menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

マネジメント

危機への対処術(7) 危機の指導者の条件(ウインストン・チャーチル)

指導者たる者かくあるべし

 2.コミュニケーション能力

 「チャーチルが後年書き残した回顧録『第二次世界大戦』は、ノーベル文学賞を受賞している。『ガリア戦記』を書き残した古代ローマのカエサルもそうだが、危機の政治家はえてして書くことに長けている。それは名文家ということを意味しない。演説あるいは文章を通じて人を動かすことができる能力だ。自らの明確な目的意識を、部下に、仲間に正確に伝え、動かすコミュニケーション能力に長じていることを意味する。


 コミュニケーション能力といっても、文章力だけではない。その存在を効果的に露出することによって、国家、あるいは組織のリーダーシップがどこにあるのかを示すことも重要だ。


 チャーチルは、戦時中、忙しい戦争指揮の合間を縫って街頭に姿を現した。ドイツによる爆撃があれば、硝煙漂う中でも危険を顧みず現場を訪ね、国民を励まし鼓舞した。ロンドンのスラムに住む市民たちも、現場に顔を出すまったく身分も違う貴族のチャーチルを、「ウィニー爺さん」と呼んで慕い、ともに戦争に耐える決意を一つにした。


 あるいは、戦況が厳しい中でも積極的に同盟国首脳との外交の場に顔を出す。会談のニュース映像を通じて、戦い遂行の意志を国民に伝えた。こうした露出は、国民に安心感を与え、継戦の意志を共有することに繋がる。


 チャーチルの行動を列挙すれば、ウクライナ大統領のゼレンスキーがチャーチルの見せた危機リーダーシップの忠実な継承者であることが分かるだろう。

次のページ危機の指導者の条件③徹底した現実成果主義

1

2

3

危機への対処術(6) チャーチルに学ぶ(ゼレンスキー・ウクライナ大統領)前のページ

危機への対処術(8) 危機の能力と平時(ウインストン・チャーチル)次のページ

関連記事

  1. 番外編 チームを変身させた岡田彰布の監督術(中)

  2. 国のかたち、組織のかたち(8) 脱亜入欧への道

  3. 永続企業の知恵(15) 敗戦後改革は成長のチャンス(安田銀行)

最新の経営コラム

  1. これぞ経営者。横河電機・美川英二の「家族主義」と「利益への執念」

  2. 第161回 発想をカタチに。生成AIで電子工作もより身近に!

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳 2025年1月22日号

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 採用・法律

    第118回 民事訴訟のデジタル化
  2. 経済・株式・資産

    第5回 金融立国へ突き進む日本と企業経営
  3. キーワード

    第49回 「機能性表示食品」が拓く一大ビジネスチャンスをつかめ!~トクホ、栄養...
  4. 戦略・戦術

    第六話 顧客取材で突破口を掴んだ小さな町工場の取り組み
  5. 戦略・戦術

    第2回 香港では、どれだけ日本への関心が高いのか?
keyboard_arrow_up