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製造業

第275号 モノづくりの体制を、野球型からバレーボール型に変えよ

柿内幸夫─社長のための現場改善

 今回も私の著書「改善の急所101項」から1項を紹介し、実例を挙げて解説します。  

【急所87】モノづくりの体制を、野球型からバレーボール型に変えよ。(200頁)
 
 これから私たちが仕事のレベルを上げていくための手段として、チームワークを更に良くすることも大切です。そこで今回は、私たちが目指すべきチームワークについて考えてみたいと思います。
 
 私たちの仕事をよく見てみると、自分一人ですべてを完結できることはほとんどありません。モノを売るということを考えても、先ずは営業が注文を取り、設計が図面を引き、調達が部品や材料を仕入れ、技術が工程を組み、製造が生産し、品質管理が品質保証をして、最後に物流が運搬するというような手分けをして全体の仕事が成立していることが多いでしょう。
 
 そう考えると、お互いがそれぞれ勝手に自分の仕事だけをやって、あとは知らんぷりというのでなく、お互いが助け合うチームワークのレベルが高ければ、それだけ仕事の質が上がることは間違いありませんし、私たちはチームという言葉をしばしば使います。
 
 ところが、私が講師を務めたある講演会で、受講していた方から「仕事でのチームワークというのはスポーツでいうと何のスポーツのチームワークにあたるとお考えですか?」という質問を受けました。実は、その時私はそこまで深く考えておらず、思わず反射的に「例えば野球ですかね」とお答えしたのですが、その後で、本当に野球は正しい答えであったのかと気になり考えてみました。
 
 改めて考えてみると、野球というゲームの構造は意外と助け合いがありません。ポジションはそれぞれの専門家ですし、打順もすべて前もって決まっていて、むしろアメリカの仕事のやり方に近いと思ったのです。
 
 アメリカでは、分担された仕事に対してそれぞれ専門的に人が雇用され、もしある人が退社した時は、その人がやっていた仕事をする人が新たに雇われる仕組みです。すべてではありませんが、職能別に組合組織ができています。
 
 一方、日本では、そこまで厳格に人に仕事が割り振られておらず、ある部門がピンチの場合は助け合いのような形で応援体制を組むことがあります。多能工化などは、その例でもあると思います。組合も企業別に組織されていることが多いです。
 
 そこで、サッカーかなとも考えましたが、会社の仕事はサッカーほど敵味方が直接にぶつかり合うという感じではないなあと思いました。
 
 そのように考え続けていた結果、私は「バレーボール」だという結論を出しました。
 
 バレーボールはネットを介しての闘いなので、直接に体はぶつからないけれど、相手からは常に厳しい攻撃が仕掛けられます。そしてその状況を全員が把握しながら、その時々に必要な対策を取る。全員がローテーションでポジションを変えるので、守備も攻撃も全員が練習をする。情報の共有化と助け合いという意味では、私たち日本の企業における、仕事でのチームワークはバレーボール型がいいのではないかと思います。
 
 製造の現場における多能工化は言うまでもなく、営業、設計、技術、調達、製造、管理といった会社機能がそれぞれ独立ではなく、情報の共有化が行われ、お互いが助け合う状況を作りましょう。
 
 労働生産性は現場改善はもちろんですが、設計が部品点数を減らしたり、生産技術が簡易自働化を進めたりと、みんなが一緒にやることで飛躍的に向上します。リードタイムも営業部門と製造部門の情報の共有化で短縮します。
 
 今年は忙しい年となりそうです。会社におけるチームワークをレベルアップして大きな飛躍をいたしましょう。
 
 

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copyright ゆきち先生 http://yukichisensei.com/

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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