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戦略・戦術

第217話 借金をする者は やがて後悔する(イギリスの古格言)

強い会社を築く ビジネス・クリニック

① K氏は 真の経営コンサルタントと呼べない

 経営コンサルタントは 本来 実経営体験も大切ですが、理論的裏打ちも必要となります。経営コンサルタントなる者の行動・発言は「クライアント企業を倒産の道に導いてはいけない」が第一なのです。
 そのためには、企業の収益性(儲ける)の向上のお手伝いをする事なのです。
 収益性とは、総資本経常利益率の向上なのです。等式で申せば図―1のようになるのです。

                                                          
 分母の少ない資産でいかに分子の経常利益を出すかなのです。借入金が多くなればB/Sの右側の総資本(産)が膨れ上がり、他人資本に頼る経営になり、決して褒められるものではないのです。
 よって、借りられるだけ借金せよ!とは絶対言えないはずです。
 一倉定先生のセミナー塾生としてK氏は学ばれ、多くの影響を受けられ、立派な経営者・成功者となられたのでしょう。しかし、氏の事業は清掃業のフランチャイズの経営をされておられての成功なのでしょうが、この事業特性は、財務的知識がなくても事業が出来る業種なのです。世の中には業種によって、建物・設備がいらない、売掛金も少なく早い回収が可能な業種もあれば、一方、設備が高額になり回収の遅い業種もあるのです。
 倉庫業・貸しビル賃貸業・メーカー・ホテル・病院等の様に固定資産の必要な業種種は、どうしても初期投資金額は膨大になり、長期借入金に頼らなければならない業種。
 一方、メンテナンスサービス業、人材派遣業は設備もいらず、回収も早いので業績もあがるのです。
 業種特性も考えずに、やみくもに銀行借入金を増やせなどと真剣に経営する人々に決して言えたことではなく、全くのミスリードなのです。

 

② 回収が遅い、在庫が多いから短期借入金が発生するのです

 私達ICOのコンサルタントは、「借入金」「資本調達法」にあまりにも無知な経営者(貸借対照表が読めない)の現実を知り、その知識の為に井上和弘の経営革新全集10巻を書き、多くの賛同を得ているのです。
 私達の主張から全く逆を行くK氏の主張にこの様な異を唱えるのです。

 何億、何十億とする設備投資をしなければ、経常革新に遅れを取る企業にとっては、長期借入金を実行しないで経営できる会社はそう多くありません。
 その時に、資金調達知識が欠如していると倒産というとんでもないことに出会
うのです。

 短期借入金のある会社は、私は杜撰な経営者だと、決めつけてしまいます。
 何故なら、なぜ、短期借入金が必要なのでしょうか?短期借入金を「運転資金」と言います。
 商売をするときには在庫(原材料・仕掛品・製品・在庫品)が必要です。それらを販売し、回収が現金でなければ売掛金か受取手形が多くなります。一方、調達は、買掛金で待っていただきます。しかし、販売代金の回収が遅ければどうなるでしょう。回収期間が長い手形の回収条件でも営業担当者は平気でもらって帰るようになります。(売れない)不良在庫も増えてゆきます。これでは運転資金がどんどん必要になりますよ。
 「運転資金」として現預金を銀行から調達して積んでいるから、不良在庫が増えようが、回収が2か月も3か月になっても平気になり、まして長い手形をもらってもなんとも思わないでしょうね。それがこの業界の常識だ、と思い込んでしまうのです。

 総資産(流動資産+固定資産)が増加することは経営にとっては「悪」なのです。流動資産(現預金+売掛金+在庫商品)を少なく、固定資産(建物+機械+設備)は減価償却を早め、いかに軽くして、回転(売上÷資産)を高めるかが経営の原則なのです。
 経営原則の無知なるコンサルタント・税理士・弁護士が巷に多く居らっしゃることに対して、私は恐ろしくなっております。

 

③ 借金を誉める人は昔より存在しません

 なにはともあれ、銀行対会社、私は5分5分の付き合いであればよし、へつらうことも威張ることも無く、大切なのは仕入れ業者、下請け会社と同じようなお付き合いであればよいのではないでしょうか。
 大損もしたくない、大利益も上げる必要なし。今のように金あまりの世の中、時流に任せればよいのです。
 貸しはがし(財務内容の悪い会社)は、短期借入金の場合に発生します。
 貸し渋りは、世の中のお金の量や日銀と財務省の政策でコロコロ変わります。
 世の中は好況、不況が周り回る。その流れに翻弄されぬように真の財務知識を蓄積してほしいのです。借金はできる限り少ない方が良いのが常識です。昔より99%の経営者は借入は良くないと信じているのではないでしょうか!

 個人で自宅を借入金で新築した方は、銀行との約定通り少しでも早く返済した
いと思うのではないですか?
 30代~40代の私も住宅ローンで自宅を建てた経験者ですが、年齢を重ねて、毎月の返済が済んだ月から銀行預金が増加した時は、本当に嬉しく、あの安堵感は今も忘れていません。
 会社も同じで、無借金になったら、預金口座の残高が増加するのです。これを経営的にはキャッシュフローというのです。いかに金利率が低くても高額の元金返済はあるのですよ。


 借金をする者は やがて後悔する(イギリスの古格言)

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