中小企業経営者は、これまで全力を注いできた会社経営にできるだけ長くかかわっていたいと思うのが
本音ではないでしょうか。しかし、いずれは誰かに会社を託さなければなりません。
日々忙しい社長にとっては、事業承継は優先順位が低く、つい先延ばしにしがちですが、残された遺族や社員の
幸不幸は、社長の事業承継の準備次第です。健康で精神的に安定している時にこそ、自分の死後や事業承継
について考える余裕も持てるので、「少し早い」くらいのタイミングで考えておくことが大切です。
経済のグローバル化の加速や人口減少社会の到来などにより、社会全体の構造の変化が企業経営に大きな影響を
与えています。米国発の金融危機がまたたく間に全世界へと波及したように、グローバル化により世界の出来事が
今までにないスピードで日本経済に影響を及ぼすようになりました。事業承継を考えるに当たっては、企業経営を
取り巻く環境が大きく変化していることも考慮に入れなければなりません。会社を成長・存続させていくためには、
その変化に対応する能力が今まで以上に求められています。
そこで、事業承継はこのような環境変化にも考慮しながら長期的な視点に立って行います。
まず、経営者自身の意向・方針、事業承継にあたってのビジョンを明確にします。
その後、現在の事業内容、経営状況、財務体質、後継者候補の能力分析、事業承継に必要な株式や
不動産の保有状況などの現状分析を行い、何があり、何が不足しているかを確認します。
現状分析後に、どのように事業承継を進めるかの事業承継計画書を作成します。
その際に1、いつ 2、だれに 3、なにを 4、なぜ 5、どこで 6、どのように 7、いくら
という「5W2H」を考えるとスムーズな事業承継計画が策定できます。
後継者の目途が立たない場合には、候補者の育成や候補者選定の要件についても考えておきます。
このように考えていくと、事業承継はすぐに行えるものではなく、
通常は5年、10年と時間がかかるので、早めの準備が必要になるのです。
現状分析
事業内容・経営状況、財務体質、後継者候補の能力分析、
株式や不動産の保有状況 など
事業承継計画書の立案と実行