「会計ソフトをインボイス対応版にバージョンアップしました」という連絡が、企業の経理担当者から届きます。
複数税率やインボイス制度で消費税の計算がますます煩雑化する中、企業の経理部門にとって、会計ソフトのインボイス対応版へのバージョンアップは必須といえます。
会計ソフトなしでミスなく効率よく経理処理することは不可能だからです。
市販の会計ソフトは適正にインボイス対応ができるように改定されていますが、会計ソフトによって処理形態に違いがあったり、 機能レベルに差があったりします。
また、ユーザ側で処理方式を選択する部分もあるので、新しいバージョンを使用する前に準備が必要です。
そこで今回は、会計ソフトのインボイス対応版更新時に確認すべき3つのことについて、説明します。
御社の会計ソフトはインボイス対応版になっていますか?
仕入税額控除の経過措置対応
インボイス制度によって、インボイス発行事業者以外(免税事業者)からの商品やサービスの取得については、消費税の仕入税額控除ができなくなります。
ただし、免税事業者からの仕入税額控除については経過措置があり、当初3年間は80%控除、その後3年間は50%控除、6年経過後は控除なしとなります。
そのため、経理担当者は請求書や領収書を見て、インボイス登録番号と取引日を確認したうえで、次のような2つのパターンに分けて消費税の処理をしなければならなくなるのです。
・インボイス発行事業者の場合、通常通り課税仕入れとして会計処理
・免税事業者の場合、取引日を確認し控除割合を識別し会計処理
このようにインボイス制度導入後は、書類を見て判断する作業が増えると同時に、会計ソフトの入力作業が複雑になるため、判断ミスや入力操作ミスが発生することが想定されます。
インボイス制度による経理ミスを防止するために、会計ソフトではシステム的に取引日によって控除割合を自動判定し処理する機能が追加されています。
会計ソフトによって、インボイスの自動判定や自動処理の機能が異なりますので、自社の会計ソフトをインボイス対応版にバージョンアップしたら、免税事業者との取引の操作方法を確認し、経理部内でミスのない処理方式を設定しておきましょう。
免税事業者との取引の消費税額は少額かもしれませんが、積もり積もると大きくなりますので、インボイス制度導入後の消費税の計算でミスが発生しないように対策してください。
経理社員は会計ソフトのインボイス対応版の操作方法を理解していますか?