6月10日に行われたアップルの年次開発者会議「WWDC24」で、出遅れているとされていたアップルのAI戦略が語られたが、「AI」という言葉は3回しか出てこなかった。(5/28のGoogle I/Oでは120回)
その代わりに使われたのが「Apple Intelligence」で、利用者の行動を学習し、各種機器やアプリでの体験から個人的な背景を理解して処理をするが、基本的にiPhone、iPad、Macなどの機器内で処理される点が重要で、プライバシーや情報が保護されている。
音声アシスタントの「Siri」はChatGPTが統合されて大幅に改良され、より自然な会話が可能となり、複雑な質問にも対応できるようになり、メモや電話アプリでの音声録音を書き起こし・要約、文章を書き直したり校正するだけでなく、独創性やユーモアを加えることもできる。
スケジュール管理や写真、ビデオをリアルタイムに分析して内容を認識したり、編集を支援したりする機能も登場した。
■Private Cloud Compute
通常の処理ならiPhoneなどの機器内で行えるが、より複雑な計算が必要な場合はアップルのサーバーにある「Private Cloud Compute」に情報を渡して処理をする。
クラウドに送信された利用者の個人データは本人以外の誰にもアクセスできず、Appleでもアクセスできないとされ、送信された個人データは利用者のリクエストを実行する目的でのみ使用、処理後は削除される。
アップルは「プライバシーの新しい基準を打ち立てます」とし、クラウドサーバーで処理を行っているOpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」などとは一線を画している。
■iPhoneの買い替え
今回発表された機能は秋に予定されているOS(基本ソフト)のアップデートによって使えるようになるが、これらは膨大な計算処理を伴うため最新のアップル製半導体を搭載したiPhone、iPad、Macのみで使用でき、iPhoneではiPhone15pro、iPhone15proMAXのみが対応している。
そのため、秋に発売されるiPhone16などへの買い替え需要が予想され、株価は最高値を更新、一時エヌビディアに抜かれて3位となっていた時価総額もマイクロソフトを抜いて1位を奪還した。
生成AIを個人や企業が利用する場合のネックとなっていた情報流出やプライバシー問題に対し、アップルが示した基準は新たな方向への転換点になるかも知れない。
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