★デジタルデトックス宿泊――スマホを預けることが「最高の贅沢」
ホテルに到着したら、まずフロントにスマホを預ける。そんな宿泊プランが「最高の贅沢」として人気を集めています。
星野リゾートが全国展開する「星のや」では、軽井沢、京都、竹富島、富士、東京の5施設で、「脱デジタル滞在」を通年で楽しめるプランが用意されているほか、星のや沖縄でも「脱デジタル滞在・沖縄 ~琉球の美~」といったプログラムが提供されています。
いずれも、その土地ならではの自然や地域文化を味わうことができ、無心になれる手仕事やアクティビティを通じて「スマホを置いた時間」を無理なく過ごすことができます。
引用:PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000111.000033064.html(星のや沖縄)
引用:PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000111.000033064.html(星のや沖縄)
草津温泉の「Hotel KURBIO(ホテルクアビオ)」では、デジタル機器の封印と開封の立ち合いサービスまで用意されており、本気で心身をリセットしたい人のための環境が整えられています。
これらのプランに共通しているのは、「自分の意志でスマホを手放すのは難しい。だからこそ、ホテルが”預かります”というルールを用意してくれること自体が、ありがたいサービスになっている」ということです。
★「便利さ」の裏に隠れた本当の欲求とは?
ここまで見てきた事例に共通する、消費者の隠れたホンネ(インサイト)を整理してみましょう。
世の中の常識として、私たちは「みんな、情報を効率よく集められ、常にスマホで誰かと繋がっている『便利さ』が一番いいと思っている」と考えがちです。
しかし、本当のところは違うのではないでしょうか。
実は、「AIによる執拗な『おすすめ』によって溢れる情報に追いかけ回されることや、SNSを通じて常に『他人の情報』に繋がり続けることに疲れ果てており、だからこそ、誰にも邪魔されずに『ひとつのことだけに没入する言い訳』、つまり強制的に情報を遮断してくれる環境を求めている」というのが、彼女たちの隠れたホンネ(インサイト)なのです。
現代人にとって、自分の強い意志だけでスマホを置き、情報を完全に遮断するのは至難の業です。ついつい画面を見てしまいますよね。だからこそ、彼女たちはあえて「塗り絵」のような手作業に没頭したり、「スマホ持ち込み禁止」「私語厳禁」といった「強制的に情報を遮断してくれる不便な環境」を、お金を払ってでも買っているのです。
★終わりに:売れる商品を創るためのポイント
今回のインサイトを使って、売れる商品やサービスを創るためのポイントは2つです。
①:「便利さ・効率」の競争から降りて、「没入できる時間・空間」を売る。
なんでも時短・便利にするのではなく、あえて「スマホを置いて無心になれる体験」を提供することが、新しい付加価値になります。少し手間のかかる手作りのキットや、日常から完全に切り離された空間、ひとつの作業だけに集中できる時間など、「不便だけれど没入できるもの」にこそ、情報疲れした生活者は惹かれています。
②:「休むための言い訳(ルール)」を用意してあげる。
自分の意思ではスマホを手放せません。「ここではスマホを見なくていいですよ」「日常のことは忘れてください」といったコンセプトや、あえて「○○禁止」という優しいルールを明確に打ち出してあげること。そうすることで、情報疲れした生活者にとっての「駆け込み寺」のような存在になり、熱烈なファンを作ることができます。
新しい時代のターゲットのインサイト(人を動かす隠れたホンネ)を抽出し、それに応えられる商品をつくれると、ヒットを生み出せます。ぜひ、この最新のインサイトを活かしてみてください!

阿佐見綾香(あさみあやか)
株式会社電通 第4マーケティング局マーケティング・コンサルタント
埼玉県さいたま市浦和出身。早稲田大学卒業後、2009年、株式会社電通に入社。以来、数多くの企業のマーケティング、経営戦略、事業・商品開発、リサーチ、企画プランニングに従事。担当した業種は化粧品・アパレル・家庭用品・食品・飲料・自動車・家電など。大手企業だけでなく、ベンチャー・中小企業も担当するなど、幅広い業種・規模の企業を手掛ける。著書に、累計3.2万部越えのベストセラーとなった『電通現役戦略プランナーの ヒットをつくる「調べ方」の教科書 あなたの商品がもっと売れるマーケティングリサーチ術』(PHP研究所)、共著に、累計2.1万部となった『センスの良い考えには、「型」がある 感覚を言語化するインサイト思考』(サンマーク出版) がある。
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