第一印象が決まるのは、外見が55%、声のトーンが38%、話の内容が7%。
これは、米国UCLAの教授であったメラビアン博士の発表した「メラビアンの法則」です。
人の重要な部分は勿論中身です。
しかし秒刻みで進行するビジネスシーンでは、場を共にする他者に短い時間で与えるインパクトや印象が、
その人自身の全てとして相手の記憶に「イメージ」が残ってしまいます。
そこでご自分自身を上手く伝えることのできる、外見や装いの方法を知って実践されている方と、
何も知らずにいたり、頭では理解しながらも実践できていない方とでは、
短い時間で出てしまう結果に大きな差がでるのは明白です。
そうであれば、その短い時間と印象の与え方を理解し、効果的に取り入れ、
ご自身の中身や才能を上手く表現するパッケージとして使うことも、
ビジネスにおけるマネジメント能力といえるのではないでしょうか。
相手に与える印象の中でも、最も有効なのが「外見」。
さらに、その外見の中でも最もそのイメージの伝達スピードが早いものが「色」です。
大多数の企業が、それぞれのコーポレートイメージを表現するコーポレートカラーを持ち、
ロゴや会社のイベントの際にもそれを前面に出して、
無意識のうちに大衆の記憶に刻み込んでいるのは、その為です。
そう考えれば、経営者の方も同様。
企業の顔として、企業イメージを背負い、トップとしてその立場やTPOにも相応しく、
そのときのテーマにも合い、さらにはご自身の特徴を最大限生かせる色を選んで身につけることが、
大切な場で発言する言葉一つ一つのメッセージ発信力がより一層強化され、
聴衆の記憶に残せる戦略であることに気づいていただけるでしょう。
先日の自民党総裁選直前、ある媒体より当時候補者であったお二人のイメージについて
コメントを求められました。年齢もキャラクターもまったく違う両氏を大きく印象で分けると、
新総裁となった福田氏はグレーのスーツ、麻生氏はネイビーのスーツ、というイメージです。
グレーの色彩心理としては、「大人で落ち着いている。自分を前に押し出しすぎない。」
ネイビーは、「活力があり、若々しく精悍なイメージ」。
J.F.ケネディは、ネイビーのスーツでニクソンに勝ちましたが、
福田氏はグレーのスーツで新総裁に選ばれました。
このように見てゆくと、そのとき世の中がどのような状況で、人々が何を求めているのか?が垣間見られます。
そして、今の日本がどのような状況にあり、どのようなトップを求めているのかも
正に見えてくるのではないでしょうか。
このように、トップとは周囲から様々なことを求められ、期待される存在です。
それを叶えてくれる印象を与える人物を人々は選び認識するのですから、望まれている事柄を分析し、
その期待に答えることのできるご自分の力や、その状況を把握した信頼感のある印象を与えるための
色彩心理を味方につけ、身につけるものにそれを反映させること、そして周囲を安心させることも
優秀なトップのリーダーシップ能力の一つです。
スーツの色のTPOや目的による着用以外にも、さらにカラーバリエーションが多く、
さらに印象に大きな影響を与える重要なアイテム「ネクタイ」があります。
現在、私はNew Yorkでのビジネストリップ中なのですが、
米大統領ブッシュ氏が水色のネクタイを締めてTVに登場する映像を頻繁に目にしています。
赤のタイが多くの人に印象を与えているこの方の、水色ネクタイの意味をご存知でしょうか?
これは次回解説させていただこうと思います。
ダークカラーであまり色味を感じさせないグレーと紺のスーツですが、
この選び方で、無意識のうちに相手に与える印象が大きく変わり、大変な効果があるといえます。
ネクタイがわかりやすいインパクトであれば、スーツはインプリンティング(刷り込み効果)でしょうか。
パーソナルカラーを踏まえたベーシックトーンのグレーと紺をスーツに選び、
ご自身のベーシック(基本軸)を周囲に発信してみてください。
色はとても雄弁であることを実感されることでしょう。