悲しい性で、人は何か失敗をすると、まわりへ責任転嫁をする傾向がある。
曰く、“ベンチがアホやから野球ができない”“会社(上役)(得意先)に理解がないもので…”。
学校出てから十余年、という昔の流行歌があったが、40年以上もビジネスマンをしてきて次第に分かってきたことは、人に批判
や非難を向ける前に、自分がやるべきことをキチンとやったかという、己に刃を向けた方が精神的な消化がいいということだ。
私の好きな言葉に《 I own the problem. (問題は自分のもの)》というのがある。
人間は誰でも、二つのカゴをぶらさげているのだという。
前にはとても大きなカゴ、後ろには小さくて見えにくいカゴを…。
前のカゴの中身はというと、他人の欠点と他人のアラが入っている。
後ろの小さなカゴには、自分の欠点が入っている。
どちらが目につ き易いかといえば、目の前の大きなカゴの方に決まっている。
だから、本当の自分が分かるためには、少なくとも一日の三回は後ろを振り返るべきなのだ。
日に三回省みる―――「三省堂」という書店の名前の由来である。
物事が思ったとおりに進まなかったり、いろいろなトラブルが起きたりするのも、もとはと云えば、自分のせいなのだ。
敷衍(ふえん。 事務局注:詳しく説明)すれば、自分の器量とか運にも関連があることだが、あくまで「自分の問題」
なのだと考えた方が、生き方として潔い。
そもそも、責任感と信念を持つ業績追求者によって成り立つべき企業において必要なのは、
批評家(Critic)ではなく、実行者 (Go-getter)である。
議論があって行動が無く、意味が豊富で実行が伴わない人種は、私の長い経験からみても大成した例は無い。
ましてや、焼き鳥屋で一杯飲んだ上で、部下に対して上役の批判をしたり、外部の取引先に対して
自分の会社の批判を言う手合いに至っ ては、まったく見込みの無い、いわば企業のダニ・悲しいゾンビ的存在である。
己の失敗、非を認めることは辛いが、しょせん、他人との関係で考えることができるのは自分であり、
他人ではないことに、早く気づくべきである。
トルーマン大統領は、“すべての責任はここで止まる( The buck stop here. )”と言っていたものだ。
“悪いのはお前だ…”と人差し指で他人を非難しても、何のことは無い、
中指以下3本の指は己に向けられていることを忘れてはならない。
I own the rpoblem.(問題は自分のもの)という考え方は、
I own my own life.(自分の人生は自分のもの)という考え方につながる…と、私は思う。
新 将命