■池田朋弘(いけだともひろ)氏 株式会社Workstyle Evolution 代表取締役CEO
企業の生産性を上げビジネスを加速させるChatGPTや生成AI活用の導入を支援するプロ。大手から中堅・中小企業まで支援し、500時間の業務時間を削減できた、3ケ月で毎月50時間の工数を削減できた、BtoB営業の効率化がはかれた、業務フローを改善できた、新事業が立上げられたと好評を得る。
早稲田大学卒業後、株式会社ビービットに入社。独立後は、ネット調査サービス会社とクラウドソーシング会社を起業。その後、株式会社メンバーズに会社を売却し、同社の執行役員に就任。同時に、AI活用の支援会社などを立上げ、連続起業家として8社を創業。ネット事業で身につけた巧みなスキルをもとに生成AIやChatGPTを活用し企業の導入支援に邁進する。AI・リモート時代の最新情報を紹介するYouTubeチャンネル『リモートワーク研究所』の登録者数は10万人を突破。主な著書に『ChatGPT最強の仕事術』がある。
※本コラムは池田朋弘氏「ChatGPT&生成AI活用術」発刊にあたりインタビューを編集したものです。
生成AIを経営にどう活かすのか
Q:生成AIについて、多くの経営者が注目していますが、まずその基本的な概念についてお聞かせください。
池田講師:
生成AI、つまり生成型人工知能は、大量のデータを学習し、その知識を基に新しいコンテンツを生成する革新的な技術です。従来のAIと異なり、プログラミングの知識がなくても、日本語や英語などの自然言語で指示を出すだけで様々な作業をこなすことができます。この特徴により、多くの企業にとって即座に実用化しやすいツールとなっています。
Q:具体的にどのような用途や活用方法があるのでしょうか?
池田講師:
最大の違いは、生成AIが「新しいコンテンツを生成する」能力を持っている点です。従来の検索エンジンは既存の情報を検索して提供するだけですが、生成AIはユーザーの指示に基づいて新たな内容を作り出します。
例えば、経営戦略について知りたい場合、検索エンジンでは過去に誰かが書いた一般的な経営戦略論を見つけることはできますが、自社の状況に即した具体的な戦略は提供できません。一方、生成AIでは自社の状況を入力することで、一般論ではなく、自社に適した経営戦略案を作成・提案することができるのです。
Q:生成AIの導入により、具体的にどの程度の業務効率化が期待できますか?
池田講師:
BCGの調査によると、グローバルでは生成AIを業務で利用している人の約6割が「週に少なくとも5時間」の業務時間削減を実現しています。
日本国内でも、例えばGMOグループでは生成AIの導入により、平均で1人1日80分の業務圧縮を達成し、グループ全体で月間13万時間以上の工数削減に成功しています。このように、生成AIは業務の自動化や効率化を通じて、大幅な時間短縮をもたらす可能性があります。
Q:企業での活用にあたって、注意すべき点はありますか?
池田講師:
最も重要な注意点は、情報セキュリティです。企業の機密情報や重要データを扱う際には、セキュリティが確保された環境で使用することが不可欠です。また、生成AIの出力結果を過信せず、人間による適切なチェックを行うことも重要です。AIはあくまでツールであり、最終的な判断は人間が行う必要があります。
Q:生成AIの活用を始めるにあたり、どのようなステップを踏むべきでしょうか?
池田講師:
まず、経営者自身が率先して生成AIを使用することが重要です。次に、社内で生成AIを試しやすい環境とガイドラインを整備しましょう。その上で、従業員に対して生成AIに関するリスキリングを行い、適切な使用方法や注意点についての理解を深めることが必要です。
これらの準備を整えた後、「一人ひとりが生成AIを日常的に使用する」というサイクルと、「特定の業務プロセスに生成AIを組み込む」というサイクルを並行して回していくことが効果的です。
Q:最後に生成AI活用に興味を持つ経営者へのメッセージをお願いします。
池田講師:
日本は人口減少と高齢化という大きな課題に直面しており、人手不足の問題は待ったなしの状況です。また、働き方改革の進展により、これまでのような根性論だけでは通用しない時代になっています。
生成AIは、これらの課題に対する強力なソリューションとなり得ます。人間でなくてもよい仕事を効率化することで、一人一人の生産性を高め、より人間らしい、創造的な仕事に注力できる環境を作り出すことができます。
ぜひ、この機会に生成AIの可能性を真剣に考え、実際に試してみてください。そして、自社の業務プロセスや戦略に組み込んでいくことを検討してください。生成AIは、企業の競争力を高め、持続可能な成長を実現するための重要なツールとなるはずです。