンで、男性従業員がアイスクリームケースに入った写真を投稿
 →フランチャイズ契約解除・休業
 
その他、枚挙にいとまがない。
 
以前にも、この連載コラムの、2011年7月15日にUPされた、
第7回「企業を揺るがす『ICT(情報通信技術)事件』を防げ!」
http://www.jmca.jp/column/tu/tu7.html
の中で、
 
ネットクーポンのグルーポンのお粗末おせち事件、
ウェスティンホテル東京におけるサッカー選手カップルや財界人の会食暴露事件、
京都大学・早稲田大学などの大学入試における携帯カンニング事件、
アディダス社員によるサッカー選手誹謗中傷事件などを例に、
ICTの進展による、日本の社会と企業を揺るがす新たな事件について警鐘を鳴らすとともに、
その対策について考えた。
 
その後、スマホ(スマートフォン)とSNSの爆発的な普及をはじめ、さらにICT社会は進んでいる。
 
IT(情報技術)が浸透すればするほど、子どもの頃から使用に慣れマイナス面も熟知した若い世代を中心に、
そういった不祥事や事件は減ることが予想されていた。
 
しかし、相次ぐ「バカッター」事件に見られる通り、事態は収まるどころか、さらに深刻さを増すばかりだ。
 
◆SNSは「バカ発見器」?「バカッターが生まれる3つ理由」とは?
 
今や、twitterやfacebookなどSNSは、まさに「バカ発見器」である。
tu33-08.jpg
 
しかし、なぜ、「バカッター」は、このように、自らのバカを、わざわざ写真や文章でネット上にさらすのか?
 
そして、なぜ、それが短期間の内に不特定多数の人達に知れ渡って、いわゆる「炎上」し、
社会問題化してしまうのか?
 
その背景には、ネットもSNSも当たり前となった現在のICT社会における、
「バカッターを生まれる3つ理由」があると私は分析している。
 
○第1は、「SNSの特性」である。
 
twitterやfacebook、LINEなどのSNSは、ユビキタスに(いつでもどこでも誰でも)、
すぐ気軽に情報を発信し、他の人とつながることができる。
 
そのリアルタイム性がおもしろいし、価値そのものである。
 
しかし、為政者や芸能人がtwitterなどで軽はずみに問題発言をして、時折、炎上しているのと同じように、
深く考えることもなく、その場のノリや思い付きでアップしてしまう可能性もある。
 
若者のみならずエリート官僚とて例外ではない。
 
復興庁の参事官が「左翼のクソども」とtwitterでツイートしたり、
tu33-09.jpg
 
在スリランカ日本大使館の一等書記官が自身のfacebookに同国政府の関係者の写真を掲載し、
「風貌だけはそのスジっぽかった」 と書き込んだ事件もあった。
 
○第2は、「内輪受け」である。
 
時折、老若男女を問わず、居酒屋や喫茶店などの隣のテーブルのグループが、誹謗中傷や悪ふざけなど、
とんでもない話をしていることがある。
 
人間には、年齢や性別を問わず、内輪で盛り上がっていたり、気持ちが高ぶっていると、
周囲が見えなくなる習性がある。
 
また、大人でもそういう場合もあるが、若者は特に、他の人達には秘密で一緒に悪いことをすることで
仲間意識を共有する。
 
日本は均質的・画一的な社会なので、仲間内のプレッシャーが強い。
 
「KY」(空気読めない)とは、あくまで、仲間内で空気が読めないという意味であって、
そのグループが社会全体の空気を読んでいるかなど関係ない。
 
だから、グループは暴走し、社会的に見れば、とんでもないことをしでかしてしまうのだ。
 
中でも、昨今、若者の間では「おもしろい」かどうかが、仲間とのコミュニケーションにおいて
非常に重要な位置を占めている。
 
閉じたコミュニティの中で、「すべらない」お笑いネタを提供し続けることが大切になっている。
 
そのため、ネタを作って笑いを取ることに没頭するあまり、自らウケ狙いの非常識な行動をし、
仲間に発信してしまうのだ。
 
○第3は、「ネット保安官」の活躍である。
 
インターネットは誰もが利用できるようになったものの、現在も日進月歩ならぬ秒進分歩で進化を遂げている。
 
そこはまだ誰も足を踏み入れたことのない未知の領域であり、現状のすべてを理解し把握することなど
不可能だ。
 
当然、企業も行政も法律も警察も、現実よりもずっと後手に回ってしまう。
 
言わば、新世界アメリカの西部開拓者時代と同じだ。
 
そこには、公に認められた警察官はいない。
 
その代わりに、自然発生的に生まれた、治安を守る保安官がいる。
 
当時、最先端のツールであった銃をあやつることに長けていたため、自主的に保安官となった、
あるいは周囲から任せられた治安維持請負人だ。
 
保安官はあくまで民間人だ。中には荒くれ者もいれば、自己顕示欲の固まりもいる。
 
「バカッター」のバカな仕業が不特定多数の人達に知られ、社会問題化して、時には法的に罰せられることに
なっているのは、21世紀の日本の新世界であるインターネット開拓者時代の保安官の活躍によるものだ。
 
「ネット保安官」とも呼べる彼らは、ボランティアというよりある種の楽しみで、
「バカッター」投稿を見つけ出し、
twitterでリツイートしたり、facebookでシェアしたり、2ちゃんねるに投稿するなどネット上に拡散する。
 
そして、さらには「ネット保安官」の鑑識係である「特定班」が、技術と知識と経験を駆使して、
「バカッター」本人の氏名や写真や所属などを特定する。
 
それらの情報を、2ちゃんねるをはじめとするネット上に拡散したり、「バカッター」が所属していたり、
「バカッター」から被害を受けた企業の本部に通報する。
 
「ネット保安官」は、一面では、身をもって、「バカッター」と社会に警鐘を鳴らす正義の味方だ。
 
しかし、時には企業側が謝罪し徹底的に消毒しても、「対応が手ぬるい」と厳しく糾弾し続けたりすることで
反応を楽しんでいる場合などもある。
 
ITは諸刃のやいばである。
 
「バカッター」は、日本の企業と社会にとっての脅威であり、新たなリスクだ。
 
事件が発生した際の迅速かつ誠実な対応と、地道なICTに関する教育・啓発が求められる。
 
 

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