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第32回 真似て、組み合わせて、工夫して高成長、高収益:「SFPダイニング」

深読み企業分析

事業を拡大するためには他人が思いつかないような新規のアイディアを考え出すことが重要であることは論を待たない。しかし、新規のアイディアを思いついて、そのアイディアで成功するのはまた至難の業である。外食産業において、新しい業態の開発を行っても、それが成功するのはまさに千三つの世界と言われている。
 
その中でより確実性の高い手法によって、急成長を遂げているのがSFPダイニングという外食企業である。同社の創業は名古屋名物の手羽先唐揚げの名店で学んだ創業者が、その味を記憶に頼って思い出しながら吉祥寺で「鳥良」を創業したのが初めである。
 
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その後、創業期にはいくつもの業態を開発するが、結局は創業業態である手羽先唐揚げ店を多店舗展開することになる。
 
今、同社は24時間営業の居酒屋「磯丸水産」で急成長している。24時間営業で名が知られているのが、「すしざんまい」であるが、すしざんまいの24時間店舗は全体の60%ほどであるが、磯丸水産は90%以上が24時間営業である。
 
同社がこの業態に行きつくきっかけは、当時はやっていた海鮮居酒屋をまずは徹底的にまねることから始まった。とにかく、簡単にまねるというのではなく、徹底的にまねることが重要だということである。外食産業では流行っている業態をまねることは多い。しかし、すべてではないが多くは本家には太刀打ちできずに終わることが多い。
 
同社ではそれでは意味がないと考えている。つまり、やるからにはまず徹底的にまねてみることから始める。しかし、まねるだけでも意味がない。徹底的に突き詰めることで、その業態の問題点をひとつずつ解決していって、業態に磨きをかけるのである。そこで初めて、本家を超えることができると考えている。
 
そして、そこにさらに他の手法を付け加えるということである。磯丸水産であれば、24時間営業という手法である。このようにして生み出された磯丸水産は高収益業態として同社の高成長をけん引している。図は同社の1店舗当たり売上高と経常利益率の推移を対比させた図である。磯丸水産の開発によって、1店当たり売上高は着実に上昇し、今や売上高経常利益率は10%強と、外食産業内のトップクラスとなっている。
 
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有賀の眼

この組み合わせるという手法は様々な産業で用いられ、それぞれ大きな成果を収めている。かの孫正義氏の逸話として有名なのが、電子翻訳機である。氏は学生時代にすでにあるものを組み合わせれば新しいものができると考え、その中から選んだのが電卓+辞書で電子翻訳機であった。そして、そのノウハウをシャープに売り込んでやがてシャープから世界初の電子翻訳機が発売されることになる。これは氏が時間のない中で新しいアイディアを編み出す方法として考えたものである。
 
真似て、組み合わせて、工夫するという手法は実に応用範囲が広いように思われる。新規のアイディアを考えることは、並大抵ではない。しかし、二つのものを組み合わせてみると、漠然と考えていた時には、軽く見過ごしていても、改めて深く考えてみると、意外に価値が発見できる可能性はあろう。
 
もっとも、孫氏はそのようにして考え抜いて、250ものアイディアを導いて、その中から電子翻訳機に絞ったということである。そこまで、考え抜けば、単なるアイディア倒れに終わることはないのであろう。
 
 
 

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