今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」です。その第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第12項目である『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』に関してのお話を致します。
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- 第78回 キッチン動線は多い方が使い易い。
前回はフェーズ8の「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ハード面の重視 』の大切さを認識して戴く目的でこのコラムに於いて25項目用意致しました中の、第11項目の『 「 共用竪排水管 」は「 鋳鉄管 」が一番良い。 』の御説明を致しました。
今回は分譲マンションのソフト面の良し悪しに依って特に売主の会社の「 モノづくり 」に対する姿勢が問われています、マンション住戸居住者である主婦( 主夫 )の家事動線への配慮に関するお話で『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』を皆様に詳しく御説明致します。
さて、今回も建築家として、私が最も得意とする「 モノづくり 」におけるソフト面に於ける重要な「 こだわり 」の御説明であります。
今回も、分譲マンションの「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて売主が入居者( 購入者 )サイドに立った商品を製造・販売しているか否かが、購入者にとって大変大きな判断基準になりますし、分譲マンションの購入決定者はほとんどが奥様なので私の今迄のマンション設計等の経験を通して御説明を致します。
いつも、このコラムで、申し上げていますが、この処の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの傾向を見ますと、良い商品を作って分譲している良心的なディベロッパーと、販売力の強さや数字のみに頼って分譲マンション等を企画・販売していますディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進んできております。
現在、販売力の強さと数字のみに頼って販売しているディベロッパーに於いては、かなりの苦戦を強いられ、その結果売れずに竣工後1年以上の在庫住戸が多いのが現状です。
更に、不動産業界は益々資本主義の原点である「 弱肉強食 」的傾向が強くなり「 超大手、大手ディベロッパーの寡占化 」がどんどん進み、その結果、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーが超大手ディベロッパーに吸収合併されております。
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーが、これらの会社と独立独歩で対峙し勝負するには是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」にはトコトン「 こだわり 」や「 誠意 」を持って商品を作る事がとても大切だと思います。
また、その様な分譲マンションを供給しなければ生き残れないでしょう。その様な社風にすれば顧客が売主の「 こだわり 」や「 誠意 」を敏感に感じとり購入意欲が湧きます。
そして入居後も満足いく、クレームの起きない良い商品を作る事で知名度も上がります。
例えクレームが起きましても迅速に誠実に対応すれば「 雨降って地固まる 」で誠意や信用度が回復できます。
誠意が感じられ入居後もクレームの起きない良い商品を作り続ける事に依って潜在顧客の信頼を勝ち取り、その結果、不動産業界や一般社会に於いて良い評判を立てる事ができ、生き残る道です。
これらの事を継続されていれば、自ずと会社の信用度が高まり「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )に結びつき「 超大手、大手ディベの寡占化 」に楔( くさび )が打てます。
準大手ディベや中堅ディベが、 超大手、大手ディベに対峙し対等に勝負できる良い会社になると私は確信しています。
そして、それを継続し、今回御説明致します『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』を新規分譲マンションの商品企画時点で住戸プランに反映されれば、魅力的で同業他社物件と差別化された良い商品になります。
この様な商品を作り続けていけば、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは不動産業界だけでなく、一般の社会に於いて会社名や「 ブランド 」名の知名度も上がり販売におおいに寄与すると確信致しております。
ですので、今回の私のコラム78号『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』を参考に「 モノづくり 」を継続する事に依って不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様か又はそれ以上に世間は評価致します。それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる唯一の道だと私は確信しております。
「 継続は力なり 」です。そして常に事業主の会社は、いつも申し上げていますが「 誠実に勝る近道無し 」を心がけて戴きたいものです。
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第12項目であります『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』の内容は分譲マンショの商品企画・基本計画段階で取り入れてくだされば、住戸プランの良し悪しに関しての判断基準となると信じております。
特に今回の内容はソフト面ですが、売主の評価に多いにつながる事ですのでとても大切な事柄なのです。
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました新規分譲戸建や新規分譲マンション等の設計業務、工事監理業務や設計監修の経験に基づいた大変貴重なお話なのです。
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々はこれから進める、分譲マンションの商品企画・基本計画時点に於いて、今回のコラム78号の内容を良く理解して新規分譲マンションに取り入れて下さい。
特に、このコラム内容は分譲マンションの購入者( 入居者 )の奥様( 女性 )が購入を決定する衝動につながるお話しです。
ほとんどの分譲マンションや分譲戸建の売れ行きは設計者の作成した住戸プランが主婦層に衝動買いを起こさせるか否かに比例致します。
そして、これも常に申し上げていますが、建売戸建や分譲マンションの計画時点で実行して戴きたい事が有ります。私が今までの設計業務や設計監修業務の経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、絶対に『 製販一体 』の体制で商品企画を行う事です。
建売戸建や分譲マンション等の商品企画会議では製造部門と販売部門が一体になって戴きたい事です。その理由は販売部門が顧客の生の声を商品企画会議で発言し製造部門に伝え、その内容が良ければどんどん商品企画や商品内容等に反映できるからなのです。
更に、今回の『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』の良さが具体的に販売部隊の方々も良く理解できますので、顧客に対して自信を持って住戸プランの良さを説明できるからなのです。
前置きがいつも長くて申し訳ございません。さて、今回は住戸プランに於いて主婦層への配慮に関する『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』をこれから具体的に御説明致します。
ほとんどの新規分譲マンション( タワーマンションは除く )の住戸プランは「 田の字型プラン 」で「 縦長LD型プラン 」か「 横長LD型プラン 」です。
約30年前より、分譲マンションの事業主( 売主 )は、この「 田の字型プラン 」の「 縦長LD型プラン 」か「 横長LD型プラン 」で工夫も何も行っていないのが実情です。その方が建築費も安く事業効率が良いからなのです。
手前味噌になりますが、私は売主より「 田の字型プラン 」住戸を並べた分譲マンションの設計を依頼されたとしても常に「 一味違う 」住戸プランを作成し、購入者の共感を得て竣工完売させてきました。
上記の「 一味違う 」の一例が今回コラムタイトルの『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』なのです。
では早速『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』の御説明を具体的に致します。
「 田の字型プラン 」の「 縦長LD型プラン 」や「 横長LD型プラン 」のキッチンは通常LD( リビング・ダイニング )からの出入りで一方向動線だけです。
この一方向動線だけですと、家事を行う主婦は料理や食器洗いをした後や、或は最中に他の家事を行うのが、とても面倒なのです。
例えば洗濯物を洗ったり、干したりする時にイチイチLDの扉を開けて住戸内の廊下に行き洗面脱衣室の扉を開けなければなりません。
主婦の動きを良くみていると分かります。
主婦が1日の中で起きている時に一番長く居る所はキッチンです。
このキッチンからダイレクトに洗面脱衣室に行ければかなり楽なのです。
ですので、キッチンの裏に洗面脱衣室を設置し、行き来可能な扉を付ければ家事の負担が少なくなるのです。
これで、キッチンへの動線が増えLDのみでは無く洗面脱衣室への動線が付加されたのです。
尚、このメリットをもう一つ申し上げればLDに客が居ても主婦の方は遠慮せずに洗面脱衣室を抜けてトイレに行く事もできるのです。
更に申し上げれば「 田の字型プラン 」の「 横長LD型プラン 」の場合は、キッチンの位置を戸境壁及びバルコニー側に配置しバルコニーへの出入可能なサッシュ型扉を設置し、そのキッチンの脇に洗面脱衣室をも配置致しますと万全です。
この様にする事で、キッチンの後片付けをされた後に、洗面脱衣室に置いてあります洗濯機より洗濯された衣類を直ぐにバルコニーの物干し竿に持って行く事ができ、天日で乾燥させる事が可能なのです。
この場合はキッチンへの動線がLD、洗面脱衣室のみでなくバルコニーへの動線も付加されて主婦の方の支持をおおいに獲得致します。
「 田の字型プラン 」の「 縦長LD型プラン 」や「 横長LD型プラン 」に於いて、この様なところにも配慮が行き届いている事を瞬時に主婦層は察知致します。
それでこそ売主の配慮が行き届いているな…と信用されるのです。
この様なちょっとした事こそが同業他社との競合に於いて、勝ち抜ける顧客への配慮なのです。
今回のコラムでは『 キッチン動線は多い方が使い易い。 』の御説明を致しましたが、この事も前回と同様に分譲マンションを作る上でとても重要で大切な事ですので、是非共実行して戴きたいと存じます。
超大手や大手ディベロッパーだけが一流とは限らないと常に私は言っております。
超大手や大手ディベロッパーに於いても、ファミリーマンションでは約30年この方、相変わらず「 田の字型プラン 」の「 縦長LD型プラン 」や「 横長LD型プラン 」に何も手を加えずに分譲している会社が数多く有ります。
私の建築的価値観では一流と評価できますのは数社しか有りません。ほとんどが三流なのです。
一流のディベロッパーは購入者( 入居者 )への配慮が行き届いたマンションを供給しています。
何度も申し上げています様に、不動産の分譲事業で一番大切なのは売主の信用と顧客に対する配慮です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベロッパーの寡占化 」に対抗し勝つ為には顧客への気遣い及び将来クレームが生じないマンションを作り続ける事なのです。
ですので、毎回何度も注意を促していますが、商品内容の質やクレーム等で信用を落とすのは一瞬ですが、再度信用を築くには最低10年はかかります。この事もよく肝に銘じて下さい。
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第13項目である『 キッチンの流し台の良し悪し。(I型、L字型、コの字型) 』に関してのお話を致します。
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。
以上。
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