米国発の金融危機が深刻度を増す中で、円の価値が上昇しています。
急激な円高を受けて輸出関連企業は、業績の下方修正を迫られています。
その一方で、この円高局面を資産運用に活用しようと積極的に外貨建金融商品に投資する動きも見られます。
外貨建資産運用では、金融商品の運用益に加え、為替差益の恩恵も受けられる可能性がありますが、
購入時より売却時が円高になると為替差損を生じて運用益が相殺されてしまう恐れもあり、充分注意しなければなりません。
外貨建資産運用は、税務面でのメリットもあります。例えば、外貨MMFは高格付公社債などで運用する投資信託です。
いつでも自由に出し入れでき、売却時には為替差益を含む売却益が非課税になります。
また、外国債券や外国公社債投資信託は、償還まで保有せずに途中売却した場合の売却益(為替差益を含む)は非課税です。
下表に示したように外貨建資産運用は、金融商品の種類や取引方法によって課税方法が異なり、
為替差益に対する課税も考慮する必要があります。
外貨建金融商品を取り入れることは、資産運用の基本である分散投資に通じます。
米ドルやユーロ・豪ドル・英ポンドなど様々な種類の通貨に分散することによって、
それぞれの通貨が円に対して異なる動きをした場合、為替変動リスクを分散することができます。
また、各国の経済状況や金利水準などにより、円建の金融商品とは異なる高い利回りを実現できる場合もあります。
なお、昨今のように大幅な為替変動がある時期だけではなく、外貨建資産運用を含むリスク商品の運用に関しては、
購入時期(投資時期)の分散を徹底することが重要です。
まとまった資金であっても一度に集中して投資すると、
高値づかみになり価格変動リスクや為替変動リスクを大きく取ることになります。
比較的小口に分けて投資のタイミングをずらすことにより、これらの変動リスクを縮小することが可能になります。
為替変動はプロでも予測することが難しく、企業経営者や一般投資家が為替動向を予測することはさらに困難です。
しかし、今後の企業経営や個人資産の防衛には、守りの姿勢だけではなく世界の金融情勢を敏感に感じ取りながら、
積極的かつ機動的に外貨建資産運用に臨む姿勢も不可欠になるのではないでしょうか。
■外貨建金融商品の税金
|
外貨預金 |
外貨 MMF |
外国債券 (外国公社債投信) |
外国株式 (外国株式投信) |
外国為替証拠金(FX) |
|
取引所取引 |
店頭取引 |
|||||
利息 分配金 配当金 |
利子所得 20% 源泉分離課税 |
配当所得(注) 10% |
― |
― |
||
売却益 (為替差益) |
(中途解約時) 雑所得 総合課税 |
原則非課税 |
譲渡所得(注) 10% 申告分離課税 |
雑所得 20% 申告分離課税 |
雑所得 総合課税 |
|
償還差益 (為替差益) |
雑所得 総合課税 |
― |
雑所得 総合課税 |
― |
― |
― |
(注)平成21年1月1日以後は、原則として20%になる予定。ただし、税制改正により平成り21年1月1日以後も10%の軽減税率の適用が延長される可能性がある。