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人間学・古典

第9講 「言志四録その9」
春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら慎む。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
春風のような和やかさで人に接し、秋霜の厳しさをもって自己を抑制する。


【解説】
掲句には「他人に優しく自分に厳しく」という諌めだけでなく、
「自分に厳しくしていれば本当の和やかさで他人に接する事ができる」という意味合いも含まれています。

和やかさといっても厳密には二種類あります。
一つは、自己に厳しく、しっかりした日常生活に裏打ちされた余裕からくる大同調和的な和やかさ。
もう一つは、ふしだらで優柔不断な生活からくる付和雷同・風見鶏的な和やかさです。
付和雷同とは、自分に一定の見識が無く、ただ他人の説に理由も無く賛同することですが、
最近の世相から見ると、この種の人が増えているのは寂しい限りです。


「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」とは、論語の言葉ですが、人物のできた人は、
周りの人々と大道調和しますが、決して安易な付和雷同はしません。
逆に人物のできていない人は、簡単に付和雷同をしますが、肝腎なところで大道調和をしないということです。
表面的には同じような和やかさをもって人に接しても、日常生活の修行の差はいかんともしがたく、
存在感があると思われる人、軽々しいと思われる人とに二分されるのです。


経営者や幹部が、この「和やかさ」を取り違えると組織の行く末に大きな不安の影を落とすことになります。
幹部の職責は、組織の目的を達成できるようにリーダーシップを発揮することですが、
自身の日常生活が甘いと、その後ろめたさから勇気と実践力が衰えます。
部下への遠慮で指導や注意が弱まりますから、組織の迅速性を奪い我が儘な部下を生む結果となります。
威厳のある者の言葉には、優しく言ってもそれなりの効き目や影響力があるものですが、
遠慮がちな善人が部下に媚び、組織を甘やかせることは企業にとってマイナスでしかないのです。


人への感化は人間器量の差によって生まれるものです。
見えない部分の生活が充実してくると、自信が生まれ勇気が湧きます。
そうすれば発する言葉にも説得力が出てくるので、穏やかな表現の忠告でも部下への効果は抜群になります。


日常生活の裏づけが産む存在感の差は、強い信頼感を生んだり、逆にいざという時に人の裏切りを招きます。
企業の幹部として多くの部下を持つ人は、このことを十分に意識して地位に相応しい慎み深い生活をすることです。

 

杉山巌海


第8講 「言志四録その8」口舌は人従うことを肯ぜず。躬行は人これに従う。 道徳は人自然ニ服従し痕跡を見ず。前のページ

第10講 「言志四録その10」寝に就く時、懐を空虚にし、夜気を養うべし。次のページ

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