前回に引き続き、2023年10月から始まるインボイス制度における経理実務上の事前確認ポイントを説明します。
今回は、売上代金から振込手数料を差し引かれたときの経理処理について、説明します。
売上の請求書を発行した後、先方が銀行から送金時に振込手数料相当額を代金から差し引いてくることがあります。
この振込手数料という少額な取引なのですが、インボイス制度導入後の経理実務では、次の2つの面倒な問題が生じることになります。
- 請求金額と入金額との差額の取扱い
- 振込手数料のインボイスの保存義務
振込手数料を差し引かれて入金があった場合、どのような経理処理をしていますか?
■振込手数料を差し引かれた場合の経理の取扱い
通常これまで、売上代金から振込手数料を差し引かれた場合でも、請求書の金額を訂正して出し直すことはしていません。
経理も実務上、請求金額と入金額との差額が千円未満の場合には、請求相手に確認するまでもなく、次のいずれかのやり方で会計処理をしていたことでしょう。
- 売上値引きとして処理
売上金額から振込手数料相当額を減額して会計処理
(借方)売上高または売上値引 xxx (貸方)売掛金 xxx
- 支払手数料として経費処理
振込手数料相当額を売り手側負担の経費として会計処理
(借方)支払手数料または雑費 xxx (貸方)売掛金 xxx
月に何件、売上代金から振込手数料を差し引かれていますか?