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第43回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:スカンジナビア航空~

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

 
勝ち組と負け組が明確になる今、経営者の判断がブレると会社は、これから負け組に入ってしまうでしょう。しかし、経営者の判断が理念を軸に、ブレなければ、会社は、生き残り、勝ち残ることが可能です。
なぜなら、先行きの見えない日本で現場は、経営の判断が常にブレない会社なら、その会社を信頼して“ついていこう”と思い、顧客の声に耳を傾け始めるからです。
 
会社は、永続する必要があり、永続させるには儲からなければならず、そのためには、顧客の声を聴き、必要とされる会社になり、利益を生み出すことが不可欠です。
経営者は代わりますが、変わらぬ経営理念を軸にブレない経営を実践し、会社の風土を築けば、現場が一つとなり、顧客になくてはならない会社には何が必要か?探り当てることができるのです。
 
そこで42回連載を終わり、今回からは全3回で“期待を超える”をキーワードに会社が企業風土をどのように経営理念とリンクさせれば顧客を創造できるか?を、現場士気を向上することで売り上げをアップさせている会社を事例と共に解説いたします。
 
~現場のやる気は目標と成果で喚起する!!~
北欧3カ国の政府が出資する航空会社にスカンジナビア航空(SAS)があります。
実はこの会社、1970年代オイルショックが災いし、旅客も貨物もともに市場が沈滞。
その後、同社はビジネスマンに支持されている航空会社として認められながらも2年連続の赤字に陥ったのでした。
 
が、この危機をヤン・カールソンという経営者がV字回復させます。 
 
社長ヤン・カールソンが当時、実践したこととは何か?
 
<自社の顧客を定義し、現場に目標を明確に伝え、現場が自社の顧客から得れる成果を具体化する> でした。
 
・・スカンジナビア航空が掲げた目標と成果とは?・・
「頻繁に旅行するビジネスマンにとって世界最高の航空会社」という(成果=)評判を得ること
 
なぜならヤン・カールソンは同社が2年連続の赤字に陥った理由を?
以下のように診たからです。
 
「現場はこれまで築いた地位(ビジネスマンに支持されている)に安泰してしまい、“顧客(ビジネスマン)に何をすればよいのか?”という顧客目線の現場判断を怠るようになっていた。」
 
この確信(2年連続の赤字に陥った理由)を、ヤン・カールソンは、“真実の瞬間”というサービスをマネージメントする考え方に当てはめ、現場が今の瞬間に“何をすべきか?”をシンプルに説いて回り、その結果、同社の累積赤字2,000万ドルを1年で8,000万ドルの黒字に塗り替えたのでした。
 
 
~現場のやる気には管理者の再定義が不可欠!!~
●顧客の脳裏に刻まれるサービスは、マニュアルからは生まれない。
●顧客ひとりひとりの事情や感情を配慮し、相手の立場で問題解決できるのは現場の社員だけ
 
ヤン・カールソンは、この事実を
「“現場が目標を持ち、現場が成果を実感すれば“やる気”がでる!“には、15秒の間に最善の顧客サービスを「提案、決定、実行」できる、現場への大胆な権限移譲が不可欠である。と結論付け
 
管理職の職務を、現場社員の監督者ではなく現場社員の支援者として再定義(下記)管理職の職務を明確にしたのです。
 
<管理職の職務>
●指導
●動機づけ
●後方支援
●チームの目標設定と達成のための経営資源の調整
 
現場への権限移譲は、“真実の瞬間”という考え方(以下)の実践の追い風となり、現場が「頻繁に旅行するビジネスマンにとって世界最高の航空会社」という評判を得るための顧客視点に立ったサービス改善は、1年で147項目にも上る事例を生み出すに至りました。
 
●年1000万人の旅客が飛行機に乗り、平均5人の同社社員に、約15秒ずつ接する。つまり、この時間に、他の航空会社と異なるブランド体験を提供できれば、明確に差別化できる
 
●15秒こそが「真実の瞬間」であり、「今日、スカンジナビア航空を選んでよかった」と感じていただく絶好のチャンスである
 
 
~“真実の瞬間”を現場に浸透するには社長の率先垂範が必須!!~
ヤン・カールソンの企業風土改革は、本社の市場調査部門を解体して、地方レベルに分権するなど、頻繁に旅行するビジネスマンへのサービスに役立たない支出は極力削減することから始まり、社長自身の“真実の瞬間”の率先垂範を通して、全員が一丸となり実践していきました。
 
<“真実の瞬間”を経営に取り入れることとは?>
“顧客にとって重要なのは「彼らが受けるサービス体験」であり、飛行機自体が大切なわけではない。”
→設備本位から顧客本位へ
 
※当時同社は最新鋭機種だったエアバスを数機新規購入、収容人数の多い同機を利用しようと計画。しかし、頻繁に旅行するビジネスマンを軸に考えると、必然的に便数が減ってしまうため、顧客志向(ビジネスマンは計画を立てる場合、あくまで会議の日時がベースにあり、それにあわせて便を予約するわけで、機体で選択するわけではない)の経営判断を下し、新規購入の機材は使用せず、既存のDC9を生かして便数やノンストップ便を増やした。
 
~顧客を明確にしたビジョンが“真実の瞬間”をDNAにする!!~
スカンジナビア航空は当時掲げた目標(「頻繁に旅行するビジネスマンにとって世界最高の航空会社」という評判を得ること)を以下のようにビジョンとしてまとめ、顧客(頻繁に旅行するビジネスマン)との約束を守ることで、真実の瞬間”をDNAとして大切にし続けているのです。
 
≪ビジョン≫
私たちのビジョンは、頻繁に旅行する北欧(スカンジナビア)の方々の日々の旅の生活の煩わしさをなくすことです。
スカンジナビア航空(SAS)は、北欧(スカンジナビア)流の “喜びと信頼のサービス”を通して、あなたの身近な存在になります。
 
≪私たちの約束≫
あなたの旅を煩わしくないものにします! 
 
スカンジナビア航空HP(英語)<ビジョン>
http://www.sasgroup.net/en/this-is-sas/
 
 
 

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