日本は昨年、リーマンショックから立直って来た段階で大震災に襲われ、原発事故や超円高に苦しみました。世界も、欧州重債務国の信用不安から金融危機に発展して景気減速し、さらにタイ大洪水によるサプライチェーン寸断という打撃の追撃ちを受けました。
日本経済は、2001年から10年間の年平均経済成長率が実質0.7%、名目▲0.5%(内閣府)という長期停滞に陥っています。その結果、経済が長期衰退することを意味する「ジャパナイゼーション(日本化)」という英語まで出来ました。そこを襲った大震災と原発事故は東北地方に壊滅的な被害をもたらし、長期停滞期にあった日本は止めを刺されたかに見えました。
しかし経済的に見れば、破壊された東北地方沿岸部の復興はインフラや土木建築の新たな需要を生み出します。昨年組まれた復旧復興を含めた補正予算は、3次までの合計で18兆円にも上ります。これらが復興需要として本格的に景気を押上げるのは今年からで、その効果は3次補正だけでGDP1%に相当すると予想されています。
また、欧州の政府債務問題は、リーマンショック後の金融危機を乗切るための過重な財政支出が、欧州主要国国債の信用問題に及んできたことです。米国も南欧諸国も、不動産バブルに酔ったつけが一気に回ってきました。
欧州の政府債務問題も米国の住宅価格・失業率改善問題も、その解決にはこれから数年を要する見込みです。日本の金融機関がバブル崩壊から不良債権処理、バランスシート調整の完了までに要した長い期間を思い出せば、問題の深刻さは明確です。
ところで、2012年は日本人自身が日本を見直すべき年です。欧米がこれから数年間、バランスシート調整に手間取るのを横目に、日本は既にその調整を終えています。日本の金融機関・金融システムは、欧米に比べて1周遅れと揶揄されていましたが、世界情勢が大転換して財務健全性と事業展開力に関しては、いまや先頭を走っていると考えられるのです。
成長地域であるアジア諸国と地理的経済的に密接な関係がある日本が、震災復興という内需とアジアの成長という外需を生かして、再び活力を取戻すのが2012年でなければなりません。何故なら、震災復興特需は必ず発生しますが、いつか必ずなくなります。国際的な生存競争の中で、日本の生残りに残された時間はそれほど長くはありません。
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