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人事・労務

第45話 2013年の春季労使交渉

「賃金の誤解」

2013年の春季労使交渉は安倍政権の目指す2%のインフレターゲット、予想を超える速さで進む円安、株高で景気回復も期待できそうだ。不安定要因はあるものの、そんな好循環も描けるような今年、わが社の給与改定はどうすべきか、他社はどうするのか。例年以上に春闘に注目している経営者は多いのではないでしょうか。
先ずは2013年春季労使交渉(春季賃金闘争)における労使の主張を検証してみたいと思います。
 
●連合:2013年春闘に挑む労組の姿勢
2013年春季生活闘争の展開については、「傷んだ雇用・労働条件」の復元をはかっていくために、「労働条件の底上げ・底支えと復元」 「すべての労働者の処遇改善、高付加価値を生み出す人財の育成・処遇」「格差是正」を通じて、すべての労働組合は賃上げ・労働条件の改善のために1%を目安に配分を求める取り組みを進める。
 
すべての組合が取り組むべき課題(ミニマム運動課題)
 (1) 賃金制度の確立・整備をはかる
 (2) 賃金カーブ維持分の明示・確保
 (3) 非正規労働者を含むすべての労働者の処遇改善
 (4) 企業内最低賃金協定の締結拡大と水準の引き上げ
 (5) 産業実態を踏まえた総実労働時間の縮減、時間外、
   休日労働の割増率引き上げを主張。
 
●日本経団連:春季労使交渉に臨む経営側のスタンス
労使は自社の置かれている状況を正しく認識し、共有することが求められている。今次交渉・協議では、企業の存続と従業員の雇用維持・安定を最優先する議論が中心となる。賃金をはじめ労働条件は、「個別企業労使」が経営実態を踏まえて協議し、総額人件費を適切に管理する視点に立ち、自社の支払い能力に即した決定が必要である。
 (1)賃金水準を引き上げるベースアップを実施する余地はない
 (2)定期昇給の実施時期の延期や凍結について協議せざるを得ない
   場合もあり得る
 (3)一時的な業績変動は賞与・一時金に反映
 
非正規労働者の処遇については、雇用の多様化、個別実態に応じて考えるべきであり、非正規労働者の賃上げを特に議論することはできない。 と主張しています。
 
●ちなみに東京都産業労働局集計による2012年の企業規模別・昇給とベースアップ実施状況調査結果(2012年7月最終集計)では
 299人 以下 :5,582円 1.83%アップ
 300~999人 :4,991円 1.73%アップ
 1,000人 以上 :5,288円 1.70%アップでした。
 
●今春闘では連合は「働くことを軸とする安心社会」の実現、「痛んだ雇用・労働条件」の修復をはかっていくために、1%引き上げを掲げました。 日本経団連は「個別企業労使」が経営実態をふまえて協議し、「自社の支払能力」に即して決めるとしたうえで、実態に合わなくなった人事・賃金制度については合理的な範囲内での見直しもありうるとし、
 (1)若年者については育成・習熟期間でもあることから安定的に昇給させる
 (2)育成期間を経て能力発揮や成果の創出が期待される層については、
   個々人の仕事・役割・貢献度、職務・職責に応じて昇給の有無や
   昇給額を決定する仕組みの必要性を主張しています。
 
●連合が交渉の軸足を「賃金カーブ維持」としている事もあり、2013年度の給与改定は、ほとんどの企業が給与規程で定められている定期昇給のみを実施することとなります。
 (1)業績良好な会社はベアと同時に賞与原資の増額を検討してください。
 (2)業績が良好とは言えない会社であっても時間外勤務や休日勤務の
   削減等を徹底し、ルール通りの定期昇給は実施してください。
 (3)先行き不透明、業績の回復は考えられない場合であっても、
   定期昇給は実施した上で 「加給の変更(ルールに定められた範囲の
   ベースダウン)」 「管理職手当等の諸手当の変更」が考えられます。
 
大企業であれ、中小企業であれ、定期昇給を放棄することは、給料分という言葉どおり、会社は今年から大切な社員に対して、クビにならずにすむ程度の成果しか期待しないと宣言するに等しい行為であり、仕事力の伸びに相応しい昇給だけは実施しなければなりません。
なぜなら、仕事のできる社員ほど、この会社が仕事力を永く提供するに値する企業かどうか、厳しい目で見極めようといるからです。

 

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