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社員教育・営業

第2講 クレーム対応力の資質不足をあきらめる!

クレーム対応の新知識と新常識

1.消費者は何でも言っていい。つぶやいていい。『そんな時代を受け止める』

 2点目は、消費者が自由に主張をすることができる情報ツールが増えたことです。

 過去は、企業に意見を伝えるツールと言えば『電話』『手紙』『相対』の3つの方法しかなかったのですが、今はそこに『インターネット』というツールが増えたわけです。

 『インターネット』と言っても、『ホームページのお問合せから企業に意見や質問を送る』『ツイッターで製品のことをつぶやく』『ブログで製品に対する意見を言う』『インスタグラムで製品の写真を載せる』『~~・COMで共通の関心を持っている人と意見や情報を交わす』などなど、いろいろな特長をもったツールがあり、それらの特徴を活用して、企業や製品に対する思いや言いたいことを自由に言うことができる時代になっているのです。

 そして、消費者が知りたい情報を、他の消費者が提供するということインターネット上では活発に行われています。

 そんなふうに、自由に自分の気持ちをインターネットに書き込んで良い時代になっていることを理解することが、今の時代の適合するクレーム対応の必要な知識といえます。

 その結果、どんな方法で、どんなことを書かれても、まずは『受け止める』ことが適合の技術です。インターネット上の意見は、こちらの意見で阻止したり、停止させたりすることはできません。

 だから、まずは『受け止める』。この思考と技術をもっていない担当者は、インターネット上の自分の会社や製品のクレームに自分の心をつぶされてしまうのです。

 但し、消費者の意見は『まず、受け止める』こと。『安易に受け入れる』ことはよくありません。

 クレームが発生したら、詳しく話しを聴き、問題の原因を調査をし、相手の心情を理解したうえでこのクレームを受け入れるかどうかが決まるのです。これが『まず、受け止める』が『安易に受け入れない』と言う態度です。

 別の見方で言うと、消費者からの指摘内容があり得ない話しだったり、取るに足りないような幼稚な話しだったり、非常に独善的な話だったりしても、まずは、理解しようとする態度をとる、解決方法を見つけようとする態度を取ること。これが『まず、受け止める』と言うことです。

 しかし、何が原因で発生した問題かがはっきりするまでは、迎合した言葉を言いすぎないようにして物事を運びましょう。迎合した言葉を言いすぎることが指摘を『安易に受け入れる』という態度です。指摘を『安易に受け入れる』ことがないように、でも指摘を『まず、受け止める態度』をしめすことができるように技術を習得し、使うようにすることを目指してほしいのです。

2.企業の従業員、担当者、店員、オペレーターのお客様対応の『技術不足を受け止める』

 そして、3点目として掲げたいのは、企業の従業員、担当者、店員、オペレーターがお客様に行き届かない対応をしてしまうことに、お客様があきれる場面が増えたことも、消費者や顧客がクレーム言いたくなる機会を増やしているという現実です。

 つまり、企業側の担当者の接客時の対応、契約時の対応、お問合せ時の対応に、気配りや配慮や親切行動が欠けていることが原因で、お客様を苛立たせることも多くなりました。

 最初は怒っていなかったお客様が、担当者の対応で怒りを高めてしまうケースやまた、Aという問題で指摘をしてきたお客様だったが、担当者の対応が感情を刺激して、Aの問題解決よりも担当者の対応の改善を求めてくるケースなどが、よくあるケースです。

 なぜこのようなことが起こるのかについて理由は2つあります。

 1つは、消費者・顧客・契約者と関わる業務を担当者に与えながら、そのスキルを指導していない会社側の教育の不足です。ところが、教育はそれなりに与えていると思い込んでいる企業もあるでしょう。しかし、担当者のレベルに合った教育を与えているかどうかで、教育の結果が変るのです。これは、2つ目の理由にも関わる話しです。

 2つめの理由というのは、担当者と自分との人間的資質の違いを理解して、教育を与え、業務を与えることです。わかりやすく言うと、あの担当者にも、自分と同じ仕事への価値観、お客様対応への常識、言葉の知識があると思わないです。年代によって、育ってきた環境によって、これまでの経験によって、知識と価値観は変わります。つまり、自分が常識だと思っていることは、他の人も常識だと思っている。と思わないことです。

 「こんなことをお客様に言わないのが、企業の担当者だ!」と自分では思っていても「それは、お客様に言ってもいいでしょう」と思っている人もたくさんいるということを知っておくことです。

 なにしろ、お客様もさまざまな価値観と言い分の人がいるくらいですから、企業側のメンバーにもさまざまな価値観と常識の人がいてもおかしくないのです。

 ですから、「なんで、そんなことをお客様に言ったの!!」と叱りたいメンバーがいたとしたら叱りながらも、自分の指導方法の誤りを嘆くことも必要です。

 そこで、価値観や知識が異なるメンバーにはどうした指導が効果的なのかという話しですが、重要なことは『型にはめる』ことです。例えば、トークマニュアルを作って、しっかりと覚えてもらい、そのトーク通りにお客様と会話をすることができるように『型にはめる』教育を重ねることです。「それでは、臨機応変な対応ができない人になってしまう」と案じるかもしれませんが、その前に『型通り』にできる担当者になることが重要です。

 臨機応変な対応の指導は『型通りにできるようになってから』です。つまり教育としては次のステップになります。しかも、臨機応変にできそうな資質のあるメンバーだけに指導をすることをお勧めします。臨機応変に対応できる資質を持っていない人に、臨機応変に対応する方法を備えることはできません。もしそれが必要ならば、ある程度、臨機応変に対応するための『トークの型』を決めて覚えるように指導することが重要です。

 消費者・顧客・契約者の思考や行動も変容しましたが、企業のメンバーの資質も変容していることを理解しないと、その企業はクレーム対応に失敗して、クレームがどんどんエスカレーションしてなかなか終わらないクレームになってしまうのです。

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