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- 第39回 『誰も伝えなかった ランドスケープ・フォトの極意』 (著:相原正明)
ミラノから戻ってきました。
イタリアは、法人登録が2000万社以上といわれる、
世界有数の起業国家。
単純計算すると、国民の3人に1人以上が社長!
その多くが中小企業ですが、
アルマーニ、グッチ、プラダ、さらにはフェラーリなど
世界的企業に育ったものも多数。
その独自性が注目を集めています。
ミラノはファッションの都として知られると同時に、
イタリア経済、ビジネスシーンの中心地。
中小企業も一際多く集まる激戦区です。
今回、いろいろな職種の社長にお会いし、話を聞く機会に
恵まれました。
その中で、長年にわたって勝ち抜いてきた人たちに
ある種の共通点がいくつかあることに気づきました。
たとえば、複眼的視点。
本業以外の別の分野にも精通し、
それを自らのビジネスに応用していく目。
そして、プロとしての徹底した姿勢。
陽気でテキトーな印象が強いイタリア人ですが、
一流人は意識が違う。
一瞬たりともチャンスを逃さない気迫にあふれ、
生き方にも反映されています。
そんなイタリア人社長たちにも通じる、
情熱と強い精神、高い探究心を兼ね備えた人が
日本にもいることを思い出しました。
それは、世界的な写真家として活躍する相原正明さん。
今回紹介する一冊は、相原さん入魂の
『誰も伝えなかった ランドスケープ・フォトの極意』 相原正明 (著)
です。
誰も伝えなかった ランドスケープ・フォトの極意/amazonへ
他の写真家とは全く違う切り口で、撮影の極意を語った一冊ですが、
衝撃を受けました!
写真どころか、あらゆる仕事に通じる内容です。
全57のコラムは、1つ1つが鋭く、濃密。
見出しだけでも、読まずにはいられない力強さにあふれています!
たとえば、
・世界でいちばん最初にベッドから起きる写真家しか、世界では生き残れない
・世界最高水準を見ろ! 二流を見たら二流にもなれない
・贅沢は味方だ。いい写真が撮りたかったらしっかり寝ろ、そして食べろ
・旅の終わりは旅の始まり、まずは馬の世話をしろ
・名脇役を見逃すな! 足元の風景にお宝が隠れてる!
・何で撮るかではなく、なぜ撮るかを考える
・テクニックは5%もあればいい。ハードを学ぶよりハートを鍛えろ
など、挙げればキリがありません。
そして、全てが、あらゆるビジネスに置き換えられるものです。
ページをめくるたびに身が引き締まる思いですし、
貴重な学びの連続!
また、著者撮影の写真も随所に収録されてあり、
その雄大さと美しさに、心が動きます。
著者25年のキャリアにおける、
プロの生き方、勝ち方の極意、
ぜひ読み込んでみてください。
尚、本書を読むときに、おすすめの音楽は
『ムソルグスキー:展覧会の絵(ピアノ&オーケストラ版)』です。
巨匠カラヤンの指揮とベルリン・フィルハーモニー管弦楽団による名演、
さらには、ピアノ版とオーケストラ版の解釈の違いまでも楽しめる1枚です。
本書への理解も深まるはず!
ぜひ合わせてお楽しみください。
では、また次回。