連続して「最強のモノづくり」についてお話しをしてきましたが、レベル3はちょうど中間地点なので、ここでちょっと一休みして少し違った話題を取り上げてみたいと思います。
下の2つの写真をご覧ください。どちらもJR横浜駅です。同じ駅のプラットフォームなのですが、ずいぶん明るさが違います。
じつは、上の写真は屋根が透明なのです。同じ屋根でもその構造によって明るさが全く違うことが一目で分かります。節電対策としてかなり良いヒントになる写真だと思います。
今年の夏は地域によっては企業も家庭も15%程度の節電をすることになっていますが、この機会にぜひみんなで知恵を出し合って節電を実行し、この夏の電力問題を乗り切りたいと思います。
大切なことは本気で知恵を出して、それをみんなで実行することです。私が改善をお手伝いしている会社でも、皆さんが既にたくさんの節電改善を実行しておられます。
今回は、その中でも広く一般的に活用できる方法で、節電を行っている2社の事例をご紹介いたします。
食品製造のY社では、全社で節電をするにあたり、実にユニークで効果的な方法を取りました。
普通節電というと、どのくらい減らしても大丈夫かなどについてデーターを集めたり議論をしたりして、大体の規模を決めて実行するものだと思います。すなわち、現在の状態から省けるムダの部分を取り除くという方法です。
しかし、Y社ではその逆を行きました。まず、すべての電気を消してしまって、そこから少しずつ電気を点けていって、このくらいならいいでしょうというポイントを探し当てたのです。
これは普通のやり方とは逆で、全く何もないところにムダを足していったということです。このやり方の方が、大きな効果が出るように思います。
もちろん生産現場では危険がありますので、このやり方を取ることはできません。Y社の場合は食堂で行いました。
お昼休みの時間ですから、外は大変明るいのです。ですから電気をすべて消しても、前が見えないということはもちろんありません。
でもやはり、全く電気を点けないというのでは少々物足りないし…といってちょっとずつ点けていったところ、2割くらいの電気が点いたところでかなりいい感じということになったようです。
欧米からの観光客の方からは「日本のレストランはなぜあんなに明るいのか?せっかくのムードが台無しだ!」といった意見もあると聞いたことがありますが、Y社の食堂も見方によるとムードが出たかも…と思っています。ちなみにY社は、既に20%の電力削減を達成したとのことでした。
もう1社、電気部品製造のN社の取り組みもご紹介します。N社では、計画停電がある時に電気炉をどう運転するかで悩みました。
そこで、それまではあまり深く調べていなかった実際の温度がスイッチを切るとどのくらいの時間で下がるのかを計測してみました。
すると、思っていたよりも保温機能が高く、あと少しの改善で停電を乗り切れることが分かり、熱の逃げが少なくなるように、いろいろな改善を行い計画停電を乗り切りました。
実際のところ、計画停電は現在行われていないのですが、その時の対策が普段の時には大きなコストダウンになると分かりました。
現在ではその他の設備にもいろいろな節電アイデアを出して全社的に15%節電はゆうゆうクリアーできるところまで来ているとのことでした。
その結果、これまであまり考えていなかった方法でコストダウンができたと大喜びしておられます。
このコラムを読んで下さっている皆様の工場にもいろいろな改善があると思います。もし皆様の工場の節電改善事例をお教え頂ければ、この場を使って発表させて頂きたいと思います。
みんなでいい知恵を共有して、高レベルの改善を実行したいですね。よろしくお願いします。
copyright yukichi
※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net