menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

戦略・戦術

第59話 「社員は会社第一主義で行動させよ」

強い会社を築く ビジネス・クリニック

「週40時間労働」などと、日本はバカなことを法制化したと思う。
 
 もしこれがアメリカの労働者なら、反対デモが発生しただろうという人がいた。なぜならアメリカでは「労働は教育と同じで、義務ではなく権利である」からです。経営者は割高の残業代(アメリカは1.5割増)を払うぐらいなら、これ幸いにパート社員を増員し、正社員の残業制限を行う事になるから反対だと、デモになるわけだ。
 
 古くから述べ書いた本人も驚くが、結果は今や多くの人を雇用する大会社は新興国へ会社を移し、日本国内では失業者があふれる時代になってしまった。
 
 労組幹部に申したい。世界観を持たないと雇用市場が日本では縮小するばかりになりますよと・・・
 
 我が国の労働法の基礎理論は、古くさい「従属労働」概念でまとめられている。弱い労働者の立場を法律で守ってあげると言うことだろう。しかし日本の労働観が昔からそうであったわけではない。二宮尊徳の例を持ち出さなくても、かつては「働くことは喜びであり、端の人を楽にさせることだから、“はたらく” だ」と考えられてきた。自己責任で働き、自己実現の為に働く『自立労働』概念だ。
 
 アメリカのように入口の門から玄関の車寄せまで歩けば5分もかかる大邸宅に住む金持ちは少ない。日本のトップも社員も標準化している。
 
 私は以前から「社員は、“顧客第一主義”ではなく“会社第一主義”で自主的に行動すべきだ」と主張している。
 
 組織を考える時に整理しておくべきことがある。
 
 それは「個人」と「組織」と「顧客」の関係だ。
 
 個人の都合と会社の都合は、基本的に矛盾する。仕事の内容にせよ働き方にせよ、個人のロマン・理想といったものと、会社の現実は矛盾しているものだ。その矛盾を組織づくりで解決しようとすること自体、矛盾なのである。
 
 バブルのころは、「個を尊重する組織づくり」盛んに叫ばれたが、結局、会社に余裕がある時だけ個人の都合にあわせようとしたにすぎない。私に言わせれば,個を尊重する組織は綺麗事だ。その証拠に、業績不振となったら、手のひらを返して、希望退職だ人員削減だと「個を尊重しない組織づくり」を目指しているではないか。
 
 さらにそこに顧客がからんできて、ややこしくなる。お客様第一主義などと言っているが、会社の都合とお客様の都合が合いっこない。
 
 お客様は、できるだけいいものを安く買いたい。会社は、古い在庫であってもできるだけ高く売りたい。お客様の都合と個人の都合だってうまく融和しない。
 
 では、会社は何のために存在するかと言えば「利益を上げるため」だ。そして、利益はお客様が会社の商品やサービスを購入することで生まれる。そうなれば企業存在理由はお客様の都合が一番という事になる。
 
 ところがお客様と一口に言っても、必ずしも会社に利益をもたらさない困ったお客様もお客様に違いない。社員の中には、会社の利益に貢献してくれる良質なお客様の都合には目もくれず、ただ嫌がらせを言いたいだけの冷やかし客の都合を優先させてしまうかも知れない。だから私は個々の「お客様」ではなくて、お客様を包括した「市場」と言っている。
 
 そこで優先順位をつければ
 
 一番目は「顧客=市場」
 
 二番目は「会社」
 
 三番目は「個人」という順番だろう
 
 会社は市場の都合に合わせて商品を作り、サービスを提供すべきであり、個人は会社の都合で働くべきであるという事だ。社員は会社の都合で働いているからこそ会社から給料をもらっている。私は、資本主義経済の中で、労働というのは基本的に「自主的な滅私奉公」だと考えている。奉公の公とは世の中だ、古いと言うなら「滅私奉仕」「ボランテイア」でどうだろうか?
 
 それでこそ個人の能力も発揮できるし、組織の中での「自己実現」もできる。古い考え方でもなんでもない。昔から決まっている。
 
 つまり、「社員は会社の都合を第一に考えて、自己実現の為に滅私奉仕せよ」というのが正しいのである。

 

第58話 「防災シミュレーションの必要性」前のページ

第60話 「『稼ぐ組織』にするには何が一番重要か・・」次のページ

関連セミナー・商品

  1. 第38期「後継社長塾」

    セミナー

    第38期「後継社長塾」

  2. 井上和弘の経営の核心102項

    井上和弘の経営の核心102項

  3. 井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

    音声・映像

    井上和弘『経営革新全集』10巻完結記念講演会 収録

関連記事

  1. 第193話 「コロナ禍&価格高騰でも、営業利益を増やしなさい」

  2. 第13話 「後継者に金を貯めさせよ」

  3. 第141話 「銀行交渉に強い決算書となるよう、確定前のチェックをお願いします」

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

  2. 第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

  3. 第219話 少人数私募債の相続対策

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    故事成語に学ぶ(38) 守らば則(すなわ)ち余りありて、攻むれば則ち足らず
  2. マネジメント

    挑戦の決断(29) 忖度(そんたく)は決断にあらず(明治維新と廃仏毀釈)
  3. 仕事術・ビジネススキル

    #7 一流の〈講演会で覚えてもらう力〉-最前列の価値-
  4. マネジメント

    第17回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:モンベル~
  5. 戦略・戦術

    第七十七話 コロナ禍の「お客さまの声」を活かしたリストバンド通販会社の挑戦と成長...
keyboard_arrow_up