2021年が始まりましたね。
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- 第108回「プロデュースの基本」(著:木崎賢治)
まだまだコロナ禍が続いていますし、明るい兆しもなかなか見えてきませんが、
だからこそ、一層意味のある1日を過ごしていきたいものです。
皆さんが実り多き一年をつくるのに少しでもお役に立てるよう、
もっともっと面白い本や音楽を紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
さて、先日、第141回の全国経営者セミナーに顔を出したところ、
「いい本との出会い方」について、ご質問いただきました。
出会い方もいろいろありますが、たとえば、
"本の帯"に思わず目が留まって、買ってしまうことも珍しくありません。
帯の巧妙な文言に釣られたような気も(笑)
最近、特に印象に残った帯文が、今回紹介する
『プロデュースの基本』(著:木崎賢治)
糸井重里さんによる推薦文が表裏ともにあり、実に上手い。
ちなみに、表帯には「こんなにまるごと役立つ本は、ちょっとなかったと思うよ。
100冊買って社内で配ります」、
裏帯には「名著と言われている『アイデアのつくり方』をしのぐかもしれない」
とあります。
糸井さんの名が帯に出ることは、めったにありませんし、
ここまで推薦するのも稀なこと。
ちょっとダマされてみてもいいかな、と(笑)
結果、読んでみてよかった、と実感しています。
著者の木崎氏は、この道50年の音楽プロデューサーの第一人者。
手掛けたアーティストを挙げると、沢田研二、アグネス・チャン、吉川晃司、
槇原敬之、トライセラトップス、BUMP OF CHICKENなど、錚々たるもの。
まさに日本のポピュラー音楽の歴史をつくってきた、といっても過言ではありません。
70代半ばとなった今も現役で、20代の新人アーティストを育てています。
本書は、そんな木崎氏が自らのクリエイティブな仕事術を明かしたもの。
音楽ファンはエピソードの数々を読むだけでも楽しめますが、
経営者、リーダーにとっては、その発想力、プロデュース力が魅力!
一言、あらゆる職種に応用できるようなアイデアや事例が豊富で、
思わずメモしたくなるような話が続々です。
たとえば、
・信じたことを諦める前にすべきこと
・キュンとくる仕組みを数学的に分析
・経験が邪魔をすることもある
・慣れない手順がパワーを生む
・変わらないために変わる
・ふつうの構成でいかに新しいものをつくるか
・次に繋がる断り方
・自分が納得できた仕事だけが糧となる
など、キリなし。
このご時世においては、経営者やリーダーは平時以上に、
クリエイティブ力を発揮することが不可欠。
今こそ読むにふさわしい、刺激に富んだ一冊!
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は
『チャーリー・パーカー・ウイズ・ストリングス』(演奏:チャーリー・パーカー)
です。
"モダン・ジャズの父"として知られる、巨匠チャーリー・パーカー。
モダン・ジャズを創ったアドリブの天才は、
若き日のマイルス・デイヴィスを起用するなど、
プロデュース能力に長けているのも持ち味の1つ。
このアルバムを聴くことで、何かアイデアがひらめくこともあるかもしれません。
合せてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。