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経済・株式・資産

第108話 中小企業の事業承継(11)

あなたの会社と資産を守る一手

業承継において代表者個人の連帯保証債務を引き継ぐことについて、代表者生前時の事業承継の場合と、相続による事業承継の場合とで分けたのですが、今回は相続による事業承継の場合です。

前回も書いたように、オーナー社長が経営する中小企業の事業承継では、銀行借入金の連帯保証も新代表者が同時に引き受けることとなります。
一般的に年商が1億円くらいの会社でも数千万円の借入をしていることも多く、
年商10億円の企業ともなれば金融機関からの借入金は数億円になることも普通です。収益率が高く通常の返済がされていればまだいいのですが、リスケをしている企業の場合、とくにこのことが問題になります。

今回は相続による事業承継の場合ですが、代表者生前時の事業承継とは違い、まず資産・負債の確認から作業が進みます。 
とくに、事業承継+相続という二つのことを同時に行なうため、会社・代表者の資産、負債の調査は重要です。 
ここで注意すべきことは保証債務の金額も確認すべきということです。
代表者が第三者の限定保証人になっていることもありますが、会社が別の会社の保証をしていることもまれにあります。

資産、負債の数字がはっきりして事業承継を決めた場合、承継者の信用調査がされることになります。仮に承継者の個人信用情報に問題がある場合(個人で借入した債務が延滞していたり、代位弁済されたなど)は、銀行側から不適格と言及されます。

事業承継者が決まらず、相続のみが先行した場合、旧代表者の債務・保証債務は相続人に引き継がれます。
新社長がなかなか決まらないでそのまま推移した場合、銀行・信用保証協会側から債権保全という手続がされることになります。 
しかも、この段階では相続が先行しているため保証債務も相続されており最悪の結果になることもありえます。 
つまり、相続と同時に速やかに新社長も決めなければならないのです。 
一般的に銀行は新社長の適格性について高い経営能力というものを求めませんが、信用については問題がある場合は再考を促されることもありえます。

仮に相続はされたが、事業承継者が決まらなかったとすればどうなるかといえば、信用保証協会付債務があれば事故報告が銀行から信用保証協会側に提出され、 
数ヵ月後には会社は破たん、相続人に請求されると考えたほうがいいです。 銀行プロパーの借入のみでも同様の経過になります。

いくら利益率の高い事業を行なっている会社でも、事業承継者が決まらないと、実質債務超過であれば相続人じたいも多額の債務の相続によって破たんに導かれることになります。

それゆえに、会社経営者死亡による相続時の事業承継では、保証債務も含めて会社、故人である社長の資産、負債の確認を急いで正確にすることがもっとも大切になるのです。

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