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26軒目 「手打ちパスタで行列ができる店」

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

「イル・コラッジオ」(石川県野々市町)

 金沢市のとなりに石川郡野々市町という町があります。昔はほとんど店が無かったのですが、出店が相次ぎ、金沢近郊でも屈指の激戦地となりまし た。
 
 この激戦地に地域の女性に愛され、繁盛しているイタリアンがあります。それが、イル・コラッジオです。
 
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このオーナーの西田氏はイタリアでパスタを学んだそうで、そのイタリア人から学んだ「魂をこめるパスタ」を毎日打ち続けます。
 
 店の人気は何と言っても手打ちパスタです。毎日、打ち立てのパスタにこだわります。それも種類が多い。イカスミを練りこんだタリアッテレ、キ タッラ、トルッテリ、ラビオリ、ガルガネッリなどなど非常に種類が多いのです。このような手打ちパスタの店は地方では非常に珍しいです。
 
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 一般に地方ではショートパスタはなかなか売れません。したがって、このような品揃えで繁盛まで持っていくには、絶対的な商品力、そして、それ を信じる忍耐力が非常に重要になります。
 
 その理由は日本の面の文化にあります。日本では、もともと、うどんやそばといった長い麺が存在する環境下で、パスタ=スパゲティという構図で 食の普及、浸透したことが大きくからです。どちらかというと、小さなポーションのパスタはおかずや、おつまみ的な感覚があり、それで食事とすることに馴染 まないのです。
 
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 その一方で、ロングパスタはオペレーション面では難しいです。結果、多くのイタリアンは乾麺のスパゲティに依存するか、市販の数少ない生麺に 妥協し営業しています。しかし、このやりかただとチェーン店との大きな違いを作りづらく、飽和した環境下では差別化するポイントにはなりませ ん。
 
 イル・コラッジオが繁盛している姿を見ると、2005年、外食産業が迎えた新しいステージになったことを実感します。
 
 実は、私は、本場イタリアでおいしい手打ちパスタを何度も食べましたが。時として、感動に値するものもありましたが、日本ではこのようなパス タに出会うことは本当にまれです。例えば、三ツ星の「ダル・ペスカトーレ」は出会ったことがありません。三ツ星に行くかは別として、多くの日本人はイタリ アに旅行し美味しい食事をしているはずです。今、パスタの普及期は終わり、みんなが満足するようなものではなく、本場で出てくる食文化としてのパスタを食 べたいという人にフォーカスできる時代になったのです。
 
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 このイル・コラッジオは、この本場の味にこだわりました。その手打ちパスタに全精力を結集し、技術と精神力で、他では食べられない味を実現し たのです。それが、ランチタイムに多くの女性がおしかけ、電話に出られないほどの繁盛店へと替えたのです。
 
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 オーナーの西田さんは言うでしょう!「魂をこめるほどの技術があるなら、自分を信じて信念を持ってお客様の喜びにフォーカスすれば、時代が変 えられる!」と。
 

イル・コラッジオ
石川県石川郡野々市町御経塚1-477
電話 076-248-3970
 
ホームページ http://www.ilcoraggio.com/index.html

 

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