正規の給与基準では雇い入れができず、かといって正規従業員とのバランスも無視するわけにもいかない。そんな特別な技術や特殊な技能を必要とする仕事があります。このような場合の雇用と給料の決め方について考えてみましょう。
一つは嘱託とか契約社員として、より高額の年俸で処遇する方法です。期間の定めのある契約雇用ですから社内の正規従業員とのバランスはあまり問題になりません。
何故なら、それらの契約社員には、昇給や賞与、あるいは退職金のことなども、原則としては考える必要がないし、高給であっても身分的にも解雇可能の立場におかれているからです。
特殊研究職、嘱託デザイナー、コピーライター、カメラマン。加えて為替ディーラーやファンドマネージャー、そして医療現場を支える医師等の高度専門職にそうした例がみられます。
また職人の組合や、会などから派遣されている料理職人や船上勤務者の例なども、これに属すると考えてよい場合があります。
もう一つは、正規従業員としての採用が妥当ではあるが、通常の賃金水準から見れば、高い給料を保証する必要のある職種があります。
正規従業員としての雇用である限り、賞与や昇給、昇格から退職金のことも考えざるを得ないので、みだりに基本給を高くすることは許されません。結局は共通基準として定めた「責任等級」を根拠に基本給を定め、それに職種を考慮した「特技手当」をプラスして給与支給する方法をとらざるを得ません。
「特技手当」の本質は、仕事に欠かせない技術や技能を評価して、給与を保障するのですから、「公の免許認定制度」のある仕事に付けられる傾向があることも当然です。しかしその本質は「免許資格をもっているから付ける」というものではなく、その職種に携わる場合の給与水準が他の職種より高いから、差額分を、「特技手当」という名目で補うわけです。
「特技手当」は、その職種の仕事に携わっている時に支給される手当ですから、公の資格を持っていても、他の職種に異動したときには不支給とします。
このほか特殊車両の運転手や薬剤師あるいは看護師等の中には市場賃率との関係で、「特技手当」に加えて「調整手当」を付けざるを得ないケースがあります。本来、「調整手当」とは毎年消却することを条件として設定する手当ですから、昇給制度等の運用に当たっては、他の正規従業員の昇給と若干区別せざるを得ないと考えられます。