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採用・法律

第78回『ポイントは自由に付与していいの?』

中小企業の新たな法律リスク

 アパレル業を営む安斉社長は、自社で取り扱っている商品をECサイトで販売するにあたってECサイトで利用することができるポイントを導入しようと考えており、導入する際に注意すべき点を聞くため、顧問弁護士である賛多弁護士のところにやってきました。

* * *

安斉社長:賛多先生、弊社で扱っている商品をECサイトで販売しているのですが、もっとECサイトの利用者を増やしたいと考えておりまして、ECサイトの登録者や利用者がECサイトで利用することができるポイントを配ることができないかと思い、ご相談に参りました。

賛多弁護士:それはいいですね!御社が取り扱っている商品は魅力的ですし、ECサイトがより活性化する方策として良いと思います。登録者や利用者に対して付与するポイントにも様々なものがありますが、どういったものを付与されることを想定していますか?

安斉社長:大手が発行しているポイントを導入しようとも考えたのですが、コストが掛かりすぎるのではないかという点などで悩んでおりまして、とりあえず弊社でポイントを発行して、弊社のECサイトで使えるようにしたいと考えています。法的にどのような問題があるでしょうか?

賛多弁護士:検討が必要な法律は主に、資金決済法、景品表示法、消費者契約法などですね。付与するポイントは、顧客があらかじめポイントを購入して、そのポイントを使って商品を購入するようなものではないですよね?

安斉社長:そうです。ECサイトへの登録や顧客がECサイトで商品を購入した購入金額に応じて付与するものを想定しています。

賛多弁護士:そうであれば、利用者が対価を支払って発行したものではないので、資金決済法の適用はないですね。御社は、様々な業者とも繋がりがあると思いますが、付与するポイントは、他社でも使えるポイントに交換できるようにしますか?

安斉社長:いえ、とりあえずは弊社のECサイトで使うことだけを想定して、他社でも使えるようにしたり、他社のポイントに交換できるようにしたりする予定はないです。また、特定のものしか買えないようにしたり、交換したりするものではなく、弊社のECサイトで商品を購入する際に利用することができるようにしたいと考えています。

賛多弁護士:ポイントはどのように利用しますか?

安斉社長:ECサイトで商品を購入する際に、ポイント付与率を購入額の1%とし、1ポイント当たり1円として利用することができるようにしたいと考えています。

賛多弁護士:そうであれば、割引券のような値引きと同じで、「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」として景品表示上の景品類にも該当しないので、景品表示法の適用もないですね。ただ、実際にはポイントが付与されない商品であったり、一部の商品にしか適用されない高いポイント付与率が適用されなかったりすると、表示の仕方によっては景品表示法上の不当表示に該当することになりますので、注意してくださいね。

安斉社長:そうなんですね、ポイントプログラムの内容が決まったら、どのような表示にすべきか、先生に相談しますね。

賛多弁護士:また、ポイントの有効期限について、ポイントを付与された顧客の利用が困難となるような短い期間を設定したり、ポイントプログラムの内容を顧客の不利益なように一方的に変更したりすると、消費者契約法上無効となる可能性がありますので、この点も注意してくださいね。

* * *

 昨今のEC市場の拡大に伴ってその需要を取り込むために顧客に対してポイントを付与して取引を促進することが非常に多く行われていますが、企業によって発行されているポイントは千差万別であり、企業戦略に応じてポイントプログラムの設計が必要であるとともに、検討が必要な法律も変化します。
 今回はポイントの付与について取り扱いましたが、ECサイトの運営やEC需要を取り込むための様々な施策等についても、様々な法律が関わっていますので、これから始めようとしている企業も既に始めている企業も、問題解決・改善のため専門家にご相談してはいかがでしょうか。

執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 鵜飼 剛充

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