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製造業

第184号 全体を把握した上で行動する

柿内幸夫─社長のための現場改善

 福島県に出張した際、JR東北本線二本松駅前でユニークな交番を見つけました。街並みにマッチしていて、すてきです。おもしろいなぁと思いましたので、ご紹介します。

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 先週、ドイツの大手電気機械メーカーであるS社の工場長ら20名の一行が日本を訪れた際に、私の指導先で静岡県にあるY社の工場見学に訪れました。

 その際に、私が日本語でしゃべる内容を通訳のKさんがドイツ語に通訳してくださることになっていたのですが、Kさんは東京から静岡に移動するバスの中で、私が話す予定の内容に関して私にいろいろな質問をずーっとしていました。

 私は『ずいぶん細かいことを聞くけど、なぜかなあ』と不思議に思いました。資料は前もってお渡ししていましたが、それほど難しい言葉も使っていなかったからです。

 そして、実際の現場での案内が始まりました。すると驚いたことに、私が一言日本語を話すと、Kさんのドイツ語で話す量は、必ずその二倍かそれ以上になるのです。

 工場見学やその後の質疑応答が終了した後に、Kさんに、「私の短い話がなぜあんなに長いドイツ語になるのですか?」と伺ったところ、「今回のツアーの参加者は日本の改善についての知識が十分でないので、言われた日本語をそのままドイツ語に訳しても理解できないと思うし、また逆に表面的に分かったような気になってしまうと帰国後に活用できないので、しっかり補足説明を加えて通訳している」と教えて下さいました。

 それを聞いて、私は大変に感心しました。彼女はドイツと日本の現場の両方の状況を知っているので、日本人にとっては当たり前のことでも、ドイツ人にとっては全くの未知の部分といったことの存在を知っていました。

 すなわち、お互いが「何を知らないか」が分かっていたのです。だから、このことを知らないドイツの人たちに、たったこれだけの説明をしても理解できないか、あるいは間違って理解するかのどちらかだろうと考えて、その知らない部分を同時に補足しながら通訳してくださったので、私の話す時間の二倍以上の長さになっていたのだと分かりました。

 ゆえに私は、自分に知らないことがあるのを知らずに、ドイツの方々に無謀な話してしまうところを通訳のKさんに救われた形になりました。あーよかった。^^;

 さて、先回の183号の「新人を育てる責任」の中で、『私たちは「自分が何を知らないか」を知ることはできません。だから新人は「知らないこと」について前もって質問ができません。失敗して初めて「知らなかったこと」を知るわけです。』 と書きましたが、今回のことで、これは新人に限らず私にとっても全く同じことだと分かります。きっと読者の皆さんにとっても同じでしょう。

 前回、新人教育としていろいろなことを書きましたが、自分にも同じことが当てはまことが分かる事例が起きたので、このことを読者の皆様と共有化して、改めて、身の回りの情報の捉え方について抜けがないかを考えてみる機会としたいと思います。

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

 

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