1.自動車損害の事故手続対応担当者は、事案受付や、説明の際に『申し訳ございません』と言ってはいけない
保険会社に自動車保険をかけている契約者に、事故をおこしてしまったとか事故に遭ってしまったということがあります。その場合、契約している保険会社や、共済事業者などに、保険金や共済金の手続きのために連絡が入ります。ただ、この時の対応担当者のストレスは相当なものです。なぜなら、申し出者の希望の対応が、契約上叶わない場合は、どうしてもひともんちゃくあるからです。
しかも、申し出者は、身体的・物理的・経済的にダメージを被っているので、担当者にとって、相手の意向に抗うことは『不親切な自分だと思われる』という心配が高まり、相手の意向に抗うことに躊躇する気持ちが生まれます。それ以上に、契約者の希望をかなえられないことに申し訳ない気持ちさえ芽生えてしまうことが多いようです。
でも、よく考えてみてください。なにもこの担当者が申し訳なく思うことはないのです。この場合の担当者は、手続をするための要員です。相手の希望額に至らないのは、そういう契約内容だからであって、担当者の力不足でもないし、事業者の契約不履行でもないので、謝ることはしないでいいのです。むしろ、相手の不服や、愚痴に謝罪をしてしまうから、相手のわがままを助長することになるのです。
なので、軽々しく「申し訳ございません」を言う癖をやめましょう。「たいへんでしたねえ」や「それはとまどわれますよねえ」など、『相手の気持ちを語彙にして』寄り添う技術を使いましょう。そうすることで、自動車事故手続担当者のお客様対応の疲弊は低減します。
2.消費者は事業者にとって『対等』な『契約者』です
消費者が事業者と比較して『弱者』だと言われていたのは、15年前の話。『消費者保護基本法』から2004年に『消費者基本法』に改訂されたタイミングで、消費者は『弱者である』と言う位置づけではなくなったのです。
そもそも消費者が弱者だと位置づけられた理由はどこにあったのかと言うと、事業者より①情報力が低い(情報が少ないということ)②交渉力が弱い(交渉できる場がないということ)③原資がない(使えるお金がないということ)、ということがあったからです。
でも、今、現実はどうでしょうか。①情報はインターネットの中で飽和状態だと言えるくらいあふれている②③消費者の声を無料で聞く窓口は、事業者にも、行政にも、第三者機関にも設置されていることが、実情です。このことだけを見ても、もう消費者は『弱者』の扱いを受ける条件に当てはまらないのです。だから、消費者はもう『弱者』と言う位置づけにはならないのです。
消費者や顧客は、『契約者』です。『契約』は双方の意思が合致した時に成立するものですから、お互い対等な関係性で運用するものです。だから『事業者はお客様をたてなければならない、自分はへりくだらなければならない』という間違った意識を持たないでください。
『対等な関係の他人』には、『礼儀正しくする』こと、しかし『うやまわったり、へりくだったりしない』こと。それが、今の時代に合ったお客様対応のスタンスです。余計な対応が、余計な神経を逆なでして、余計にこじらせてしまうのです。具体的にどうしたらいいかは、『技術習得のための勉強』をしましょう。