低消費電力で高輝度を特徴とするLED(発光ダイオード)。信号機や照明の光源として普及が加速しています。そんなLEDを利用して映像を表示するのが「LEDビジョン」などと呼ばれる装置。近年は日本でも、人通りが多い場所を中心に、デジタルサイネージとして目にする機会が多くなりました。日中の屋外でも明るく色鮮やかな映像は、広告媒体として有用なのは間違いないでしょう。一方で、眩しく不快に感じるケースも少なくありません。今回は、デジタルサイネージの普及が急速に進む韓国で感じたこと、また、映像の専門家の視点から、折角の広告がマイナス効果にならないための施策を考えました。
■LEDサイネージの普及が著しい韓国
日本でも人通りの多い場所では、LEDサイネージを見かける機会が増えました。ビルの壁面や屋上などの空きスペースを広告に利用するのは合理的と言えます。しかしソウルの繁華街など、韓国でも賑やかな地域を訪れると、その数の多さと面積の広さに驚きます。屋外では一つのサイネージの面積が広く、建物の外壁の大半を占めるようなケースがあります。また、屋内では、建物の柱という柱がサイネージ化していることも珍しくありません。これらは夜間のみならず日中も眩しく感じるケースがあり、「光害」として不快に感じる方は少なくないでしょう。
写真で事例をご紹介しましょう。
【写真】ソウルでも人気の繫華街「COEXモール」(江南)の南東角にある巨大LEDサイネージ。長方体の側面2面を用い、3D風に見える映像表現が世界的な話題に。屋外で直射日光を受けても鮮明なカラー映像を表示できる能力を備えています。韓国がLEDデジタルサイネージ先進国と感じる象徴的な例と言えます。
【写真】
「COEXモール」での別例。柱を取り囲む4面がLEDサイネージに。地下鉄の主要駅構内でも、同様のサイネージを見かけることが多くあります。夜間や屋内では画柄によって眩しく、周囲まで明るく照らし出して昼間のように感じることもしばしば。
【写真】
金浦空港内の例。壁全体がLEDサイネージで覆われ、2面が繋がるように長く大面積。比較的暗い地下空間で輝度が高いため、直視するのは辛い状況でした。
■LEDサイネージの使いこなし
デジタルサイネージは、手間なく表示内容を変更できるため、広告媒体としては非常に合理的と言えます。LEDサイネージは旧来の液晶ディスプレイ利用に比べ、面積や形状の制約も少なく、今後益々の普及が見込まれます。一方で今回ご紹介した通り「光害」として捉えられると折角の広告がマイナス効果となりかねません。「使いこなし」が大切と言えます。
日本で設置されているLEDサイネージについては、ここ数年で、異様に眩しく感じる事例は減ったように感じます。多くは設置場所や時間帯など、周囲の明るさに応じて、表示輝度を調整しているようです。一方、不十分に感じることもまだまだあります。人間工学的に「適切な明るさ」を導き出して目安とすることはできますが、不快に感じるか否かは、映像のサイズ、映像と人の距離、映像の画柄や動きなども関わってくるので、なかなか複雑です。ハードウェアとしてのサイネージが輝度をきめ細やかに最適化できるように進化するのが望ましいですが、それが実現するまでに広告主ができることは、画柄の平均輝度調整(画面全体が白く明るい画柄は眩しく感じるので、設置場所に応じて調整)、シーンチェンジで急激な輝度変化を避ける(明滅のように見えると不快に感じる)、映像の動きを少なくする(視覚への負担を減らす)といったことが考えられます。広告は人目に留まるようにしたいですが、光は不快に感じることもありますので、バランスを心掛けたいものです。





























