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人事・労務

第15話 ヨソの会社は社長の報酬をどう決めているか

「賃金の誤解」

 「よその会社の社長報酬額はいくらか?」。賃金管理研究所で行っている、役員報酬実態調査から最新の情報をお伝えします。

 まず会社を代表する社長の報酬を調べてみましょう。役員報酬は毎月決まってもらう「基本報酬(定額給与)」と期ごとに業績と貢献度を確認して決算後決める「役員賞与」、あるいは期の始まる前に決めておく「事前確定届出給与」があります。

 そのうちで最初に確認すべき報酬は、従業員の月例給与に相当する「基本報酬」です。この基本報酬から世間水準は調査します。

 社長の基本報酬の実態には、当然のことながら、規模の大小により格差があります。そのため正確に「社長の基本報酬の実態」を知るためには、まず規模別の分析が必要となります。

 読者の中には職種も報酬に関わりあるはずだとお考えの社長もいらっしゃると思います。しかしそれは、その業種の規模の限界がどれほどか、大企業が多い職種か、中堅、中小企業が多い業界かを考えればおのずと答えは出てきます。
 従業員規模別に社長報酬を大くくりに集計した結果が下の図表になります。企業規模と社長の基本報酬月額には明確な相関性があることが確認できます。

従業員規模別にみた社長報酬月額
従業員規模区分 平均報酬月額 倍率
10000人以上 521万円 2.08
1000人以上10000人未満 376万円 1.50
100人以上1000人未満 265万円 1.03
100人未満 151万円 0.60
規 模 計 251万円 1.00


 社長の基本報酬月額は平均額で251万円でした。これを従業員規模別で見ると、従業員10000人以上の大会社の社長は521万円、従業員1000人以上10000人未満の中堅企業は376万円ほどであり、100人以上1000人未満の中規模企業では265万円ほど、小規模企業の社長の月例報酬は150万円ほどとなっています。

 規模計を1.00とした場合、その格差は大企業では2倍近くとなり、中堅企業は、1.5倍になります。

 もちろん、ここに出ている数値はおおよその平均的な数値を示したものです。従業員規模で自社の規模と一致したからといって、「自社の社長・重役の基本報酬額」にそのまま当てはめて決めれば、それだけで良いというものではありません。
 なぜなら、社長といっても、その実態は創業社長なのか、2世社長か、社内昇進の生抜き社長か、親会社からの派遣社長か、あるいはスカウト社長かなど、それぞれの事情によって大きく異なるからです。さらに何年間社長に在籍しているのか、どのような役位を何年経験して社長になったかというような様々な要素の違いが大きく関わってきます。それらを包括しつつ、平均値として集計したものがこの数値になります。

 企業規模、特に従業員規模と基本報酬額は良く比例していることは注目すべきところです。このデータを参考に、ぜひ一度、自社の報酬と見比べてみてください。

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