今、よく取り上げられている言葉に
「パーパス」があります。
ハーバードビジネスレビューでは
この2年間で、3回も特集されるほど
注目を浴びています。
パーパス(Purpose)は、一般的に「目的」「意図」と訳されますが、
ビジネスシーンでは「何のためにこの会社があるのか」という、
組織や企業の「存在意義」を意味します。
今までは、持つ経営、自前主義がもっとも競争有利だった。
人・モノ・カネ・情報すべて囲い込むことで
他社と比べ、速く、有利に立てた。
しかし、昨今、目まぐるしい変化の時代になり
囲い込むことが有利にならず、逆に不利になってきた。
全部自前主義では、変化に対応できないのだ。
だから、外と連携をすることが重要であり
それをするためには、
今までは雇用で結びついてたものでない結びつきが必要になった。
それが、「共感」なのだ。
共感してもらうためにもっとも、重要なのが
「存在意義」それをわかりやすくするために
広がった言葉が「パーパス」
より良い人、より良い他社と連携するために必要な
パーパス
さらには、中小企業にとってもパーパスとは何だろうか?
何が良いのだろうか?
(1) なぜ今、パーパスが注目されているのか?
1) なぜ?パーパスか?
かつては、自社でヒト・モノ・カネ・データ・チエというあらゆる
リソースを囲い込むことで競争優位を築き、
オペレーションを徹底的に効率化することが、
企業の価値創造を実現した。
しかし、消費者のニーズが目まぐるしく変化する時代に勝利を収めるには、
囲い込みの戦略では限界がある。
組織の内と外を隔てる障壁をできるだけ下げて、
外部から経営資源を呼び込むことが価値創造につながるのだ。
では、組織外のリソースをどうすれば引き付けることができるのか。
組織の「存在意義」に賛同・共感・自分ごと化してもらうことが
カギを握る、と佐宗邦威氏は言う。
組織のあるべき姿を語る際のキーワードである
「ミッション」「ビジョン」「バリュー」、
そして「パーパス」の定義とその役割を明確にしたうえで、
「生きた存在意義」を設計し、
浸透させるパーパス・ブランディングの方法論が示される。
今までは、自前主義
2) パーパスが問われる時代
20世紀型組織:製品・サービスの生産効率を重視する
↓
21世紀型組織:デジタルインフラ上でビジネスを展開するので、
知識創造の量と質、スピードが価値。
より多くの知恵を生むために外に開き、
外部から人、モノ、カネ、データと言うリソースを
惹きつける環境そのものが価値創造に直結するのである。
21世紀型組織の代表としては、
国外ではGAFA・テスラ、
国内では日本初で世界に通用するスタートアップのメルカリ等が
挙げられるだろう。
彼らは実際、徹底的な効率化によって達成される目標ではなく、
障害を費やしても実現不可能と思われる壮大の理想を掲げている。
そして、それを外の世界に向けて積極的に発信することで
価値を創造するための環境作りだしている。
テスラ
「持続可能なエネルギーへのシフトを世界中で加速させる」
EV事業はあくまで持続可能なエネルギーシステムを
作り上げるための手段だと位置づけ。
メルカリ
「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを作る」
一時的に赤字を計上することへの理解求めている
3) ゆえに、パーパス!
かねてから、筆者が常々、言ってきた。
経営者は、誰と一緒にやるかが一番神経を使う
「最後は、思考が合うか合わないか」
↓
思想合わせ
同じ方向性のモノを学ぶ。
「経営とは、人たる所以を学ぶべし」
「経営の究極の目的は、永続」
↓
ゆえに、パーパス経営。
(2) パーパスが必要な時代とは?
1) 世界を変えている「3つの力」
1. 自然環境保全と資本主義への不満
2. 経済ナショナリズムの激化
3. テクノロジー革命
越境データ流通は 2 年ごとに倍増し、オンライ ンの世界は
ますますボーダーレスになっている。
2019 年までに、世界の EC(電子商取引)の取引価額は
物理的な財の貿易( 24 兆ドル)の約 2 倍 (約 42 兆ドル)になった。
2) 時代の変化により経営においての変化
1. 企業目標
【従来】株主価値の最大化など、財務的な利益を追求する
【今後】環境や文化など、社会的な利益を追求する
2. 戦略策定
【従来】正確に先を読むことが、企業経営の成功の条件
【今後】先が読めないことを前提とした経営が重要
3. 組織
【従来】同質の製品・サービスの提供を目指す集団
【今後】顧客のニーズに基づいた付加価値を追求する集団
4. 人材マネジメント
【従来】特定事業に高い遂行力を持つ人材を求める
【今後】事業領域の変化・多様化に対応できる人材を求める
3) 世界の時価総額の産業別シェア
世界の時価総額の産業別シェアは
2009年から2019年の変化が、
IT・通信サービス 16%から22%へ
製造業 26%から24%へ
金融 23%から26%へ
その他 34%から27%へ
製造業が減少し、IT・通信、金融が増加
これは、
日本が弱くなった理由の一つなのだ。
日本は、戦後高度成長した理由は
製造業の躍進があったからなのだ。
4) 日本の業種構造変化
日本は戦後、経済が成長するのと同じように
製造業の従事者数が増えていった。
それが、1993年をピークに下降し
現在は、ピーク時の約3分の2くらいになってしまったのだ。
その減少分が、サービス業に移った。
しかし、
製造業の平均賃金と比べると、サービス業は、
2011年で、約180万円も低く約2割も低いのだ。
それが、日本人が平均的に貧乏になっていった理由だろう。
5) 生産性順位の変遷
OECD加盟36カ国における生産性順位は
日本がバブル崩壊後、ドンドン順位を下げた。
1991年 11位が
2018年には 21位だ。
6) エンゲージメントの低下
2017年のエンゲージメント比較では
仕事に熱意を持って取り組む社員の割合が
アメリカ 31%
オセアニア 14%
西欧 10%
日本 6%
熱意を持って働く人が落ちている。
何に熱意を持っているかが変わってきている
7) 所得格差拡大
主要国の所得格差の拡大
所得上位1%によるシェア
1980年→2000年→2014年で比較
アメリカ 11%→18%→20%
中国 7%→10%→14%
日本 8%→10%→10%
所得10%によるシェア
アメリカ 34%→44%→47%
中国 28%→36%→41%
日本 33%→38%→42%
これだけ、所得格差が広がった。
8) 世界の中国が占める割合
中国の占める割合は
2008年→2018年
生産 15%→28%
消費 5%→12%
輸出 10%→13%
これだけ増えてきた。
9) ミレニアル世代の増加
日本、欧州、アメリカの 15歳以上人口に占めるミレニアム世代の割合
2005年→2010年→2015年→2020年
日本 13.0%→18.4%→23.8%→29.2%
欧州 16.5%→23.5%→29.8%→36.2%
米国 18.1%→26.2%→34.1%→41.5%
当たり前だが、
ミレニアル世代が増加している
ミレニアル世代とは
2000年代の初頭に成人または社会人となった世代
1980年~1995年生まれ
2020年に25歳~40歳
Z世代とは、
1996年~2015年生まれ2020年に5歳~24歳
世界全体で人口の4分の1
ミレニアル世代は
・社会への貢献意欲の高い企業で働きたい
・社会的責任をきちんと果たしている企業で働けるのであれば、
報酬面を犠牲にしてもよい
・多くの企業は、この世代の声に耳を傾けることが必須である。
・企業としての信条に合致するかしないかではない。
アメリカにおけるミレニアル世代の意識
Q1 就職先を決めるときに、企業の社会・環境面への
貢献意欲・取り組みを考慮する人の割合
ミレニアル世代 76%
全世代平均 58%
Q2 仮に他社よりも給与水準が低くても、
社会的な責任を果たしている企業を選ぶ人の割合
ミレニアル世代 75%
全世代平均 55%
10) 企業の移り変わりが激しい
相対シェアは下がり続ける。
トップだから言って利益確保が難しくなっている。
↓
適応能力、臨機応変さがポイント
そして、世界の時価総額トップも移り変わる。
2010年末時価総額
1位 エネルギー
2位 エネルギー
3位 テクノロジー
4位 金融
5位 資源
6位 小売
7位 金融
8位 エネルギー
9位 金融
10位 テクノロジー
2019年4月10日時価総額では
1位 テクノロジー
2位 テクノロジー
3位 テクノロジー
4位 テクノロジー
5位 テクノロジー
6位 金融
7位 テクノロジー
8位 テクノロジー
9位 小売
10位 金融
と目まぐるしく変わる。
11) 災害・事件
災害や、事件が増している
損害金額
2001年の同時多発テロ 約500億ドル
2005年ハリケーン、鳥インフルエンザ 約1400億ドル
2008年リーマンショック 約600億ドル
2011年東日本大震災 約1400億ドル
2012年MERS 約800億円
12) これだけ時代が変わってきている。だから、パーパスが必要だ。
時代の移り変わりが早くなり
人々の求める価値が変わり
その結果として
何のためにするのか?が、重要になってきているからこそ
パーパスが必要になってきた。
これ、なんで買うんだっけ?
もしかして必要ないかも
とか
なぜ、ここで働いてるんだっけ
もしかして、ここでなくとも良いかも
とならないように
しっかりと企業側が
人々の惰性ではなく
強く必要としていることを明示しないといけなくなってきた。
(3) 時代は変わってきた
1) 幸せが何か?が変わった
「集中する心は幸せな心」
何かを集中し、没頭できると幸福度が増すようだ。
テレビを見ているより
料理や食事をしているときの方が幸せと感じ
さらに、
音楽鑑賞をしたときや、人とおしゃべりをした方が
幸せと感じている。
それは、さらに
運動や、セックスをしているときが顕著に幸せ度は高く
その理由は、集中できているか?
つまり没頭できているかどうかなのだ。
人間の心は一日のほぼ半分はさまよっており、これが気分を落ち込ませる要因になっている。
さまよった心が、不愉快なことに向かった場合、たとえ中立的なことに向かった場合でも、幸福度の大幅な低下と直結する。
心が定まらない時には、集中している時よりも、はるかに幸福度は低くなる。
心を最適な状態にするためには、少なくとも自分の体に対するそれと同程度の注意を、心に対しても注ぐ必要がある、思考の焦点を定めることは、日常的な計画の一部にはなっていない。
土曜日の朝に目が覚めて、「今日は何をしよう」と考える時、その答えは通常、自分の体をどこに持っていくのか、ということである。すなわち、たとえば浜辺か、子どものサッカーの練習か、ジョギングに行くか、といったことだが、「今日は、自分の心で何をしようか」とも問いかけるべきである。
業務中に心がさまよえば、幸福度が低くなるだけでなく、生産性も低下することが示されている。マネジャーが想像する以上に、ほかのことに逸れている。それは就業時間の約50%に上り、ほぼ必ず個人的な関心事へと脱線している。
幸福は個人の差よりも、一瞬ごとの差のほうが大きいことである。幸福の主な原動力となるのは、どこに住んでいるか、既婚か未婚かというような、生活上の固定的な状況ではないことである。いちばん重要なのは、日々の小さな事柄かもしれない。
職場における幸福もまた、高い給料や肩書きなど幸福を促進すると考えられてきた固定的な状態よりも、一瞬ごとの経験、たとえば、同僚とのいつもの会話、携わっているプロジェクト、日々の貢献などによって大きく左右される可能性がある。
つまり、集中できる会社にすることが、良い会社になるのだ。
2) 成長できないなら、何をよりどころにするか?
ビリーフ・ドリブンとは、
その製品やブランドの社会問題等に関するスタンス
そのビリーフ・ドリブンな購買者は全世代に浸透している。
18歳から34歳 55%
35歳から54歳 64%
55歳以上 62%
2018 エデルマン・アーンドブランドより
https://www.edelman.jp/research/earned-brand-2018
ビリーフドリブンの例
スイス初のスニーカー
On
https://www.on-running.com/ja-jp/cyclon
ここは、循環を意識したスニーカー
リサイクル素材の割合を全商品表示したり
もっと面白いのは
cyclonという商品で
サブスクリプション型のスニーカー
それにより回収をしっかりするということを
している。
この企業姿勢に共感する人が増えている。
3) ボランティア活動の頻度別にみた生活満足度
生活満足度調査で
ボランティア活動の頻度による違いで
一度もしたことがない 6.9
月に一回未満 7.1
月に一回 7.25
週に一回 7.3
と、ボランティアをする頻度が高いと生活頻度が高まるというデータもある。
どうも、成長することが、豊かになり
幸福度が増すというサイクルから
時代は変化し、社会に役に立つとか、
誰かの役に立つが
もっとも心地よいというように変化してきているようだ。
だから、結果として、会社も変わっていかねばならない。
3) 結果、会社が変わる
■ 会社を変える?
アルバート・アインシュタインに言わせれば、
何十年も続けてきたのと同じことを繰り返しながら、
違う結果が得られると期待するのは、
まさに狂気そのものである。
いま我々に必要なのは、持続可能な未来のために、
企業と資本主義を土台からもう一度つくり直すという作業なのだ。
以下に一例を示すが、
ビジネスリーダーたちは、
いまこそこのような「相互依存宣言」を掲げるべきである。
この宣言では、
コモングッド(社会全体の共通善)を優先することと、
すべてのステークホルダーに人間性を認めることを謳っている。
■ 極端に権力が集中し 害をもたらす仕組み
この半世紀で、企業の最高幹部、株主、
そして取締役会に出席する者が
手中に収める権力はますます強大になった。
権力者はその権力を利益と株主価値の最大化のために行使する。
このような目標は、
1970年代からミルトン・フリードマンとシカゴ学派が
実業界の教義として広めたものである。
これとは対照的に、労働者はほとんど権力を持たない。
ワグナー法として知られる1935年制定の全国労働関係法は、
労働者の大部分(全員ではないにせよ)にストライキ権、
組合結成権、団体交渉権を認め、
力を結集して企業幹部や株主と交渉する手段を彼らに与えた。
しかし米国では、労働組合に所属する労働者の割合が、
過去40年間で20%から10.8%に減少している。
さらに、1978年以降にCEOに対する支払いが1167%増加したのに対し、
労働者に対する支払いの増加率はわずか14%であった。
この悪循環の中では、権力を持たない者の権力(そして財産)は
ますます小さくなり、
権力を持つ者のアドバンテージは雪だるま式に膨らんでいく。
少し前まで、会社は
最高幹部と株主が牛耳ってました。
利益と株主価値の最大化のためにがんばっていました。
そしてその結果
CEOの報酬が、1978年と現在では11.67倍増加し
その間、労働者は、1.14倍にしかならなかったのです。
それでは、誰も納得しなくなった。
だからこそ、
社会貢献に注目されるようになってきた。
■ 成長とパーパス実現の矛盾!?
スタートアップは成長しなければならないが、
いっそうの成長とパーパスの実現が矛盾するという考え方は、
見当違いである。
多くの専門家が、会社を立ち上げる際にその意味を掘り下げること、
「Why」(なぜ)をしっかりと見極めることが
いかに重要であるかを強調している。
パーパスに忠実な組織では、チームメンバーが一致団結し、
つながり合い、長期にわたってまとまりのあるコミュニティになる。
チームメンバーがパーパスを認識すると、誇りと献身、
共通の大義のために尽くしているという感覚が生まれる。
ワービー・パーカーでは、
誰もが手軽な価格で眼鏡を入手できるようにするという理想を軸に、
強力な企業文化が育っている。
共同設立者兼共同CEOであるニール・ブルメンタールは、
従業員数が増えつつある同社では、
新入社員に同社の価値観を浸透させるために
多大な労力を費やしていると筆者に語った。
(アメリカ視察時筆者撮影)
■ 「最強」を超えるための戦略
● 社会的価値を高めて成長する
2006 年、ペプシコの CEO に就任したインドラ・ヌーイは、
同社を改革し、全ステークホルダーに最高レベルの成果を
もたらそうと決意した。
そして、サステナビリティ(持続可能性)とパーパス(存在意義)を
自社のコア・オペレーションに統合する
「パーパスにかなった成果( PwP )」 という新ビジョンを導入する。
PwP を実現させるため、同社は 3 つの柱
「販売する製品を改善し、地球を保護するために責任を持って事業を行い、
世界中の人々に力を与える」に注力する戦略を進めた。
ペプシコは、顧客の健康面に配慮して既存製品 を見直し、
生産者のために農業の生産性と収益性を高めるべく、
「サステナブル農業プログラム ( SFP )」を立ち上げた。
従業員に力を与えるた めに、ペプシコ大学を設立し、
スキル向上を支援するオンラインコースを用意した。
こうした取り組みは、全ステークホルダーに多大な利益をもたらした。
2016 年までに、より健康に配慮した「グッド・ フォー・ユー」などの製品
が売上の約 50%を占めるようになった。
2018 年までに SFP を通じて 作物の半分以上を農家から直接調達した。
また、 従業員のダイバーシティを改善し、
2018 年に世 界全体で管理職の 40%が女性となった。
こうした社会的便益には、素晴らしい財務業績 も伴っていた。
ヌーイが CEO だった 2006 年から 2017 年末までの間に、
ペプシコの TSR(株主総利 回り)は S&P 500 指数の TSR のほぼ 2 倍となった。
● 柔軟な生産・供給網をつくる
今日、安い人件費を重視したグローバル・サプライチェーンは
時代遅れになりつつある。
最先端企業は、よりハイテクで、より数が多く、よりローカルで、
より顧客に近く、より柔軟にカスタマイゼーションに
対応できる工場を設置して、刻々と変化する消費者ニーズを
反映させた製品を迅速に生産供給する能力を高めつつある。
これは、実は、「中小企業向けだ!!」
● データをフル活用する
● 顧客起点、スピード、フラットの展開
ほとんどの組織は素早い顧客対応よりも、
むしろ効率性を意識して設計されてきた。
中国のインターネット関連スタートアップ、バイトダンスだ。
動画プラットフォー ム「ティックトック」などで知られる同社は、
2019 年時点で 74 . 5 億ドルを調達した。
この目覚ましい成長を支えてきたのが組織構造であり、
当初からスピード、顧客対応力、スタートアップ精神を
発揮させることを目的としていた。
同社は、厳格なピラミッド型組織ではなく、
フラットな構造を維持し、CEO に続くマネジメント上位2階層に
100 人を超える幹部を配置している。
職場環境は民主的かつ非官僚的で、
全階層の従業 員がオープンオフィスで働き、会話で敬称は使わない。
お互いに肩書きを知らないまま業務を行う。
階層を重視しないその社風は、
非常に協調的で アジャイル(俊敏)な働き方もあいまって、
従業員が自身でプロジェクトのオーナーシップをもち、
わざわざ上司の承諾を得なくてもプロジェクトを
進められるように後押ししている。
↓
中小企業は、「多能工作り」をするとよいのだ。
(4) パーパスの事例
1) ネスレのパーパス
ネスレは、創業150周年にあたる2016年に「生活の質を高め、さらに健康な未来づくりに貢献します」というパーパスを定義しました。ネスレという企業が何のために存在しているのかを、明確化したのです。
2) ナイキのパーパス
「何かを信じろ。そのためにすべてを犠牲にするとしても」というスローガン(標語)
このスローガンの元
ナイキは、コリン・キャパニック選手をCMに起用した。
NFLのコリン・キャパニック選手が
2016年、アフリカ系米国人に対する警察の暴力に抗議し、国歌斉唱中に起立を拒否した。
それにより、実質NFLから干されるのだが
スローガンを実践するために、彼を採用したのだ。
話題のCM
https://youtu.be/WW2yKSt2C_A
ナレーションが、コリン・キャパニック選手だ。
(5) パーパスをどう作るか?
1) 流行にしない、日本に合うパーパス
● 今の世界の資本市場の潮流として、次のようなものがある。
・ESG:環境や社会に配慮し、企業統治の仕組みを強化する。 コストが上がり、長期的にリターンを蝕む恐れがある。
・SDGs(持続可能な開発目標):社会課題の解決を目的とする。売上が上がっても、コストがそれ以上にかかる。
・CSV(共通価値の創造):社会価値を高めながら、自らの経済価値も高める。欧米では、21 世紀型の資本主義モデルとして広がりつつある。
●今の SDGs は競争優位につながらない。「新 SDGs 」をめざすべきだ。
これは、現行 SDGs の「 S:サステナビリティ(持続可能性)」に、
次の 2 つの視座を加えたものである。
D:デジタル技術:イノベーションを実現する手段
G:グローバルズ(複数の世界):市場の特性は地域で異なり、かつ通底している世界があちこちに存在するという視点
パーパスは、志
パーパスは存在意義と訳されることが多い。「志」と名和 高司先生は読むといっている。
心の内側から湧き出てくる強い思いであって欲しいと願うからだ。
資本主義の先に来るもの、それは「 志 (パーパス)」に基づく「志本主義」である
● 資源消費、環境汚染などの課題を抱え、資本主義は破綻しつつある。
これに代わる候補として、次のようなものがある。
・人本主義:「ヒト」が経済や企業活動の主体となる。
・知本主義:カネではなく「知」を成長のドライバーとする。
・志本主義:見えない未来に向けて「志」を貫く。
● 志本主義は、新しい理念ではない。例えば渋沢栄一は、日本に資本主義を根付かせることに奔走する一方、『論語と算盤』 ( 1916 年)で、利益に流されない高い倫理観と志の重要性を説いた。そして今、世界は渋沢の思想にたどり着きつつある。
2) 日本は遅れているのか?いやいや!
約100年前 1916年 『論語と算盤』を著し、「道徳経済合一説」 富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。
約470年前 1550年頃 近江商人 三方よし「売り手よし、買い手よし、世間よし」1754年に神崎郡石場寺村(現在の東近江市五個荘石馬寺町)の中村治兵衛が書き残した家訓であるとされる。これを伊藤忠商事創業者・伊藤忠兵衛 (初代)が広めたという
ぜひ、てんびんの詩は、観て欲しい♪
約300年前 「現金掛値なし」 掛値、掛売りをしないで、正札(しょうふだ)通りに現金と引替えに商品を売ること。また、その商法。江戸時代、元祿(1688-1704)頃、江戸の呉服店三井越後屋が始めたという。
3) パーパスの出し方
パーパス WHY なぜ社会に存在するのか?
↓
ビジョン WHERE どこを目指すのか?
↓
ミッション WHAT 何を行うべきか?
↓
戦略/バリュー・カルチャー/ブランド HOW どのように実現するのか?
■ ボスコン流パーパスの出し方
Q1 我々は何者か?
Q2 世界のニーズは何か?
Q3 もしわが社が消滅したら、世界はかけがえのない何を失ってしまうのか
パーパスは「製品をつくり・売る、サービスを提供することを超えて、わが社は、なぜ社会で存在する価値があるのか」「もしわが社が消滅したら、世界はかけがえのない何を失ってしまうのか」といった企業固有の存在意義を包含する。
要はパーパスとはさまざまなステークホルダーにとって「良い会社」となることの基軸に他ならない。
5つにとって良い会社を目指すのがパーパス
1.「顧客にとっての良い会社」
2.「従業員にとっての良い会社」は、報酬や成長の機会を得るという意義も大きいが、企業や自らの職務の社会的意義を感じることによって、働くうえでのモチベーションが高められることも重要な条件である。
3.「取引先にとっての良い会社」という観点では、取引先との価値共有(共感)やウィン-ウィンの持続的取引関係が実現できる点が重要となる。
4.「社会にとって良い会社」は、地域社会から始まり、国家やグローバル社会まで視点が広がる。
5.「投資家にとって良い会社」
(6) まとめ(パーパスをどう作るか?)
1) 昔から合った日本の感性を大事にすれば良い
2) パーパス定義をする、定義をすると合わせやすくなる。
(採用も合否ではなく、合う合わない)
3) 個人と会社を合わせる
個人 ←→ 会社
目的 目的
価値観 価値観
お金や、年金、退職金でしがみついていてはもったいない
未来に向かって働くために、だから、会社に未来予想図がいる
4) シェアホルダー → 三方よし(自分、相手、世間)が大切
5) 不確実な今の時代大切なのは
1.現預金を積み増す
2.何を対策したか伝える?
3.売上の種類を増やす
4.サブスクリプション(定額制)
5.インターネット
パーパスのある良い会社を目指していきたいものです。
<参考文献>
HBR 2021年10月号ステークホルダー中心のリーダーシップが資本主義を再構築する ヒューバート・ジョリー :前 ベスト・バイ CEO(著)
HBR 2021年10月号経営の意思決定権をステークホルダーで分かち合う ジュリー・バッティラーナ(著) ティツィアナ・カシアロ (著)
HBR 2021年10月号 なぜスタートアップの成功にはパーパスが欠かせないのか ランジェイ・グラティ :ハーバード・ビジネス・スクール 教授(著)
HBR 2019年3月号 経営者の仕事はパーパスを提唱し、実現すること
HBR 2019年3月号 組織の「存在意義」をデザインする パーパス・ブランディングを実践するために佐宗 邦威(著)
パーパス経営: 30年先の視点から現在を捉える 名和 高司(著)
ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現 フレデリック・ラルー (著)
BCG 次の10年で勝つ経営 企業のパーパス(存在意義)に立ち還る ボストン コンサルティング グループ(著)
BCG「最強(グレート)」を超える戦略 不確実な時代を勝ち抜く9原則 アリンダム・バッタチャヤ (著)
パーパス・マネジメント ―― 社員の幸せを大切にする経営 丹羽 真理(著)
パーパス・ブランディング ~「何をやるか?」ではなく、「なぜやるか?」から考える 齊藤 三希子(著)
パーパス 「意義化」する経済とその先 岩嵜博論(著)
ビジョナリー・カンパニーZERO ゼロから事業を生み出し、偉大で永続的な企業になる ジム・コリンズ(著)
SDGsとパーパスで読み解く責任経営の系譜 長谷川直哉(著)
ハーバード・ビジネス・レビュー[EIシリーズ] 働くことのパーパス (ハーバード・ビジネス・レビューEIシリーズ)
ブレーン2020年9月号 BtoB企業のパーパスドリブンなメッセージ開発/「応援消費」を後押しするコミュニケーション