「地方銀行ですがメイン銀行の担当者から、我が銀行は所有している地価の下がった土地(不良資産)を子会社に売却するというような脱税行為のお手伝いはで きません!との回答がきました」とか
「我が取引銀行の支店長は税引前利益が赤字になることに、もう一ついい顔をしてくれないのですが・・・」
との質問を受けた。
税務の事しか知らない頭の固い税理士が言うならイザ知らず、今時そんな銀行員がいるのかと、私は信じられない気分である。
「そんなバカな銀行員が居るなら呼んでこい!」 と叫んでも現実はそうでもなさそうである。
私はブログで資産圧縮のやり方を書いているが、それを懇意にしている大手銀行の幹部に読んでもらい、意見を求めた。
「先生の原稿におかしいところはありません。我が銀行は今は、資産圧縮による節税をアドバイスしています。その結果キャッシュフローがよくな り、現預金が多くなったとしても借り主の多くは、決して借入金をすぐ返済するとはおっしゃいません。なぜなら助言者、御礼のつもりで当行の借入金はそのま まにしていただけるのです」
「資産を子会社に売ったのでしょう。親会社に貸していた貸付金を今度は子会社に貸し変える、貸付金を転がす、すなわち転貸しと我々は称するわ けで、通常にやっていることですからどうってことないですが・・・」との回答である。
前半の私の申し上げていることは銀行の方も別に今では珍しい策ではないとおっしゃっていただける。
しかし、現実はその普通が普通に通らないのはなぜだろうか?
赤字であればすべて悪なのでしょうか・・・・
「井上先生 恥ずかしい話ですが我が銀行でも支店長の約30%は、実はB/Sが読めません。外為を回ったり事務方を長年やった人間の中にはそ のような発言をする支店長クラスが存在しているのかも知れませんね」
経営者ならおわかりのはず。2~3年ごとに支店長が変わり、その時々の支店長で全く中小企業の経営がわかってない人物にお目にかかる事がある 事を・・・・・
だからその時々で全くB/Sのわからないガチガチ保身、ダメ支店長にぶつかれば出る金も出なくなる。その為にも取引銀行は3行~4行を目途に 作っておくのが正しいのである。
中小企業にとって、これからの金融情勢の中では、都市銀行や信金を一行に絞って「メイン銀行だ」と言えない時代がきている。頼りにしていたは ずのメイン銀行は、業績が悪化した業界や中小企業を助けてくれない。
むしろ一番厳しく対応してくるのがメイン銀行なのである。メインだけに経営状況のすべてを把握しているからだ。だからイザというときを迎える と、身ぐるみはがされる。いや首吊りの足を引っ張るような役割をするかもしれない。
この頃、どこを取引銀行にすればよいか、よく質問を受けるようになった。
図を参考にしていただきたいが、「目的別」「規模別」に違ってくる。
1、目的別にバラバラにしておく
個人と法人で銀行を分ける。とくに家族名義、個人の不動産収入も別の金融機関にする。売掛金入金、借入金、割引手形持込、定期積金、社員給与 振込銀行なども目的別に金融機関を分けるべきだ。
2、身の丈に見合った金融機関
小さい会社はメガ銀行とは取引せず、政府系や地方銀行、信金・信組にお願いし、商売の規模が大きくなったら大銀行と取引するというように、自 社の成長に合わせて付き合う銀行を選ぶべきである。
規模の小さい会社にメガ都市銀行が取引を申し込んできたとしても手放しでは喜ぶ必要はない。
3、経営不安のある銀行とは付き合わない
破綻金融機関やその噂がささやかれる銀行は遠ざけるべきだ。先に拓銀をメインにしていたB社が黒字にもかかわらず倒産の危機に瀕している例を 私の著書(カネ回りのよい経営)で紹介した。ダメな銀行と取引していると大変な目にあう。
4、銀行系リース会社を避ける
リース会社は銀行系ではなくリース専門会社をお薦めする。なぜかと考えてみて欲しい、落ち目になったら大変だ。
井上式 経営 事業規模別の推奨 「 銀行お取引数」