1、 回転主義経営
中小企業の経営者の経営知識の中で、一番欠如し、理解されていない言葉に (総資産)回転率 がある。
売上を上げるべく努力するのは結構ですが、資産がそれに伴って増大すれば、回転率が低下してよくありません、ということをなかなか理解してい ただけない。
すなわち流動資産の現預金、受取勘定、在庫等と固定資産の土地、建物、機械、有価証券が増大してはならないという理屈です。
しかし、このことは毎月見る損益計算書には出てきませんので感覚的に理解しにくいのです。ひどい時は増えるのが当たり前と思っている方がい らっしゃるのです。
「不良資産を一日も早く損失で落としてください」とアドバイスをし続けているのですが、素直に理解して落としていただける企業は少なく困って おります。実務者も経営者もなぜ反対するのでしょうか・・・
「利益が多く出る会社ならいいでしょうが、私としても会社がそれをやれば赤字になり、銀行からの融資もストップしてしまい倒産になります!」 とおっしゃる。建設、不動産業にいたっては官庁の経営審査もあって、赤字にもかかわらず黒字に粉飾して、銀行借入で納税されている企業があ る。
2、日本の申告所得 黒字会社はたったの1/3
日本の法人数は259万社(平成20年3月期)です。赤字計上企業が173.5万社67.1%です。過去10年間調べても,常に黒字法人は 1/3しかありません。申告所得が常に低いということ。そして、資本金1千万円未満の法人が56%、1億円未満が42.4% 合計1億円未満企業が 98.4%なんですよ!
これは何を意味していると思われますか・・・(?)営業利益も経常利益も黒字の会社でも、申告所得は赤字なのでしょう。はっきり言いますと、 納税はできる限り小さくしたいのです。
申告所得が赤字だと言って気にする必要はないのです。77%の企業で赤字です。もし、銀行が申告所得の黒字の会社としか取引しないと言うな ら、銀行の商売には成り立ちません。
3、有償解除
不良資産(土地、建物、有価証券)の含み損があれば子会社等へ売却して、売却損、除去損を出しなさいと申し上げている。
「先生、そうはおっしゃってもその物件に銀行担保がついております。売却代金を全額を返しても担保不足が発生するので、銀行も担保はずしには 応じてくれません・・・」とおっしゃるのです。
真剣に銀行の上層部の方と話し合わないからこういう事が発生するのです。
先日も、定年後に入社されてきた銀行の元支店長経験者とお話をしていると「井上先生のおっしゃる通り、今やオフバランスは当たり前です。どんど ん銀行としては進めていますし、担保不足になっても別に構いません。
残った未払いになる銀行借入残に関しては、新しく「リスケ」(返済期間の新しい決定)を行い、不動産担保なくても貸しますよ,われわれはそれ を「有償解除」といっているのですが・・・」
過大な借金を減らし、残りの少なくなった借入金を新たな条件(返済期間、金利、個人保証)でやれば、毎月々の返済金も少なくなり資金繰りは楽 になりますものね。
未だにご存知なく、納税に努力されている方々はお気の毒にと思うことばかりです。