銀行のトラップに引っかかる社長夫人たち
ある会社で、社長夫人の経理担当が銀行から勧められて、高額の投資商品を会社で契約していました。
その銀行から新たな借入をしてまで、です。
ところが大きな損失が出ました。夫である社長に聞くと、
「わたしはまったく知らなかった。わが目を疑いました。」と言うのです。
どこかの自動車販売会社と同じです。
「でも、契約書を見たら、代表社印を押していますけど、これは社長が押したんじゃないんですか?」と尋ねました。
すると、こう言われたのです。「いや、押したかもしれないけど、お金のことは全部妻に任せていて、いちいち契約内容なんかよく見ていないですから。」
完全な開き直り、というか、あまりにも無責任です。しかし、中小企業の実態として、似たようなことが今もどこかで起こっているのです。
その結果、会社に多額の金銭的被害をおよぼす、ということを、何度も目の当たりにしてきたのです。
それに、社長夫人が経理担当の会社には、銀行はできるだけ若くて活きのいい男性行員を、担当にしようとします。
なぜなら、そのほうがお金を借りてもらいやすいからです。
“そんなことないでしょ!”と言いたいかもしれませんが、実際に、あるのです。
男女とも、若い異性が奮闘している姿には、弱いものです。男性ドクターのところには、製薬会社の若い美人のMRが薬を売りに行くのと同じです。それだけで、薬がよく売れるのです。
ある会社で、借りなくてもいいお金を短期間とはいえ借りてしまった、経理担当の社長夫人に聞きました。
「どうして要らないお金を借りるんですか!」するとこう言いました。
「いえね、うちの銀行担当がちょうど私の孫くらいの年齢で、熱心にいろいろ説明してくれてねぇ…。うちの孫もこんな風にがんばっているのかなぁ、と考えると、応援してあげたくなってしまって…。」
と完全に、情に流されているのです。
こうなると銀行支店長の思うつぼです。女性経営者の元には、若手でちょっとイケメンの男性行員を担当として送り込む。
そうすれば、わが子・わが孫のように錯覚して、こちらの提案を了承するケースがそれなりにある、ということを考えたうえでの銀行の作戦なのです。
おっさんの銀行員がいくら汗をかいても、女性経営者にすれば、むさくるしいだけです。
それが若い男子銀行員だと、“熱心だわ。”“少しくらい応援してあげても…。”に変わるのです。経理担当社長夫人のもとに、若い男性銀行員が来ているなら、それは銀行から狙われている証拠なのです。