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第64講 クレーム対応のルールを間違って理解しているから失敗する(4)

クレーム対応 実践マニュアル

クレーム対応のルールを間違って理解しているから失敗する(4)
(※秀和システム刊 『ポケット図解 クレーム対応のポイントがわかる本』より、一部抜粋と加筆)
 

【その1】「上司に代われ!」は上司に代わってほしいという思いを言っているのではありません。

本当に上司に代わってほしいとは思っていません。なぜなら、話しの伝わらない部下を育てている上司なんかに期待はもてないからです。でも「上司に代われ!」と言ったのは「あなたが嫌いだ!」と言っているのです。その汚名返上への意気込みを試しているのです。

「上司に代われ!」は、担当者としてあなたに落胆をしたけれど、もう一度心機一転、自分の申し出内容の担当者としての、あなたと向き合う関係を作り直そうとしてくれたのです。担当者のあなたが不満だらけの対応しかできないのだから、その上司が満足できる対応をするという根拠は大変弱い。言い換えれば「この分だと誰が対応してもそんなに変わらないと思うので、別にあなたでも良いから、今からで良いので、しっかりやろうという意気込みを見せて下さいよ」と対応を一から仕切り直すチャンスをくださっているのです。ところがそんなお申し出者の気持ちも知らずに「私が企業の代表としてお客様に対応いたします」と企業の代表でもないのに、決まりきった、しかもNGトークを言ったりして余計に怒らせてしまうことになり、結局は担当者は困惑するしかなくなるのです。

「今からしっかり対応します。もう一度お話し合いをさせてください」とすがる態度が好ましい。

「企業の代表として私が」や「誰に代わりましてもお返事は同じです」と強烈な拒否トークを言うのはもってのほかですが、「わかりました。今、上司に代わります」とスムーズに代わってしまうことも良くありません。「お粗末な対応の担当者だなと思って、汚名返上のチャンスを上げるために言ったのに」そそくさと上司に代わられてしまうと、「本当にお粗末な担当者だったな。あんなひどい担当者にクレーム処理させないでよ!」とさらに会社への苛立ちが高まります。お客様の本当の気持ちをくみ取ったトークを用意して使うようにしましょう。


【その2】「訴える!」「書き込む!」別にかまわないけれど、一応止めなければいけません。

「消費生活センターに訴える!」「2チャンネルに書き込む!」と言うお客様は、「そう言えば、企業は止めるだろう」と思っているのでその期待に応えることがこじれない手法。
企業の考えを無視してまで「訴えたい人」や「書き込みたい人」は企業に事前に言っては来ません。

「消費生活センターに訴える!」や「2チャンネルに書き込みます!」と感情的に企業に言ってくるお申し出者に対して、担当者のあなたはどういう思いを準備しておかなければならないかと言うと、まず1つは「訴えられたり、書きこまれたりしてもかまわない」と思うことです。発生した事例に対して、どちらの態度が正しいかをその後第三者が意見を言う事や判断することを見守ることもたいへん意味があります。そして、訴えられたり、書きこまれたとしてもこれまできちんと企業運営やお客様対応をしているのであれば、なにも恐れることはないのです。もし、企業として世間から指摘を受ける不安が少しあるのであれば、その指摘と共に改善に努めれば良いのです。会社を守るために無理に中傷を阻止しようとしてはいけません。でも実は、このお申し出者は訴えるようなことはしたくない、書き込まざるをえないようなことになってほしくないという思いがあることも忘れないでください。

「訴えたいくらい腹が立つ!」「書き込みたいくらい納得できない!」という感情を受け止める

そこで二つめに用意しておかなければならない考えは、あえて「止めてほしい」と言う思いを伝えることです。なぜならお申し出者は「止めてほしい」と企業は言うだろうと想定しています。その想定を裏切らないことも大切です。三つめに大切なことはダイレクトに「止めてほしい」という言葉を使うのではなく「もう一度しっかりと対応をさせてほしい」と気持ちを入れ替えて対応をする印象を高める言葉を使うことです。「訴える!」「書き込む!」は担当者の対応の態度が改善されることを求めているだけのことなのです。

 

中村友妃子          

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