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ビジネス見聞録

「展示会の見せ方・次の見どころ」(2026年4月)

ビジネス見聞録 経営ニュース

展示会はオワコンではない!時代の羅針盤だ!

 展示会営業Ⓡコンサルタントの清永健一です。

 今回のコラムでは、「問題解決型ブース」についてお伝えする予定だったのですが、変更します。というのも、最近、X(旧ツイッター)を中心に、このような声をよく耳にするからです。

「展示会ってもうオワコンだよね」

「この前出展した、AIDXの展示会では来場者がすごく少なかった」

「オンラインで十分じゃないかな」
「わざわざ足を運ぶ時代ではないですよね?」

 展示会は「終わったコンテンツ」、オワコンだと言うのです。

 ぼくは展示会営業の専門家として、1,300社以上の企業を支援してきました。だからこそ、こうした意見を聞くたびに、正直もどかしさを感じてしまうのです。

 そこで今回のコラムでは、ぼくが長年展示会の現場を歩き続けてきた経験から、展示会が持つ「本当の価値」についてお伝えしていきます。経営者の方をはじめすべてのビジネスパーソンのお役に立つ内容だと思います。お時間をつくってぜひお読みください。

展示会は「時代の羅針盤」だ

 ちょっと思い出してみてください。

 「ブロックチェーン」という言葉が世の中に広まり始めたのは、いつでしょうか?2017年ごろでしたね。仮想通貨バブルとともに、ビジネスパーソンの間でも「ブロックチェーンで何かできないか」という機運が高まっていったのです。

 では、展示会:ブロックチェーンEXPOが初開催されたのはいつでしょうか?2020年です。話題になってから、およそ3年後でした。

 次に「推し活」という概念を見てみましょう。アイドルやアニメのキャラクターを熱狂的に応援するカルチャーとして、「推し活」という言葉が広く認知され始めたのは2020年ごろです。それが徐々に社会現象として定着し、経済規模が語られるようになっていきました。そして、2024年に「推し活EXPO」が初めて開催されました。話題になってから4年後です。

 ブロックチェーンEXPO3年後、推し活EXPO4年後、これは偶然ではありません。

 展示会というのは、新しい産業や概念が「インディーズ」から「メジャーデビュー」を果たしたタイミングで生まれます。

 一部の熱狂的な人たちの間で語られている段階を経て、ビジネスとして成立し、企業が本気で投資を始めるフェーズに入ったとき、はじめて展示会という形になるのです。

 つまり、展示会は「その産業・概念が社会に本格的に根付いた証明書」なのです。

「展示会が生まれる」という事実そのものが、その領域が経済的に意味を持ちはじめたことを示しています。

 逆に言えば、展示会のラインナップを見れば、「今、社会がどの産業を本気で望んでいるのか?」が手に取るようにわかるのです。

 最近、AIDXの展示会が一気に増えましたね。脱炭素・GX関連の展示会も増えています。介護・ヘルスケア関連の展示会も増加しました。

 これらを見るだけでも、日本社会が今どの方向に進もうとしているのかが見えてくるのです。

 少し脱線します。AIDX系の展示会は、むしろ増えすぎていることが問題です。展示会の開催数が増えた結果、1展示会あたりの来場者数が減少傾向にあります。

 実はこれが、「展示会はオワコンだ!来場者が少なくなってきた。」とX等で言われている真相だと僕は考えています。

 AIDX、そしてその活用を促すバックオフィスやマーケティング系の展示会は、ここ数年で新規開催が相次ぎ、供給過多の状態です。出展社側の出展意欲はいまだ旺盛ですが、来場者からすると「先週も似たような展示会に行ったし、今週のAI展はもういいや」と、だんだん足が遠のいていく。

 つまり、来場者が減っているのはAIDX・バックオフィス・マーケティング関連の展示会に限った話なのです。(もちろん、そんな中でもこの分野で素晴らしい価値を提供している展示会もあります。)

 さらに、この分野の出展社はSNS活用度が高い傾向があります。そのため情報発信力が強く、「展示会オワコン説」がX等で広まりやすかった、というのが実態ではないでしょうか。

 

マクロだけではない。ミクロでも展示会は世相を映す

 ここまでお伝えしてきたのは、いわばマクロな視点です。産業や概念が社会に定着するタイミングという、大きな流れの話でした。

 実は、展示会が時代を映すのは、マクロだけではありません。

 ミクロ、つまり個々のブースや出展内容を見ても、展示会は驚くほど正直に「今」を教えてくれるのです。

 たとえば、食品系の展示会に足を運ぶと、ここ数年で明らかに増えているブースがあります。「日本茶の海外向け輸出」を提案するブースです。

 緑茶、ほうじ茶、抹茶。
 それらを海外バイヤーにアピールする出展社さんのブースが会場のあちこちにあります。以前はちらほら見かける程度でしたが、今では複数社がひしめき合っている状況です。

 これは何を意味しているのでしょうか。

 日本茶が海外で本格的に売れているということです。健康志向の高まりや日本食ブームを背景に、欧米やアジアのバイヤーがこれまで以上に本気で日本茶を求めているのです。だからこそ、出展社が増えているのです。

 展示会の出展社は「市場の嗅覚」を持っています。彼らは実体験とリサーチをもとに「これは売れる」と判断し、コストをかけ、人を動かして展示会に出展しています。つまり、彼らのブースは「根拠のある賭け」なのです。

 複数社が同じ方向に賭けているということは、その市場が確実に動いている証拠です。

 もうひとつ、興味深い例をご紹介します。

 エネルギー系の展示会に行くと、最近では「ケーブル盗難防止」の商材を扱うブースが増えています。複数の企業が出展しているのです。

「ケーブル盗難?なんだそれは・・・」と感じる方もいるかもしれません。

 実は、金属価格の高騰を背景に、電線ケーブルの盗難が社会問題になっています。太陽光発電所や変電設備のケーブルが盗まれる事件が増加し、インフラへの影響も出始めているのです。だからこそ、それを防ぐ商材を持つ企業が展示会に集まってきているのです。

 ニュースで報じられるよりもリアルに生々しく、展示会の現場は世相を映しています。

 展示会は「社会の体温計」なのです。

 世の中のどこかで熱が上がると、その変化が展示会の現場に現れます。ブースの数、出展社の熱量、来場者の関心、バイヤーのチェックポイント。それらすべてが、リアルタイムの市場情報を伝えているのです。

 

展示会は一次情報の宝庫

 展示会に行くと、空気が変わる瞬間があります。
「あ、この分野は今、本当に動いている」と体感する瞬間があるのです。

 それはデータや記事からは得られない情報です。

 複数の出展社が同じキーワードで訴求しているとき、それは「市場が形成されつつある」というサインです。来場者が特定のブースに長蛇の列をつくっているとき、それは「ニーズが顕在化している」というサインです。逆に、閑散としているブースがある場合、それは「まだ市場に刺さっていない」という現実を示しています。

 展示会は、生きた市場調査の場なのです。

 AIのディープリサーチ機能はすごいです。WEB上のあらゆる情報を横断的に調べ上げてくれます。でも、どんなに優れたAIでも、展示会の現場で感じる「熱量」や「空気感」を完全に再現することはできません。

 展示会に出展するだけでなく、展示会を「見に行く」という習慣を持つことを強くお勧めします。

 自社業界の展示会はもちろん、あえて異業種の展示会にも足を運んでみてください。

 食品、エネルギー、医療、介護、建設などなど。さまざまな展示会の中に、自社ビジネスのヒントが眠っていることが多いのです。

 異業種のトレンドが、自社のビジネスに応用できる技術やアイデアをもたらすことも少なくありません。

 そして何より、「今、世の中のどこに熱があるのか」を肌で感じることができます。

 それは経営者として、ビジネスパーソンとして非常に価値の高い情報なのです。

 

展示会はオワコンではない。むしろ今こそ価値がある

 情報があふれる時代だからこそ、本物の「現場情報」の価値は高まっています。

 AIが情報を要約し、SNSがトレンドを可視化する時代において、「自分の目で見て、足で得た情報」はますます希少になっているのです。

 展示会は、その最良の供給源です。

 ブロックチェーンEXPOが生まれたとき、そこには「この技術は本物だ」と信じた企業が集まっていました。推し活EXPOが生まれたとき、そこには「この市場に本気で参入する」と決めた企業が集まっていたのです。

 今この瞬間も、どこかの展示会で、次の時代の主役となる産業が産声を上げています。

 それを見逃すのは、あまりにももったいないことです。

 展示会はオワコンではありません。展示会に足を運ばない人が、時代に乗り遅れてしまうだけなのです。

 ぼくはそう確信しています。

◎2026年4月中旬から5月のおすすめ展示会

※展示会・イベントの日程は変更することがあります。公式サイトから確認をお願いします。

清永 健一(きよなが けんいち)
株式会社展示会営業マーケティング 代表取締役
展示会営業Ⓡコンサルタント。中小企業診断士。奈良生まれ、東京在住。神戸大学経営学部卒業後、メガバンク系コンサルティング会社など複数の企業で手腕を発揮し、2015年に独立、株式会社展示会営業マーケティングを創業する。「展示会は売上アップへの投資効率に最も優れた手法」と主唱。支援先企業からは、集客・受注・売上が大幅に増加したと好評の声が多数あがる。著書の「飛び込みなしで新規顧客がドンドン押し寄せる展示会営業術」「中小企業のDX営業マニュアル~オンライン展示会をきっかけとした営業改革術」(ともにごま書房新社)、「仕事のゲーム化でやる気モードに変える」、「営業のゲーム化で業績を上げる」(ともに実務教育出版)はいずれもamazon部門1位を獲得。行政、公益法人、金融機関、各地の商工会議所など講演実績多数。 ホームページ:https://tenjikaieigyo.com/

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