この40年間、多くの優れた超ワンマン経営者を見てきた。
売上高年商何兆円から30億円まで(それ以下の売上高だとワンマン経営者は当たり前)の成功経営者を・・・
一代で中興の祖として立派な企業にもっていかれたことは周りの誰しもが認め、賞賛されている人物でいらっしゃる。
学校を出て(満足に出ていらっしゃらない方もいる)仕事に入り、ただひたすら40年~50年、全ての生活を仕事に打ち込み、寝ても醒めてもた だひたすら事業欲一本、周りの人間もその熱意と行動に舌をまき、一丸となってついてゆく。
決定は、何千人と社員が膨れ上がってもただひたすらトップが決め、その正しさは実績として表われてゆく。
全ての社員、役員はワンマン経営者の指示を仰ぎ、その判断決定に従ってゆき、その企業パワーはますます強くなる。
超ワンマン経営者の欠点は3点である。
1、加齢による肉体的、思考的衰え
2、事業環境が移り変わる(客だけでなく、労務環境も)
3、思考する、判断する、決断する人材が育たない
1、年齢的衰え
毎年一つずつ年をとる。30代のほとばしる活動力、40代の思考力、賢明さ、50代の熟練された統率力と、それぞれ経営者としての魅力ある能 力が発揮された。しかし、人間いかにスーパーマンであっても、よる年並みには絶対に勝てない。勝っていると思っているのは「おごり」であり、神仏に対する 不敬である。肉体的にあちこちが痛み出し、病が出、人間の死亡率は100%であるにもかかわらず、ふとそれを考えない。自分は不死身であり、今は未だ死ね ないと思い仕事(現場)に出て行こうとする。この姿は周りからみても滑稽である。
2、事業環境は移り、変わる
70歳の超ワンマン経営者がよせばいいのに急に現場指導する時がある。言っている事がお客様目線からも現場からも完全に時代遅れになっている 事が多くある。
超ワンマンには、お客様も一般社員も「それは違っていますよ!」と誰も言わない。一般社員はしかたなく、怒鳴られるから「はい! わかりまし た」と言ってその場を繕う。
もはや時代の流れの速さについていけなくなっている。
超ワンマンの理解し得ないシステムの世界に入らないといけないことだって多いのである。
3、思考する、判断する、決断する人材がいない
超ワンマンの思考力に企業は頼ってきたのである。幹部社員はすべて超ワンマンの手、足であって、頭ではないのです。頭を育てる気はなく、自分 の役割を継ぐ人材が居れば、排除してきたのです。
考えて考え抜き、迷い、そしてA案、B案と対策を絞り込み、そして、決断してきたのです。
その決断は時には、企業生命がかかっていることもありました。そのように超ワンマン経営者が引退を決定した時、果たしてその企業には代役、超 ワンマン経営者の後継者が育っているのでしょうか・・・
ほとんどいません。超ワンマンの死と共に企業の終末も来るのです。