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税務・会計

第40号 処理と解決は違う

会社を守り抜くための緊急対策

◆処理と解決は違う
 この「処理」と「解決」は意外と誤解されて使われているようです。
 中小企業も専門家との付き合いはあると思います。
 中小企業経営に関係がある専門家といえば、やはり、税理士でしょう。公認会計士は大企業をメインとしていると思われています。そんなに頻繁に事件がなければ弁護士とのかかわりも少ないかも知れません。
 弁護士や会計士の知り合いはいますか?
 税理士はいても弁護士や会計士の知り合いはいない人が多いのではないでしょうか。
 弁護士と会計士は使いわけが大切になります。
 法律的な問題の解決には弁護士が必要になります。中には無理やり法的に解決しようとする弁護士もいます。裁判に持ち込んだ方が楽だと話す弁護士もいます。こんな弁護士に当たったら、不幸です。
 経験上、法的には解決しても、何も解決していないことがあることをよく知っています。解決ではなく法的に処理しているだけ。そう考えたほうがしっくりと行くこともあります。
 弁護士には、裁判中心の弁護士と渉外弁護士がいます。ほとんどの弁護士が裁判中心の弁護士です。ですから、早い段階でこの手の弁護士が登場しますと、何か、堅苦しさを感じることもあり、ビジネスの話がまとまらないこともあります。ですから登場していただくタイミングを少し遅らせる等を考えた方がいいと考えています。
 一方、会計士の役割は、問題が発生しないように顧客にアドバイスをすることだと考えています。また、法的に処理されても何も解決していない場合、その解決に導くことです。
 顧客が何かに手を出そうとする場合、一呼吸おいていただく。その役目が会計士の役割だと考えています。
 例えば、資金について・・・
 中小企業の多くの社長は慢性的な資金不足のため、当座、楽になりたい。だから投資家や融資先を必死に探しまわります。しかし、まともな資金はなかなか入ってきません。中小企業の決算書や試算表はもともと嘘っぱちだから仕方がありません。
 中には、粉飾決算をして投資・融資を受けるという詐欺的行為もあります。先のことなど関係ない。とにかく今を脱したい。みんな必死なのです。
 こんな状況で資金を受け入れたらどうなるでしょうか。借入や未払いがあればその支払いに調達資金は簡単に消えていきます。
 投資や融資を受けた後、投資家や債権者が騒ぎ始めてから弁護士は登場してきます。しかしそれでは遅いのです。
 本当に必要なことは、この投資や融資を止めさせること。これには勇気が必要です。しかし、本当に相手のことを思っているのであれば自然と行動できるものです。
 何かが起きてからでは遅いのです。
 交通事故もしかり。市民が危ない場所だと何度も訴えても、実際に事故が、それも大きな事故が起きないと行政は動こうとはしません。小さな事故ですがマスコミが取り上げたためしぶしぶ対応することはあるようですが・・・
 最悪は人の死。「まさか」がまさかではない時代。「まさか、命まではとらないだろう」と高をくくっていると本当に危険な目に会うことも少なくないのです。
 テレビドラマのように、何人も死ぬということは現実には少ないでしょう。しかし、それに近いものが現実にもあることを知っておくべきかもしれません。
 不正や横領も「処理」と「解決」を間違えますと大変です。
 不正や横領の解決とは、二度と不正や横領を起こさせない社内環境を構築することです。
 社内に犯罪者を作らないと経営者が決心しなければ何も解決したことになりません。
 表面では横領の全責任は社長にあると話はしても、本音のところ、実行犯が悪いのであり自分自身は悪くないと考えている会社は、必ず、犯罪者を作ってしまいます。
 社長の本気度合いに期待するしかありません。
 また、経営者が行う決算書の改ざんなども、経営者自身が会社を守りたいという一心で行うこともあるため、また、行うかもしれません。
 顧問などに相談すれば、また、否定されるだけだと分かっているため、相談などしません。もちろん顧問が不正以外に知恵を出してくれればいいのでしょうが、現実、そのような顧問は存在しません。だから、相談しても仕方がないと思うのです。
 会社を守るために行うのだから、社員も理解してくれると思いたいでしょう。前にもお話ししましたが、社員の9割は社長のことを理解していないのです。
 このことを思い出し、不正をしてその場を凌いでも誰も喜んではくれないことを再確認して、自分自身で不正を未然に防ぐしかありません。
 社長が不正しかないと考えていても、経理はそれを止めることが大切です。しかし、組織では理想論になります。経理は社長に従うしかありません。それが現実です。
 不正以外に道はない・・・これは絶対に間違っています。必ず、知恵を出せば、道は開けるものです。

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