【写真】中央がエレコムのナトリウムイン電池を使用したモバイルバッテリー「DE-C55L-9000」。左のiPhoneを約1.4回充電可能。同等の容量を持つリチウムイオンタイプと比べると、容積は大きめ。(筆者撮影)
スマートフォンが手放せない時代になり、それに伴ってモバイルバッテリーを携行されている方も多いことでしょう。ビジネスシーンでもスマートフォンは、出張時などは連絡手段としてのほか、切符やチケットの役割を担うこともあるので、その電源の補助となるモバイルバッテリーがあれば心強いものです。
しかし近年は、このモバイルバッテリーを原因とする火災事故が頻発。連日報道があるように、社会問題となっています。
ここでまず、充電池の状況についておさらいしておきましょう。現在のスマートフォンやモバイルバッテリーで使用される充電池は「リチウムイオン」タイプが主流です。
特徴は「高密度」で、言い換えると、コンパクトサイズでたくさんの電力を蓄えることができ、スペース効率が高いことです。しかし、裏を返すと、エネルギーの塊と言え、危険性も高いことをご想像頂けるでしょう。リチウムイオン電池メーカーや、それを使った機器メーカーの多くはは、安全性に配慮して生産していますが、中には品質が充分でないケースもあります。
また、品質に注意していても製造不良はゼロにはできません。落下による損傷や想定外の悪条件が重なると、最悪の場合、爆発や火災に至ることがあり、NITE(製品評価技術基盤機構)も注意を呼び掛けています。安全面で心配の残るリチウムイオン電池を使い続けるのは、現時点で決定的な代替手段が無いためです。構造的に発火の心配がほぼ無いとされる全固体電池の開発が進んでいますが、密度とコストの両面でリチウムイオン電池に取って変わるには、もう数年はかかると見られています。
こうした状況で登場したのが、エレコムのナトリウムイオン電池を用いたモバイルバッテリーです。一般的にナトリウムイオン電池とリチウムイオン電池は、電解質として液体を使用しますが、ナトリウムイオンの方が高温環境でも安定していて発火のリスクが少ないとされています。
完全に安全とは言い切れませんが、現時点での選択肢として貴重に感じます。デメリットはリチウムイオンタイプに比べて密度が低く、当方調べで同じ電力を持ち運ぶのに「2倍大きくて重い」こと。しかし、使い方や考え方によっては許容できる範囲と言えると思います。
因みに価格ですが、蓄電容量を基準にすると、ナトリウムイオン電池はリチウムイオン電池の2倍高価です。しかし繰り返し充電できる回数はリチウムイオン電池が500回程度なのに対しナトリウムイオン電池は5,000回と10倍なので、コストパフォーマンスとしては5倍良い計算になります。
さいごに使いこなしのポイントについて。発火事故の多くは、発熱を伴う充放電中に起こっています。モバイルバッテリーの場合は電源からの充電時およびスマートフォンなどへの給電充電時に、周囲に放熱妨げるものが無いかを確認し、可能であれば異変に直ぐ気が付けるような状態にしておきましょう。ほか、廃棄時は可能な限り充電を使い切り、各市町村が指定する方法で処分を。
バッテリーが欠かせない現代、ユーザーにおいては、信頼できるメーカーの安全な製品を使う、正しく使う、正しく廃棄するなど、安全に留意したいものです。
【製品情報】
・製品名: DE-C55L-9000
・製品公式URL: https://www.elecom.co.jp/pickup/contents/00113/
・価格: 9,980円(公式オンラインストア/税込)