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経済・株式・資産

第123話 経営とリスク(8)

あなたの会社と資産を守る一手

 法人において減価償却は任意といわれています(注1)。そして任意だからこそ減価償却を使って利益の調整ができます。利益の調整とは言わずもがな、法人税・地方税の納税額を減らしたり、または決算で減価償却をしないことで利益を計上し、銀行に良い印象を与えることです。

 ところが、決算を銀行側によく見せようとして減価償却を減らして利益を計上しても、銀行側は別表16(1)の当期償却額とその内訳明細書を一瞥することですべてがわかってしまいます。つまるところ、減価償却を財務内容をよくみせるために利用しても意味がないことになるわけです。

 では、減価償却を利益の減少・納税額の減少の為に使うのはどうかというと、償却限度額の範囲内で調整できるものであるためかなり重宝します。一般的な中小企業であればこの二つを考慮するだけで減価償却を考えますが、じっさいには、さまざまな理由で「この固定資産を計上したくない、あるいは、1円の簿価にしておきたい」とか、
ソフトウェアで簿価があるうちに機能的に使えなくなっても、蓄積されたデータをとりだすために使うことがありそうなので除却を考えると、始めから中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(注2)を使って全額損金としておき、固定資産にはのせたくないとか、今期はしょうがないが、次期以降にこの固定資産を保有していることを知られたくないなどの理由から、税法上の制約を考慮してどのように経理処理するかを判断しているのが現状です。

 土地以外の固定資産を買った場合、その取扱いはおおよそ4つあります。

(1)一般的な減価償却・・・税法のルールで減価償却する

(2)中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例・・・損金処理する

(3)一括償却資産の特例・・・10万円以上20万円未満の減価償却資産で3年間の均等償却を行い、損金計上する

(4)圧縮記帳・・・固定資産の購入で補助金を利用した場合、購入価額を購入金額から補助金の額を差し引いた金額として圧縮して処理することで税負担を減らす

 いずれにしても、どの方法を選ぶかで納税額の多寡が決まりますのでよく考えて判断するにこしたことはありません。

 

 

注1:減価償却費の計上は、法人の場合任意償却です。会社の判断により任意で償却できる取り扱いになっています。根拠条文は下記です。

(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)
法人税法第三十一条 参考

内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。

注2:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 参考国税庁HP

中小企業者等が、取得価額が30万円未満である減価償却資産を平成18年4月1日から令和4年3月31日までの間に取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとに、その取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができます。 その取得価額の合計額のうち300万円に達するまでが限度となります。

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