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第六十三話 「ピンチこそチャンス」(エースインターナショナル)

社長の口ぐせ経営哲学

厳しい経済状況をどのようにして乗り切っていくか。行き詰まりをどう解決していくか。
「ピンチこそチャンス」ほど、言い尽くされた言葉はないが、企業成長に欠かすことのできない重要なキーワードである。
備蓄マスクの販売を手がけ、新型インフルエンザをビジネスチャンスにした企業が
株式会社エースインターナショナルジャパン(本社・東京都港区)である。


同社は健康・美容・水・環境をテーマとした商品開発に主眼を置き、国内外の優れた技術、
素材を積極的に活用したモノづくりに挑戦し続けている企業である。
社主である宮尾俊輔氏(55)が代表を務める株式会社チャイニーズドラゴン新報社(日本語で読める中国情報紙を発行)
の縁で、中国情勢に詳しいという事情から、新型インフルエンザが流行する前にマスクの輸入に着手していた。
いち早く、ウイルス対策マスク「モースガード」を販売している。売れ行きは好調だ。


国内のマスク不足が起こり、混乱が続いたが、依然、新型インフルエンザは衰えていないのが現状。
マスク不足を経験したことから、備蓄マスクに対する需要は水面下で大きく動き出している。
厚生労働省、日本医師会、東京商工会議所など、備蓄マスクのガイドラインも打ち出されている。
中小企業に8週間分(一人1日1枚)のマスクの備蓄を勧めている。


中国で生産されるマスクは、世界の生産量の8割から9割を占め、
国際基準に対応した飛沫感染を防げる高機能マスクである。
その高機能マスクを輸入、販売しているのが同社である。
現在、学校をはじめとする公共機関、医療機関、各企業に備蓄マスクの
必要性を訴えている営業戦略で多忙を極める状態が続いている。


宮尾社主は自らが現場を走り続けるトップセールスマンである。宮尾氏は人生、仕事でいくつもの試練を経験している。
だから、「社会の役に立ちたい」「何をしたら社会に認められるか」「何をしたら喜ばれるか」という信条を持つ。
度重なる失敗でどれだけ笑われたか、と謙遜しながら語る。
社員には「もっともっと」「笑われただけで終われるか」と檄を飛ばす。


宮尾氏に近い幹部の一人は
「社主は熱い人です。まず先によろこんでもらうこと、仕事は横着するな、とよく言われます」と語った。
行き詰まりを解決するのが仕事と捉えている会社の雰囲気がある。
陣頭指揮で熱く語る社主の「ピンチこそチャンス」の逆境に強い会社づくりを目指している。
相手の目を真剣に見ながら、熱く話しかける宮尾氏に惹きつけられる人は少なくない。
元気で、将来性の高い注目される企業の一つである。


 

                                                             上妻英夫

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