前々回のこのコラムで、
「ノンペーパー(紙無し)・ノンライティング(手書き無し)を進めなさい!:」
と申し上げました。
その際には、管理部門での業務を中心に述べました。
しかし、新たな技術で仕事のやり方を変えるのは、営業・店舗・工場・運輸など、あらゆる部門において可能なのです。
中小企業はとにかく、新技術の活用が遅れているのです。
別紙にて、中小企業が活用すべき新技術を部門別にまとめました。ひとつずつ確認し、自社でやるべきことがないか、確認してください。
例えば、ノンペーパー(紙無し)・ノンライティング(手書き無し)と共に、進めたいことのひとつが、キャッシュレス対応です。
日本政府も今、キャッシュレス対応を進めています。すべての決済のキャッシュレス比率は現在20%と言われています。経済産業省は今年、2025年をめどに、キャッシュレス比率を40%に高める目標を発表しました。従来は2027年を目標としていましたが、その期限を早めたのです。
なぜかおわかりでしょうか?現金管理にかかる国家の費用を減らしたいのです。古い紙幣や硬貨を回収廃棄し、新たな紙幣・硬貨を発行し、全国に運びます。廃棄・造幣・警備・運搬だけでも、費用が莫大なのです。
だからキャッシュレス化に向けて急いでいるのです。
要は、現金を扱うこと自体、それだけでコストが大きくなりますよ、と言いたいのです。
電子マネーを一度でも使ったことがあれば、こう思うはずです。
「これは便利だなあ。」と。
鉄道なら並んで切符を買う手間がなく、コンビニでの小銭の出し入れも必要ありません。電子マネーやクレジット決済にすることで、手間がなくなるのです。
最近は、電子マネー対応のみの自動販売機も見かけるようになりました。現金の回収や釣銭の補充が不要なのです。
管理する側も、現金管理の手間がなくなるのです。
ならば、小売や外食などの商売であれば、もっと積極的にキャッシュレス化を進めてほしいのです。
運輸や工場部門であれば、カメラの導入をもっと進めてほしいのです。ドライブレコーダーによる運転中の記録動画や、工場内のあらゆる場所での記録動画など。事故・トラブル時の事実確認が容易になるだけでなく、従業員による違反行為への抑止力にもなるからです。
デジタルカメラは今や、超低価格です。安全管理の費用と思えば、安いものなのです。
営業部門や工場部門でも、新技術の設備投資により、減価償却費を増やすのです。減価償却費が増えることで、使えるお金となるキャッシュフローが増えます。キャッシュフローは、損益計算書での(税引後利益+減価償却費)なのです。
使えるお金が増えれば、銀行借入の返済や、新たな投資へと、そのお金を注いでほしいのです。
これらの新技術導入のネックになるのが、まずはトップの古い考えかたです。新たな技術には未完成な部分もあるかもしれません。何らかのリスクも抱えているでしょう。
それでもいち早く新技術を導入する会社は、明らかに遅れている会社より、一歩二歩、先を進んでいるのです。そして、先を進みながら、未完成な部分を修正し、当初のリスクを克服してゆくのです。
「値段がもっと下がってから。」
「もっと他社がやり始めてから。」
「うちにはなじまないのでは…。」
などと言ってる間に、さらに一歩先を行かれるのです。
それだけで、技術の面でも管理コストの面でも、負けてしまうのです。
2019年にぜひ取り組んでいただきたいのは、現在の経営管理の方法を破壊することです。そしてAIやIoTといった新たな時代へ向けて、新技術を活用する経営管理に大転換することなのです。
中小企業だからできない、ということなど、ないのです。